オビトのヒーローアカデミア   作:大山猫

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新年一発目の投稿です、本当は12月には間に合わせようとしたのですが・・・


だらしない作者ですまない・・





新しい奇妙な世界 中

ズズズ・・・

 

建ち並ぶ建物の間、狭く、早朝なのにほとんど陽の光が当たらない裏路地にオビトは『飛んだ』

(瞳術『神威』・・・いや、この世界では『個性』だったか・・)

外に出て直ぐに携帯から着信を告げる音が鳴り出した。 

おそらく昨日の一件につてクラスメイトや担任から送られてきたのだろう。

本当に奇妙な世界だと、オビトは小さな機械に目を向けながら小さく呟やき、ゆっくりと目的地に向かい歩きだした。

 

瞳術としてではなく個性としてこの『神威』が発現した時は本当に奇怪なものだった。

この『個性』は恐ろしい程、己自身に馴染んでいたのだ、幾らこの『眼』を使おうととも、少しも何の『異常』もないのだ。

 

『万華鏡写輪眼』

深い絶望と引き換えに強大な瞳術を得ることが出来る、写輪眼の上位形態。

だが、大きな力にはそれに見合ったリスクが付き物だ。

 

無論、この万華鏡写輪眼も例外ではない。

星の数ほど有る術の中でも、万華鏡写輪眼の持つリスクは異色と唱えられる部類だ。

 

  そのリスクは、『視力の低下』・・・

『万華鏡写輪眼の瞳術を使えば使う程、その瞳から血の涙を流し、やがて光を失う、酷使すれば命の危険すらあり得る』・・・うちはの人間にとって自身の双眸は『憧れ』であり『誇り』であり、自らを『うちは』たらしめる『象徴』なのだ。

 

そして、真に恐れるべきはリスクその物では無い、大切な人を失い、何もかもが不安定の状態で凶悪な力を手にした・・・開眼者本人なのだ。

 

 

うちはの人間は激情に駆られるとその燃える様な憎しみが消えるまで、または己が果てるまで

手にした力を携えて、救いようの無い闇へと堕ち続けるのだ。

これもうちはの『愛情』深さ故の事か……

 

だが、そのリスクを背負わずに済む方法が有ると知ればどう変わるか?

失明と言うリスクから逃れられると知れば多くの者がソレに手を伸ばすのは想像に難くない。

 

(悪に憑かれた一族か・・・)

オビトはぼやく様に心中に放った。

 

 

失明(リスク)を回避する方法は存外に簡単なものだ。

 

その方法は・・・『他者の両目(万華鏡写輪眼)を己の万華鏡写輪眼と入れ替える事』そうすれば永遠に光を失う事の無い『永遠の万華鏡写輪眼』えと変質する。

 

 

先程、記した通りうちはにとって己の眼は、己自身の存在証明のような、行き過ぎた崇拝の様な物を持っている。

 

故に、殺し奪えば、今度は自分が殺される、さらに自分にとって親しい人物が自分を殺した相手に復讐の刃を向ける、『愛情』深さゆえに。

その永遠の様な不の連鎖こそが、うちはを厄介な復讐鬼に変えるモノ

なまじ力を持った一族だからこそ、その殺し合いが戦争の火種にも成りかねない。

 

どんな小さな火種でも広がれば波紋を呼び大国同士の戦争に発展しかねない、大国の忍同士の戦いなど、とても周りの小国の民が太刀打ちできるはずもなく、

『たまたま戦地に近かった』と言う理由で自分達の直ぐ目と鼻の先で争いが起こり無関係の自分達が戦火に怯えまた、多くを失った者もいる。

 

忍の世界は理不尽が息をして闊歩しているようなものだ。

オビトも若干13歳にして戦争に駆り出され『戦死』した、まあそれも・・・表向きには・・だが。

 

その理不尽と消失の振り撒く世界を壊してやろうと考え暗躍した時期もあった。

多くの人間を騙し、殺し 

最早手段など選ぼうともせず、歪んだ正義感と『同情心』で多くの命を奪ってきた。

 

頭がグラリと揺れたような感覚に陥った。

今まで、ふと頭の角に置いてたモノが、まるで死角から頭の中を殴り付けたように感じたのだ。

『逃げるな』と言わんばかりに。

 

(解っている)

大きな決心と戒めの心を持ちながら、頭の中の幻聴に向かって返した。

 

 

気付けば、路地裏から大通りに出ていた、空は快晴そのものだ、久方ぶりの陽の光で目を細める。  

道行く人々は、どこか物憂いた様子で、空とは対照的な陰鬱とした雰囲気を纏っている。

 

出勤や登校の雰囲気などどれも似たようなものだなと、今度はアカデミー時代の事に思い馳せていると

 

「昨日は随分な騒動だったわね、オビトちゃん」

 

不意に後ろから声を掛けられた、声の主は何となく振り向く前から予想は付いていた。

振り向きつつ、(やはりそうだ)と予想は確信に変わった。

 

殆ど毎日みる姿は、やはり変わりは無い、

特徴的な前項姿勢、腰の長さまで伸ばし、蝶の様に結んだ黒髪

小柄な体格、大きく澄んだ瞳の少女。

 

「ヒーローの現場に乱入して事件解決、とても学生の行動とは思えないわね」

 

薄々、声色から感じ取っていたが、まさか第一声からこれとは。

 

「・・・言い訳の様だが、ヒーロー達はかなり浮足だっていた様子だった、人質も限界の危険な状態、

そんな状況だってのに、ヒーロー達は優位な個性持ちの応援が来るのを悠長に待っていた極めつけには、ヒーローでも無い子供が飛び出してきた・・・」

 

言葉は最後に途切れ、か細い余韻だけが残った。

 

情けない事に、勢い任せなの弁解(言い訳)は彼女の機嫌を損ねただけだった。

暫時、両者の間に数秒程の沈黙が浮かんだ。

数秒程の沈黙にかかわらず、オビトにはそれが何十分にも感じた。

 

「・・・人質が助かったから問題無し、そんな結果論はもしもの時には通用しないわ」

 

「・・・・・・」

 

沈黙を破った筈の彼女の言葉は更に二人の間にある溝を広げた。

チラリと彼女の顔色を窺えば、大きな目が特徴的な顔には如何にも不機嫌と眉をひそめている、さらに一段と空気が重く、無音という名の溝は最早、底が見えない程深い。

 

オビトは彼女の言葉に対して返す言葉も無いと感じていた、自身の立場を考えてもとても意気揚々と昨日(ヘドロ事件)の事を自身の功績と息巻いてひけらかす事も出来はしないのだ。

 

尤も自分はそんな情けない真似は絶対にしないと断言できるが。

 

彼女とはそれなりに長い付き合いだ、自分が功績や私利私欲の為に力を揮う事は間違ってもしない

と言う事は理解してくれているだろう。

 

彼女が、『蛙吹梅雨』が自分を責める理由は、自分も解っているつもりだ。

 

純粋な親切心とやさしさ、それが彼女の真剣な眼差しから痛い程伝わって来る、だからこそ後ろめたさで居心地が悪く、彼女の顔を直視できない。

 

それに本来、学生がヒーローの現場に立ち入る事はその若い人生を棒に振る程に、過大な責任が掛かる。

事実それで身に余る程の処罰が下ったヒーロー気取りの学生はそう少なくない。

 

彼女は俺に危ない橋を出来るだけ渡ってほしくないのだろう。

 

彼女(蛙吹)にとって俺は昔馴染みの友人なのだ、それ以上でも以下でもない

 

だが、彼女は知らない俺の戦いを、今までの道のりを、言える筈が無い。

 

俺の事を唯の正義感の強い友人と思っている。

 

 

何時か、ヒーローに興味が有ると、彼女の前で口走った事があった。

発現には大した意味は無い、ほんの少しの好奇心にも似た何かが自分の中にあった、自分の居た世界にはな無い、自分にとってはこの世界を象徴するようなものだと感じた。

 

彼女は珍しく浮かれた様子で『なら、一緒に目指そうと』鮮烈な勢いで迫った。

彼女の熱意に押され、結局のところ断り切れずに中学卒業間近の現在まで来てしまった。 

 

とはいえ発言自体全くの虚言と言う訳ではない、まだ忍として積み上げた物を持て余し、捨てきれずにいる自分には単純に向いていると思ったからだ。

 

それに彼女にとっては志を同じくする友人、そう考えると断りづらい、それに自分にはとってもそこまで悪い話ではないと思った。

 

「・・・チャン・・」

「・・オビトちゃん」

 

「・・ぁ・」

またか、今日はやけに多い、・・・疲れているのだろうか。

 

「大丈夫なの?」

「大丈夫だ、少し没頭し過ぎていただけだ。」

蛙吹の声に少々驚きながらも、返事を返す。

 

「オビトちゃんは何時も考え事をしているのね」

「・・・スマン」

皮肉とも心配とも取れる言葉に声のトーンが落ちるのが自身でも認識できた、全く耳が痛い。

彼女との会話の最中に意識が何所かへ外れてしまった事が今まで幾つも・・・少なくとも両の手の指では数えきれない

 

「そろそろ、行きましょうか 遅れてしまうわ」

 

立ち止まってから数分、流石にこのまま説教するつもりは無いらしい。

 

・・・本当に朝から気が滅入る。

 

「ああ・・」

 

覇気の無い返事を返すと、再び二人は目的地に向かい歩き始めた。

 

 

 

 

 




案の定、前回は誤字だらけで申し訳ない

報告してくださりありがとうございました。
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