黄金の暴君×永遠の二番手=星の皇帝(僕) 作:パンダコパンダ
メルボルンカップの日程勘違いしてました。
でも、メルボルンカップを外すと、海外の長距離レースができなくなるので、目をつぶってくれると幸いです。
なんかうん。日程早まったと思ってください。
あと、いつもいつも誤字報告ありがとうございます。
『さあ、向正面に中盤! 白と青の勝負服! ズヴィズダツァーリが進出していきます! 最後方からぐんぐんと上がり、固まっていたバ群を一人! また一人と交わしていく!!』
オーストラリアで1番のレースであるメルボルンカップ。それが行われるフレミントンレース場は、かなり独特な形状をしている。
第1コーナーまでは約900の直線が続き、アスコット競馬……。じゃなくてレース場ほど急ではないが、割と急な第1〜2コーナーを曲がって向正面。そこからは末広がりに角度がつくことで、第3〜4コーナーの緩やかで大きなカーブが作られる。
想像しにくい人は、音楽記号の『♭』を思い比べてくれ。
『さあ、第3コーナー直前でズヴィズダツァーリはすでに2番手! まるで菊花賞や春の天皇賞の時のような上がり方だ! 第3コーナー回って先頭はズヴィズダツァーリ! さあ、眼前に他はない! ここからは星帝による一人旅!』
割と反発感の良い硬めの馬場。内ラチから一人分くらいを開けつつ、しっかりと走る僕。そして、思う。そういえば競走馬時代、3200のレコードって出してないよな? って。
「あがるな」
一言呟けば、大きなスライドで一気に飛ばして行く。
どんどんと後ろと差が生まれて行く中で、僕は勝利を確信しても緩めることなく足を動かした。
『ズヴィズダツァーリ! ズヴィズダツァーリ! 瞬発力勝負のE区分で、ありえない強さ! 異常としか言えないぞ! この強さ!
イギリス・KGVI & QESを制圧し! フランス・凱旋門賞! 香港の香港ヴァーズ! さらにはドバイ! そして今日! オーストラリア・メルボルンカップを制する! さあ残りはたった2ハロン 五か国制覇まで残り200!』
誰よりも先頭で僕はゴールを駆け抜けた。
そのタイムは、3分10秒9。キタサンブラックが僕の後輩である以上、このタイムはぶっちぎりのワールドレコード。前の記録なんぞ知らん。
『ズヴィズダツァーリ! ターフのど真ん中で右手を広げます!
これで、海外G1レース5連勝!! 世界中の名ウマ娘たちを前に、この存在は自身が最強であることを証明した!!』
なお、このレースの後の飛行機で、僕は盛大にゲロをかましたが、その話は一旦置いておこう。ファーストクラスに乗っていたのに、5時間くらいはトイレとお友達をしていた。
グラス先輩の緑茶がなかったら多分死んでたよ。ほんとに。読みたい本も読めなかった。
「んで? 帰国早々話ってのはなんだ? ツァーリ」
オーストラリアから帰国した僕は、一日の完全オフを言い渡されていた日。みんなが授業中であるのにも関わらず抜け出した僕は、一人トレーナーのところにいた。
進路的な話です。と切り出せば、彼は胸を撫で下ろす。
まあ、メルボルンカップから、足の異常はないとは言えかなりの短期間で秋天に出走するのだ。トレーナーとして怪我のことは憂慮に堪えないだろう。
「それで? 進路っていうのは?」
「うん。トレーナーになるにはどうすれば良い?」
「トレーナーに? お前が?」
驚いた表情を見せたトレーナーは、何かを考えるように悩み。しばらくして何か納得したような表情をした。
「お前レベルのウマ娘がいない以上、お前のレベルにあった存在を作りたいってのはわかる。分かるが、かなりしんどいぞ?」
えーっと、理由は違うけどまあいいや。勘違いしててもそれでいい。
「まず、トレーナーになるには中央や地方が運営している専門学校に入学する必要がある。そこで4年間学んで、地方なら地方、中央なら中央のトレーナー免許を受ける試験に合格しなきゃいけない。もちろん専門学校に入ることに関して年齢制限は無いが、ほとんどは大卒の奴らばっかりだ」
「けど、トレーナー免許の試験って、専門にいなくちゃ取れないわけじゃ無いですよね?」
「ある程度はもう調べてるか……。ああ。その通りだ。ただ、自力学習で試験に合格したやつは本っ当に一握りだけだ。普通無理だな。少なくとも俺の周りじゃ聞いたことねぇ」
ま、そうなるよなぁ。
ガシガシと頭を掻くトレーナーは、終わった飴玉の棒を捨てると、僕を見る。
「一応トレセン学園には、競走生活をリタイアしたウマ娘に対して、トレーナー学科って言う普通の学業にプラスして学べる仕組みがあるっちゃある。ただ、そこにいても辞めてく奴がほとんどだし、お前みたいな実績を積み上げてる存在は行かない」
「でも、門は開いてるんですよね?」
「一応な。練習方法とか人体学ってもウマ娘とかのだが、それはどれぐらい持ってる?」
「独学で地方の免許に合格した人がネットに記事を出していたので、そこに載っていた本は取り揃えてます。寮もいま一人なので、相手のベッドに山積みですね」
読んでるか? と聞かれ、僕は室内で取れるトレーニングの時と移動中に。と。
飛行機の移動で寝られない分、吐き気と戦いながら本を読み漁った。すでに6割くらいの本は読み終えていて、知識として頭の中にある。
「なら、たづなさんに相談しねぇとなぁ。中等部からそこに入っていいかどうか。実際、来年高等部だから問題ないっちゃないんだがなぁ」
「沖野トレーナーに付くサブトレーナー的な奴とか無理ですか? 候補生的な」
「あー。無理やりできるっちゃできるが、やっぱりそれも相談してからだわな」
手詰まりに近い状態か。まあ制度があるなら仕方ない。
「免許をいつ取るかだな。高卒と同時に免許を取るのか、在学中に取るのか。俺としちゃ卒業後の方が断然いいとは思うが」
「できれば在学中に免許を取って、卒業と同時にサブトレーナーじゃない本トレーナーになりたいです。思うんですよね。ウマ娘側にやる気のあるウマが少ないと」
「って言うと?」
「前にシンボリルドルフ先輩にも言ったんですけど、どれだけトレーナーが頑張ったところで、ウマ娘のやる気がなければ話にならない。一人でも多くのウマ娘と関わってみたいんですよ。先生みたいに、愛情を受ける心地よさを与えて、それを返させる覚悟を持つ存在を育てたいんです。正直重賞なんて足壊せば誰でも一つくらい取れるんですよ。暴論だし、やりもさせもしないですけど」
ただ、一人でも多く、許せない負けを減らしたい気持ちはある。
「なら、お前ならキタサンブラックをどう育てる?」
「この前の走りを見たり、足元見て思いますけど、キタサンブラックの脚質は逃げと先行より。ウチで言えばダイワスカーレット先輩と似た感じ。あの日は僕とツインターボ先輩っていうペース乱し魔神が二人もいたから話は別だけど、ある程度のハイペースでもついていけそうな感じがある。だから、いざと言う時の脚のため方。それと瞬発力勝負のやり方を中心にパワー系を育てていきます」
トップスピードは中1中でも上から数えた方が早そうだしね。
「それには概ね賛成だ。よし、とりあえず上の人たちに許可が取れたら、キタにも聞いて、相談の上でやってみよう。やり方としては、お前がキタの育成プログラムを作って、それを俺が確認しながらダメなところは適宜直していく。コレからはほとんど日本だしな。キタの面倒見てやれ。アイツら拗ねてたぞ? 同じチームの自分達よりも、リギルの二人と一緒にいるってな」
あー。そりゃすまねぇよ。二人とも。
「とりあえず、お前の意思は受け取った。俺から言えるのは、やるならやり切れ」
「はい」
「んで? お前は授業受けなくていいのか? 中の下だろ? 成績」
「うげ」
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