黄金の暴君×永遠の二番手=星の皇帝(僕) 作:パンダコパンダ
同期説明回です。
僕が意識を持ったのは、生まれて間もない頃だった。
黒色の髪でありながら、前髪の一部だけ白くなった女性が、僕のことを抱えていた。
誰だろう。そう思いながら伸ばした手はとても小さく、モミジのように可愛らしい。そんな僕の手が、女性の頬に触れた。
僕を抱える女性は、驚いた表情を浮かべ、そのきれいな青色の瞳を見開いた。頭に着いた耳が真っすぐ天に伸び、しまいにはおろおろとし始める。
「どうしたの? ツァーリ」
心配そうに右手人差し指の背で僕の頬を撫でた彼女。そんな姿に僕は思った。
彼女が母だと。四足歩行とは違うが、あの、最愛の母であるヴィルシーナだと感づいた。
どうしてこうなったか分からない。人として、どのような人生を送ったかは、終ぞ分からなかったが、いい競走馬人生を送ることができた。
先生に怒られながら好き勝手走り回り、窘められるように手綱を引っ張られながらターフの上を走り回った。
そんな僕は、頭の上に青鹿毛の耳を生やし、おむつを替えられた時に気づくが、女の子になり、ウマ娘というよくわからない人種として生まれ変わった。
ズヴィズダツァーリ。三度目の人生は、母の胸に抱かれて始まった。
競走馬時代。僕にも同期というものがいて、牡馬で言えば、皐月賞で無敗を賭けて戦ったサートゥルナーリアとダノンキングリー。牝馬で言えば、クロノジェネシスとグランアレグリアがそこに当たる。
サートゥルナーリアは、皐月賞の後もずっと僕と戦い続けていて、真正面から戦いに来たライバル。逆にダノンキングリーは、ダービー後、中距離やマイルの方へシフトして、彼が勝てる分野へと進んでいった。
牝馬の面々は、関わり合いがあんまりなかった。
クロノジェネシスの方はことごとく同じレースに出なかったのもあるが、グランアレグリアは、マイルの方に進んでおり、僕よりもダノンキングリーと顔を突き合わせていることの方が多かったような……。
でも、彼女、僕のこと見ると突っ走ってきて、好きだー!! って叫ぶから怖かったんだよね。
僕はお姉さんな感じの人が好きです!! サートゥルナーリアが被るけどアーモンドアイさんは最高でした。いろんな意味で。きれいだし、可愛いし、いろんな意味で。
けど、そんな面々と顔を合わせることができるのは、シンプルに楽しみだった。どんな顔をしているのかな? とか考えて、みんなお父さんがディープだったり、サンデーサイレンス系列が多いから、似た顔になるのかな? なんて思っていた。
どうしてこうなった。僕はそう頭を抱えるしかなかった。
よくはわからないがウマ娘という存在になった僕は、二回の受けた命で相棒だった、愛する我が珍棒との急すぎる別れに気持ちが追いつかなくなってしまったりしていたが、現実を受け止められない生活は終わった。だって、大きな胸があるから。
小学校6年生の時にはクラスで一番の大きさを誇っていた僕は、競走馬時代のよきライバルと、トレセン学園での再会で抱きしめてやろう。なんてことを考えていた。
そして、入学した僕は今、教室で異常なほどに睨まれている。
「それではまずは自己紹介をお願いします」
こちら側から。と立たされた僕に向く多くの目。その中でも、しっかりと僕を見てくるのは5人。教室の中でじっと見つめてきていて、正直一人殺気が出ていてとても怖い。
「僕の名前はズヴィズダツァーリ。自分で言うのもなんですが、言い難い名前なので、気軽にツァーリって呼んでください」
前髪の白い流星を手でいじりつつ挨拶した僕は、席に戻り欠伸する。
「新入生の代表挨拶も致しましたので、知らない方はいないと思いますが、わたくしの名前はサートゥルナーリアと申します。これからを過ごす級友の皆様との毎日。楽しみにしておりますわ」
あれ? この子がサートゥルナーリアなの? この茶髪のお嬢様然としてるのが? なんだろう。しんどそうだよね。良家ってね。
「私はダノンキングリー。気安くダノンでいいよ」
次に来たのは、黒い髪をボブにしている女の子。胸は……、無い。
「今私の胸見たでしょ……。いいよね巨乳は。あーあ。ゲートも狭く感じるんだろうなぁ」
皐月賞以降はマイルの方向へと進んでいったクラシック期のライバル。そんな彼女もここに居る。
「私はワールドプレミア。よろしくね」
「ロジャーバローズです」
新馬戦で対戦し、僕が東京優駿で戦ったあの子も、この場所にいた。
「私はクロノジェネシス。ややこしいのは嫌いだから先に言う。私が一番強い」
おおー。言うねあの子……。って、耳がめちゃくちゃピクピクしてるし、顔も赤くなってるし……。多分根はすごく真面目なんだろうな。あのこ、競走馬でもそんな感じだった。騎手や厩務員にでれでれの癖にかっこいい私を見てください!! って感じ。
そして、問題児が立ち上がる。髪は明るい茶色で、左耳に耳飾りを付けた女の子。
「はーい! 私はグランアレグリアです! あそこで寝ようとしているあの子は絶対誰にも譲りません!!」
濃い茶色の髪をした女の子が、ピシッと指をさす。
もちろんそんなことが有れば視線はさされた方向へ行くわけで、それはなんとも僕なわけです。
「一目惚れしちゃいました!! ツァーリちゃんは私のだから! 運命の相手だから!!」
こういう時は無視に限る。ここは学校だから先生がどうにかしてくれるだろう。
ざわざわとし始めた教室。サートゥルナーリアにお知り合いですか? なんて言われたが、断じて違うと答えてやった。少なくとも今世では初対面だ。ったく、前世からしゅきしゅき言いながら突撃かましてきやがって。お前の騎手めちゃくちゃ引き離そうとしてただろうに。
後ろの席のサートゥルナーリアに返事をすると、担任がこの学園のカリキュラムやら、トレーナーについて簡単に話してくれる。
「皆さんの最初の目標は、選抜レースと呼ばれる模擬戦となります。それまでは、このクラスを受け持つ担当教官が基礎的な指導を行いますが、選抜レース以降は、担当トレーナーを付け、それぞれの練習へと変化していくでしょう」
終礼がかけられた教室は、一度静かになる。
担任が教室から出れば賑わいを取り戻し、近くの生徒同士が話し始める。サートゥルナーリアも、僕の右隣に座るダノンキングリーと話し始める中、僕は思う。
「先生、いるかな……」
競走馬時代、僕の背中に乗り続け、騎乗依頼が被った時も絶対に僕の背中に乗ってくれた先生。
トレーナーというと、道夫のおっちゃん系だと思うが、先生のような、優しく、しっかりと見守ってくれるトレーナーがいてくれるとありがたい。
「ずーびーずーだー! ツァーリ!!」
ガシッと音が鳴るくらいの強さで肩を掴まれた僕。目の前にいたのは、先ほどいきなり一目惚れ宣言をした問題児。サイドテールにされている髪の毛。目は黒色。大きな瞳を輝かせながら見てくる彼女。
思考を放棄した僕は、そういえば、おっちゃんが言うに、グランアレグリアは普段僕並に大人しいくせに、僕の前だということ聞かない。なんて言っていたような。と思い出に浸る。
「ツァーリちゃん!! あなた好きな食べ物は何? やっぱりニンジンハンバーグでしょうか! 今度私が作って来ますので食べてください! どれくらい量は食べますか? やっぱりたくさん? ああ大丈夫です! 私がデビューすれば連戦連勝ですから、ツァーリちゃんの食費ぐらい大丈夫です! あなたは体型の維持をして、好きなだけ食べて好きなだけ寝てて良いですから!」
好きなだけ食べて、好きなだけ寝て良い?
その言葉を聞いて、耳をピクピクする。思い浮かべるのは大魔神だ。ノーザンファームしがらきでの放牧。僕はそこで騙された。
それ以降も、放牧の度に僕は同様のことを言われ続けた。
夏の短期放牧で行った天栄の時も、僕はその言葉を信じて裏切られた。それ以来、僕は……。
嘘だ! と叫ぼうとした時、グランアレグリアは、彼女の後ろから現れた大きな体のウマ娘に掴まれていた。
「グラン。いつものお淑やかさはどうしたの」
「あ! ジェネちゃん! あーでも、抑えられないの私。ツァーリちゃんを見るとドキドキして、これが、恋? きっと私とツァーリちゃんは前世でも夫婦で」
「ごめん、僕は落ち着いた人が好きだから」
彼女の言葉を遮った僕。数秒の沈黙の後、教室内が爆笑に包まれた。
あれ? なにこれ? 僕、何かやっちゃいました?
ズヴィズダツァーリ
食う寝るが好きな天然女好き(年上派)
サートゥルナーリア
姉のアーモンドアイに劣等感を持つお嬢様
ダノンキングリー
自分の才能を生かすためマイルに向かう努力家
クロノジェネシス
孤高を目指す真面目ちゃん
グランアレグリア
普段大人しいくせにツァーリの前で暴走するマイラー
とある部位の大きさ
99 ツァーリ
89 クロノジェネシス
81 ナーリア、グランアレグリア
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70 サイレンススズカ
66 ダノンキングリー
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