黄金の暴君×永遠の二番手=星の皇帝(僕)   作:パンダコパンダ

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 ツァーリ産駒のところから名前頂きました。
 さらや 様 ハイパー扇風機 様 ありがとうございました。

 ちょっと変えてるけど許してね。

 まだまだ募集してるのでぜひ!

 ツァーリの産駒
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=271608&uid=371990

 the HERO
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=271189&uid=371990


ウマ娘ー18:チームスピカ

 秋の天皇賞を無事制し、国内7冠を達成した。

 

 まあ実際は、そのことよりもナーリアに勝てたことの方が嬉しくて、先生達に届けたくても届けられなくて泣いていたのだが。

 初めてナーリアに負けたあの日、ナーリアは、僕の得意な距離で勝てたことで世間からの評価を上げた。逆に今の僕は、Smile区分の「I」区分で国内最強の彼女に勝ったことで、僕も評価を上げた。

 

「あの時と逆か……。笑える」

 

「何が笑えるんですか? ツァーリ先輩」

 

「ん? キタか」

 

 はい! と元気な笑顔を見せる後輩の頭を、僕はワシワシと撫でる。

 沖野トレーナーと相談し、キタとも話した上で、僕は彼女の練習を見ることとなった。まあある程度は僕の趣味というか、やり方をよく真似させているようなものだが。

 

「まずはストレッチ! ですよね!」

 

「うん。体つきでちゃんとクランチとか体幹やってるのはわかるから、怪我しないようにストレッチとケアだけはしっかりね。僕は、枠入り前には動いてないけど、その前はしっかりと準備運動してるからね」

 

 二人でターフの上に座り、他愛無い話をしながらストレッチをする。足先から順番に、膝、腰、肩、首、肘、そして手首と手を解す。

 

「準備できた?」

 

「大丈夫です!」

 

 ここ2週間くらいは、僕の秋天へ向けた調整のためにチームで共通の練習をしてもらっていた。なので、今日からは久しぶりにマンツーマンで教えることになる。

 

「基本的に僕が教えるのは、加速力の上げ方っていうのは前にも話したよね?」

 

「はい!」

 

 僕が持つ最大の問題。それが最高速度へ到達する加速スピード。この件に関しては、時間がある時にタキオン先輩のモルモットになることで共同研究をしてもらってるから、そこで分かったことを噛み砕き、中学一年生の体でできることを教えているのが現状。

 

「キタの場合、トップスピードは高い位置でまとまってる。だから、前に資料で見せた通り、スピードを生かすための加速力と、スタミナを鍛える」

 

 最高速を表すスピード。

 レース中のスタミナ。

 加速力を生み出すパワー。

 速度維持の根性。

 レース運びに関する賢さ。

 

 この5項目を5段階で評価すれば、5、2、2、3、1くらいかな? 最高値のスピードを5とすれば。の話だけどね。

 

「スタミナは積み重ね。賢さは経験だと僕は思う。だから、練習で補えるパワーだよね。力こそ全てとは言わないけど、それが真理に近いのは事実。だから、今日は、太もも潰そうか!」

 

 僕の素晴らしい笑顔に、彼女は引き攣った笑顔で答えた。

 

 まずやるメニューは、寝転びダッシュ。うつ伏せの状態からスタートするやつだ。決められた幅。加速するのに必要な5メートルをうつ伏せから走る。

 そのあとはラダーと腿上げ。ひたすらに太腿を酷使する。

 

 別にしんどい表情を見るのが好きなわけでは無いが、必死になって練習をこなし、その練習を楽しんでるように見えるのはすごく好きだ。だからこそ、

 

「腿上げ遅くなってるよ! もっと上げて! 上げて上げて!」

 

 ちなみにこんなことを言いながら、僕も隣でおんなじ練習をしている。音楽室からパチってきたメトロノームのリズムに合わせて、足踏みをする。

 

 もちろん僕的に少しキツイかな? なんて思う練習も、彼女からすればしっかりとした負荷がかかる。僕が考えた彼女の体の許容範囲ギリギリを沖野トレーナーに確認してもらってるので問題はない。オーバーワークをしなければ。

 

「あと10! 9! 8!」

 

 とカウントダウンを行い、ゼロと同時にストップする。

 基本的な方針は脚を引っ張って前に出すこと。さらには歩幅を小さく回転数を上げる練習。彼女の戦いだとテンの3ハロンで全てが決まってしまうのだ。そこに集中力を高めていくしか無い。

 

「よし、この調子ならレベル上げられるね。体の成長さえ間に合えば、今年の年末デビューだから、しっかり焦らずね。んじゃあ水分とって、ここの外周ゆっくり走ってスタミナつけてこう。その間、僕も僕の練習するから」

 

 キタに指示を出し、今日の瞬発力に関する練習の第一段階をメモ取ると、自分の練習。東京レース場を模して作られたこのCターフの300メートルの坂路を、ピッチ走行で走る練習。

 競走馬からの癖でついついスライドを大きくしてしまうから、そうならないようの意識づけがメイン。キタと違ってまっさらな状態からの練習じゃ無いからね。うん。

 

 キタのスタミナ練の後に使うゴムチューブを取りだし、脚を出す力を増やすための練習を僕はし始めた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 こんこん。と、寮の扉がノックされた。

 

「はい。どうぞ」

 

 ガチャリと開いたドア。

 

「邪魔するぜー」

 

「失礼するわ」

 

 そう言って部屋に入ってきたのは、ウオッカ先輩とダイワスカーレット先輩。珍しい人が僕を訪ねてきたことに驚いたが、それ以上に驚いた声が二人の口からこぼれた。

 

「うげ、すげぇ大量の本」

 

「あんた散らかしすぎよ! せめて整理しなさい!」

 

 平積みだったり、開きっぱなしになっていたりするトレーナーになるための参考書が、相手のベッドどころか、床に大量に散乱した僕の部屋。申し訳程度に、僕のベッドへ向かう一本道と、体幹トレーニング用のスペースはあるが、それだけ。

 

「あーんもう、せっかく勉強見にきて上げたのに、片付けからやり始めないといけないじゃ無い」

 

「勉強? 僕の?」

 

 ちょうど床に座って本を読んでいた僕に、ダイワスカーレット先輩は、前屈みになり、一本指を立てる。

 

「トレーナーから聞いたわよ。あんたトレーナーになるための勉強始めたのに、学業が中途半端らしいじゃ無い! だから、この私が後輩の面倒を見てあげるってわけよ」

 

 うわぁ。おっぱいでか。あの世界じゃそんなことなかったのに、なんでこんなにでかいの? って、僕もでかいか。

 

「それじゃあありがたく?」

 

「ええ、この私が一番を取らせてあげるわ」

 

「んじゃあオレは本片付けとくぜ? つっても分類とかよくわかんねぇけどな」

 

 まあ、ウオッカ先輩はいいや。勉強の邪魔さえしなければ。

 

 というわけで、家庭教師スカーレットによる勉強が始まった。

 どうやら、先輩が見てくれるのは予習分らしいが、僕の苦手な数学と理科を中心にしてくれるらしい。ありがたい。

 

「いい? 出される宿題は全部復習なんだから、予習だけでもしっかりしなさい。特にあんたは海外にいた分ちゃんとした授業受けれてないんだから」

 

 ぷりぷりと怒ったような口調の先輩が色々と教えてくれる。

 

「あんたにも色々あるのは私たちも知ってる。けど、私たちはチームだし、私たち先輩がいて、キタやダイヤたち後輩がいる。あんたがあの日何に泣いたのかはわからないし聞かないけど、私たちがあんたのことをちゃんと見てるから。良い?」

 

「分かりま  

 

   ツァーリ! 漫画とか置いてねぇのか?」

 

 あ、これスカーレット先輩怒るわ。

 

「あんたねぇ!! 今ツァーリの勉強見てんだから邪魔するなら帰りなさい!」

 

 はは。この感じよく知ってる。

 ウオッカ先輩の孫とダイワスカーレット先輩の娘の喧嘩と似てる。というか、あれだね。こっちが本家だね。

 

「あいつら元気かなぁ」

 

「あいつらって?」

 

「えーっと、お二人みたいな親戚の子? ですね。ジーズナヤヴァダーと……、ローザ」

 

 80年振り、皐月賞を制した牝馬ジーズナヤヴァダー。ウオッカ先輩の孫に当たる子で、のちの安田記念にも勝った名牝。クラシックは皐月賞とオークスの二冠馬。

 ローザは正しい名前だとダイワローザだけど、ダイワってつけちゃうと気付かれるかもしれないし、やめとこうか。彼女は、ダービーと秋華賞を制した二冠馬。世代を超えたライバル対決。なんていろいろ言われていたけど、あの子達もずっとケンカしてた。

 

 放牧の時に、おじいちゃん! ってやってくるヴァダーと、お父さん! ってやってくるローザが可愛かった記憶がある。

 

「そいつらもウマ娘か?」

 

「内緒です」

 

 おい教えろよ! なんて言うウオッカ先輩をあしらって、僕は再び勉強に戻る。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「時代を超えたライバル関係がぶつかる! 男馬をも越える二頭の名牝が、東京の最終直線を走る!

 

 ジーズナヤヴァダーか! ダイワローザか! どっちだ! どっちだ!

 

 ジャパンカップ! 父が取った偉大な栄冠を掴むのは! 並んだまま! 並んだまま! 大接戦ドゴーン!!!」




 間違えてドゴーン! って書いたけどいいや。

 追記

 やっとコントが勝ってくれた。いろんなところで最弱だなんて言われてるけど、なんだかんだやってくれたことに最大の感謝を。
 この作品で活躍してくれたグラン、コントが引退して、あとは有馬のクロノだけ。頼む、下の奴ら全員ぶっ飛ばしてきてくれ。

黄金一族でどの馬が好き?

  • 香港ヴァースに泣いたステイゴールド
  • 日本に残ったドリームジャーニー
  • 芦毛の千両役者ゴールドシップ
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  • 濃縮された気性難ナカヤマフェスタ
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