黄金の暴君×永遠の二番手=星の皇帝(僕) 作:パンダコパンダ
短めだよーん
いつもいつも誤字報告ありがとうございます。
「ゴルシ……」
「おう。なんだー?」
「会長にセイテイになるか? って言われたんだけど、分かる?」
「あー。あれじゃね?春の王的な。青春って言うだろ? 青色は春の色だからな。んま、シーナも青だし、ツァーリの色に合ってんだろ」
「最近隠す気なくなってるよな。あんた絶対僕と同じで馬だったろ」
「はぁー!? んなわきゃねーし! ゴルシちゃんは、ゴルゴル星のプリティーアイドルぞよ?」
「「……無いな」」
「お二人して何しているんですの。ツァーリさんはそろそろ入場ですし、ゴールドシップさんは早くトレーナーさんのいるところに行かないと。みんな待っていらしてよ?」
二人で馬鹿みたいなことをしながら緊張をほぐしてもらっていたが、ゴルシに似てるのにめちゃくちゃ美人なメジロマックイーン先輩が現れ、彼女を連れて行く。
「あなたの頑張りは知っています。あとは、出し切るだけですわ」
「そーそー! そーだぞー」
「あはは。まあ、やるだけやってみますよ」
クラシック三冠戦。前の時は3歳の初戦が皐月賞だったのもあって3番人気だったが、今回は違う。ここまで無敗の4連勝。人気はサートゥルナーリアより上の一番人気。
「わたくしが勝ちます」
「いいや。私が勝つよ。共同通信杯じゃ負けたけど、今度は勝つ」
これ、私に言われてるよなぁ。どうしよう。
「ちょっと、聞いてんのツァーリ」
天使なマックイーン先輩
『ええ、正々堂々戦いましょう。わたくしもあなた方には負けません』
悪魔なゴールドシップ
『ん? なんか言った? てかよー、今度一緒に化石掘り行かね? 良い場所知ってんのよ』
うん。ゴルシは知らねーや。
「うーん。まあ勝つのは僕だけだよ。仲良しこよしはレース場に来れば関係なくなるし。まあ、僕が言いたいのはそれだけ」
少しポカンとした表情を見せる二人。キングリーは小声で「舐めやがって」と呟いているし、ナーリアは「既に勝った気で……」と。
うわー怖ぇー。
『さあ一番人気はこのウマ娘。7枠14番ズヴィズダツァーリ』
『実力は完全に上位です。火花散らすデッドヒートを期待しましょう』
『各ウマ娘準備が整いました。最も早いウマ娘が勝つ皐月賞。2000メートルの戦い。今、スタートです』
約2分後、ゴール板を一番に駆け抜けたのは、他の誰でもなくこの僕、ズヴィズダツァーリだった。
サートゥルナーリアでも、ダノンキングリーでも他の馬でもなく、僕だった。
僕は、サートゥルナーリアとロジャーバローズの二人を退けて勝ったダービーの後、珍しくトウカイテイオー先輩に連れ回されていた。
「ねー。ツァーリは可愛いんだから、こう言う服着た方がいいんじゃ無い?」
「嫌。断固拒否。子供っぽい。クソガキ臭がする。ダンス部の中学生レベル」
「ちょっとー! このボクが選んであげてるのにそれは良く無いよ! いっつもいっつも真っ黒な服着てるんだからさぁ、たまには色んな服着るべきだって」
「ッチ……。これならメジロマックイーン先輩と野球観戦行くべきだった……。大阪対横浜だからユタカとササキでそれぞれ応援できたのに……」
僕の愚痴が聞こえてしまったのか、黄色いTシャツを片手に持っていたトウカイテイオー先輩は「ワケワカンナイヨッ!」と叫んでいた。
まあ、普段から私服に面白みがないとはよく言われていた。
スカートが苦手なので、黒色のパンツ。もちろんヒールも苦手だから、革靴もどきの少し見た目がいい靴を履き、上はカッターシャツ一択。ジャケットを着ればすぐさまスーツみたくなるので、色々と楽だ。カレーうどんを食べられないことくらいかな? 問題があるとすれば。
ウオッカ先輩からは、「殺し屋みたいでかっけー!!」と大絶賛されている私服。
「というか、突然僕の手を引っ張ってショッピングモールまで来たわけですけど、何かようでも?」
「あー。えっと……」
僕が急な行動の理由を問い質そうとすれば、彼女は目をキョロキョロと左右に動かして慌て始めた。
「はぁー。先輩が何かを考えて行動してくれるのは嬉しいけど、僕的にはちゃんと説明してほしいです。どうせ、菊花賞がどうだのこうだのでしょ?」
「うぐっ……。バレてる」
まあ先輩はわかりやすいからなぁ。と言うか、耳と尻尾である程度無意識の心情を見せてしまうのだから隠せる方がすごいよ。
「とりあえずカフェにでも入りません? 素晴らしい先輩と甘いものが食べたいんですよねー」
「素晴らしい……先輩……。よし! んじゃあ行こうかツァーリ!! あっちにね、マックイーンがいつも涎垂らすパフェがあるんだ」
……。現金な奴。
と言うわけで移動した喫茶店。割と落ち着いた雰囲気なので、パクパクとものすごいスピードでパフェを消して行く先輩だけが浮いている。ちなみに僕はホイップが苦手なので甘味は和菓子以外食べない。
赤福は至高。異論は認めん。
「で、菊花賞がどうしたんですか?」
「いやー。ボクってさ、昔は無敗の三冠ウマ娘を目指してたんだよね」
あっけらかんと話す先輩。口調は軽く、身振り手振りもいつもの明るい雰囲気だが、目が、3000メートルを一緒に走った時のあの時と同じで笑っていない。
「でもさ、ダービーの後、ボク、骨折しちゃったんだよ」
骨折によって菊花賞の出走を辞め、目の前で走る同期たちの菊花賞を見て、自分ならどう走るかを想像し、涙を流した。そんな話を彼女はボクにする。
「カイチョーみたいなウマ娘になりたくて頑張って、そのあとは怪我から復帰して、無敗のまま春の天皇賞でマックイーンと戦って、無敗が終わった。ツァーリは前、生涯無敗が目標って言ってたよね」
「はい。そうですよ?」
「どの試合に出るとか考えてる?」
「三冠の後で。となると、まずは有馬記念。そして天皇賞・春。宝塚記念に出るかは特に決めてませんが、インターナショナルステークスと凱旋門賞の海外G1競走。国内に戻って有馬記念。最後の年は春秋シニア六冠」
ズズズーと音を立てながらはちみつシェイクを飲み切った先輩は、壮大な夢。とだけ呟いた。
「一度も負けずに?」
「ええ。負けずに。生涯無敗。絶対を体現する星の皇帝。先輩には前世の話はしましたっけ?」
アイスコーヒーの氷が音を立てるのと同時に、先輩は横に首を振った。
「気になるか気にならないかで言ったら、気になる。だってその世界のボクやマックイーン。カイチョーだって知ってるんでしょ?」
「ええ。会長に関しては良く比べられましたから。七冠馬がどうとか」
「でもさー。そこを聞いちゃうとさー。ツァーリが今掴もうとしてる物語を楽しめないでしょ?」
なるほど。そう考えたか。まあ、そう言う捉え方もあるよな。
「じゃあ、怪我せずにしっかりと戦い抜ける?」
答えはもちろん肯定。
「ボク勝手に、君の走る姿にボクを映すけど良い?」
この質問にも、僕は肯定の意を示す。
「ボクが憧れた皇帝の姿、見せてね」
「もちろん。知ってます? 皇帝は
負けないから皇帝なんだよね? ボクが言うのもなんだけど、ツァーリはホントに生意気だね」
なんのことでしょう?
ウマ娘の菊花賞は書きますが、その後だいぶ時間が飛ぶ予定。
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