黄金の暴君×永遠の二番手=星の皇帝(僕) 作:パンダコパンダ
戦績を辿っていけば良い競走馬パートと違うから……。
会長の口調こんなんで良い?
メイクデビューからの3戦。新潟のメイクデビュー、東スポジュニアステークス。そして年内最後でありG1戦のホープフルステークスを危なげなく勝った僕は、クラシック期初戦に2月に行われる共同通信杯を選んだ。
理由は大したものじゃない。皐月賞のステップアップレースに指定されていなくて、他のウマ娘には悪いが、先行策の練習になる程度に強いウマ娘が集まるレースを選んだ。
特に、ダノンキングリーが出走すると言うのが大きな理由であり、彼女は先行か差しの戦い方が多い(とトレーナーが言っていた)。
なので、彼女が先行で戦えば見本として背後に着き戦い方を学ぶ。差しならば後ろから上がってくる奴から逃げる練習を実践ですることを目的に。
「てかあれはえぐいわ」
「え? 突然なんですか?」
チームスピカのチームルーム。
のんびりとコーヒーを飲みつつ、コースの利用可能時間を待っていたのだが、三杯目のコーヒーを注ごうとした時、僕に向かって沖野が呟いた。
「いや、共同通信杯の話だよ」
共同通信杯。その試合に居たのは、同級生であり比較的仲の良いメンバーであるうちの一人ダノンキングリー。あとは、朝日フューチャリティステークスを勝ったアドマイヤマーズ。
「予定通りの戦い方ができたけど、何か問題が?」
「いや、なんて言うかなぁ……」
8人で出走になったが、全体はスローペース。先頭はアドマイヤマーズが引っ張り、僕はその後ろで2番手を走っていた。問題のダノンキングリーは僕の後ろで道中4番手。
「思ってたより周りが遅くてしんどかったんですよね。あれ」
1〜2コーナーの途中にあるポケットからスタートする加減で、ほぼほぼ直線のまま向正面に入る。出走人数も少なかったこともあってハナ争いも激しくならず、僕にとってはゆっくりしすぎの展開だった。
「先行って感じの戦いじゃなかったからな? あれ。いや、スローペースで足を溜めれたこともあるけど、世代じゃトップクラスのダノンキングリーに影も踏ませないって……」
あの日のタイムは1分45秒8。2着のダノンキングリーからちょうど1秒前で、着差は6馬身。
「あれでも流したんですよ? 僕」
「見てたから知ってるよ。あのまま行ってたらワールドレコードは無理でも、44秒台入ってたろ? ダノンキングリーの悔しがり方も凄かったけど」
先行で走ったこれまでのレース。タイムで1秒ほど差をつけれたら流している。油断ではなく、手加減でもなく、足の疲労をできるだけ溜めないようにするために。
「まあ、これで準備は整ったろ。ダノンキングリーとアドマイヤマーズ達の状態は確認できた。サートゥルナーリアはリギルに入ったし、ステップアップを使ってくる。弥生賞は今週末だから、その情報を仕入れて、作戦を完全に組み立てる」
ペースが遅ければ上げる幅はいくらでもあるし、速くても、同じ時期の競走馬時代に比べれば対応できる能力がある。トウカイテイオー先輩とダイワスカーレット先輩からの、先行逃げ切り追いかけっこのおかげで。
「まあ、4コーナーで飛び出してって言う走り方を足を溜めにくい先行でできてるわけだから不安材料はほぼほぼ無い。あとは、慌てず、落ち着いて戦うだけ」
「うん。トレーナーの言う通りだよ」
多分だけど先生もおんなじこと言うと思う。
「よし、そろそろ坂路コースが行けると思うから行ってこい」
「はい、それじゃあまた後で」
三杯目のコーヒーをしっかり飲み切った私は、後でマグを洗おうと流し台の中に置いてから出て行く。
「っさ、油断と慢心はゴミ箱に入れとかないとね」
テクテクと廊下を歩き、建物から出て、そのまま坂路コースへと向かう。
校舎から一段下がった位置にあるメインの芝コース。坂路はその横側で、高くなった校舎の位置まで上がる。
「って、ナーリアだ」
坂路のゴール地点からスタート地点へと移動しようと歩き出した時、ふと芝コースを見れば、その一部のところで、フジキセキ先輩と何か話していたサートゥルナーリアを見つけた。
フジキセキ先輩が身振り手振りで何かを伝えているので、多分走ってる最中に関するところだろう。
「気になるのか?」
「えっ?」
突然後ろから聞こえて来た落ち着いた声。思わず耳と尻尾がぴーんと跳ね上がったような気がするが、まあ良いだろう。
振り向いた先にいたのは、制服に身を包んだ生徒会長。少し大人びたトウカイテイオー先輩というか、似たような容姿をしているのは気のせいだろうか? 僕とカフェ先輩みたいに、競走馬として血が近いのか?
「君はズヴィズダツァーリ。で合っているかな?」
「はい。ツァーリと呼んでくだされば」
「ふむ。ツァーリか……。だが、口調が固いな。取って食おうなんて気はない。テイオーからも話を聞いていて、私個人としても気になる存在だった。普段通りの口調で話してくれ」
「……。わかった」
向かい合っていた彼女が僕の横に立つ。そのまま、僕たちの視界の先には、走り始めたナーリア。
「ナーリアは、リギルで上手くやってますか?」
「ああ。向上心が高く一生懸命に練習を重ねている。レースにかける思いも強くしっかりしている。私たち先輩にも関係なく身に付けられそうなことは尋ねてくるしな。緊褌一番、弥生賞と皐月賞に向かって行っている」
やはり、彼女は努力してるのか。
「君はどうだい?」
「僕? 僕も順調ですよ。トウカイテイオー先輩にも扱かれてますし……」
「テイオーがな……。テイオーが言っていたよ。生意気な後輩ができたってね。会っていきなり煽られて、皇帝は負けないから皇帝だと言われたってね」
「うわぁ……。どんな後輩だよそれ……。って、僕か」
「はは。まあ、君がどんなウマ娘になろうと目標を、夢を掲げているかは知らないが、私たちが面倒を見ているサートゥルナーリアは、強い」
「ええ、身に染みて知ってます。努力家で、諦めが悪くて、悔しさを笑顔で隠して、絶対に俯かない。僕が掲げる目標の壁だ」
よければ聞いても? なんて言うシンボリルドルフ。だが、僕がよく比較された彼女になら言って良いか、生徒会長だし。タキオン先輩みたいに危ない存在でも無いし。
「生涯無敗」
「……。いま、生涯無敗と言ったか?」
「はい。まずは三冠。そのまま有馬記念と春天。そして出られそうなら凱旋門賞を目指して、翌年は大阪杯からのシニア六冠。生涯無敗と、クラシック・シニアでの九冠。あと、叶うならイギリスのインターナショナルステークスも」
「荒唐無稽な目標だな。レースを甘く見過ぎではないかツァーリ。自分の力を誇大妄想してしまって揣摩憶測だ」
まあ、側から聞けばそうなるよな。僕も、逆の立場ならそう思うし……。
でも、僕はやる。やり切る。僕の存在の証明は、勝つことだから。
「別に誰に何を言われようとも、僕は一人じゃないので」
「そうか……。なら私は何も言わない。星帝の力。まずは皐月賞で見せてもらうとしよう。
ん? せいていの戯言? は井戸の底か。もう一個のせいていは何?
てか、ドヤ顔されても伝わる言葉で話さなくて大丈夫? よくわからんのだが。
「とりあえず、これからトレーニングなので……。失礼します」
ペコリと頭を下げた僕は、そのまま坂路コースのスタートラインへと急ぐ。そこにはもうすでにダイワスカーレット先輩とウオッカ先輩が待っていたので、遅くなったことを謝り、僕はトレーニングへと入って行った。
ゴルシってキーボードで打つと、
予測候補に「しゃーない」って出るのは何!? なんで!?
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