ソードアートオンライン オリシュゼーション・リコリス   作:愁雨

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スーパーロニエちゃんとは 原作19巻、20巻を改めて買い直して読んだら
ソニックリープしてたロニエちゃんがかっこよかったので唐突に生えたロニエちゃん主人公のお話。アンダーワールドで戦うのが主だけどいきなりどっか別の世界でスラッシュアクションするかも知れないスタイリッシュアクション系のお話。

その内、鋼素と炎素 混ぜた銃弾みたいなものブッぱするんじゃないかな?ぐらいなノリ。

チートなお師匠様に育てられた結果、弟子もチートになるヤツ。
一ヶ月間でどれだけの地獄を見たのか……
尚、キリト君の持っていくはずの夜空の剣は【夜空】の銘が与えられた直刀剣(刀と片手剣の特性のある複合武器)となって彼女の愛剣となります。時系列が過ぎたらたぶん、月影と二刀流する。


【予告編】スーパーロニエちゃん:傍付きになったらその人がウルトラトンチキチートでした【ダイジェスト】

~後にアンダーワールド大戦と呼ばれる事になった最終負荷実験終盤~

 

「ティーゼ。 後はお願いね?」

 

「ロニエ! いくらユート先輩が申しつけたからって……!」

 

 外には多数の外界人と思しきものたちが群れなして押し寄せている。

 肝心要の最強戦力は 整合騎士アリスを外の世界に誘うためにここには不在。

 

 騎士長も、副騎士長も割り振られた戦場に。

 東の大門から攻め寄せる闇の軍勢本隊のみならず、東西南北に別れた四方の要害、その全てからの侵攻。

 

 東の大門からの侵攻という予測は大きく崩された。

 その劣勢状態を再臨した最高司祭と司祭代行の両名の元に人界軍は反攻作戦に出た。

 

 創世主達が望む辿り着いた者(A・L・I・C・E)と呼ばれる存在、整合騎士アリス 青薔薇の剣士ユージオ。

 そのどちらかの外界への到達 と それを阻むために送り込まれてきた創世主達の敵対勢力との闘い。

 

 最終負荷実験と称された闇の軍勢と人界軍との大規模な戦争。

 

 二局面の作戦と選抜された両名を同時に送り届ける事の難しさ。

 各人の気質ともしもの場合の予備まで含めて考えられた結果。

 

 最強戦力を自らも戦いうる準最強格の整合騎士アリスの直衛に当て外界に。

 青薔薇の剣士ユージオを最悪のケースに備えた予備として残し、また、本人の希望から北帝国の要害、北の洞穴からの侵攻に対する戦力として残す事となった。

 

 再臨した最高司祭(アドミニストレータ)のその力量と祈願により 創世神話の三女神の来訪。

 司祭代行(カーディナル)の招聘により 黄昏の魔女 と呼ばれる存在とその強大なる使い魔 災厄の鎧 が外界より呼び込まれる。

 足りぬモノはあるところから引き込むと言わんばかりの手法はしかし。

 

「……闇の軍勢も同じ手を使う事が出来る。そう言ってはいたしね。その為に、先輩は私をここに残したわけだし」

 

 そう言うとロニエは その装具を修剣学院女子制服から師より譲られた白い外套とその合わせの具足たる異界に於いて誂えられた【レギオンストームジャケット・レギオンストームブーツ】に。

 

 立て掛けられた 師直伝のチートによって使用を許された黒き直刀剣【夜空】。普段であればその重さに耐えられないはずのそれを【使用権限拡張処理】という源流は最高司祭様の秘術を施され使用権限を自らに移した神器を腰に吊るす。

 只一度のみ【武装連結連奏(ウェポンオーバーライド)記憶解放術(リリース・リコレクション)次元斬・界境崩落(ディメンジョンスラッシュ・ワールドエンド)】と言う師がもっとも得意とする神器相当と目された閻魔刀の極技を再現する事が許されたチートも甚だしい魔改造神器である。

 

 手甲、脚甲も自らの体躯にあわせて 装飾品店の主人と師と三人で幾日もかけて調整した近接格闘技に特化し、尚、武具の扱いに影響を及ぼさぬようにした逸品。

 

 そう。

 最終局面、敵方の詰みの一手を突き崩す。

 その為に 彼女は選ばれた。

 

 リアルワールド、外界より呼び込まれた者を次元の壁を切り裂いて 仮想現実(VR)から現実拡張(AR)に送り返すという脳の処理すらも上書きするもはや意味不明の不可解極まりない一斬を再現するために。

 

 よりにもよってその担い手がこの少女であるなどとは、現実世界から来る者、誰にも秘したまま。

 

~それより溯って学院生活~

 

「ああ、確かに偉いのだろうな。お前の家は」

 

 少年は吐き捨てるように。

 この世界で知り合い、ここまで共に歩んできた友と言ってもいい男を侮蔑した二人の貴族を明らかに 敵 と認識した。

 その目は かつて そう。ここではない遥か遠くの。今ではない時を溯った先の。

 天空城アインクラッドに於いて 絶殺を誓ったとある男に向けた視線と同質。

 

「ライオス・アンティノス と ウンベール・ジーゼック だったか? 僕はな。おまえ達の【家格】には敬意を表するが、おまえ達個人に表するモノはない」

 

 そうでなければ、身分の差を持ち出してしまえば、指導する者と指導される者で逆転現象が起きうるだろう?

 

 語るのならば剣で語るが良い。

 

 少年は

 

「……貴様……帝国基本法を軽んじると言ったのか……?」

 

「耳が悪いな。僕は『個人』を指しているぞ。天職によって家を継ぐ事が決まっているのならば、こんな所にいる価値も意味もない。さっさと貴族のお役目を果たしに家に帰れば良い。そのまま、主席となり栄誉在る騎士になりたいのなら、死ぬ覚悟の一つくらいはあるんだろう?」

 

 冷えた言葉は世界の条理に真っ向から反する。

 そう、本来であれば禁忌目録に反するこれらの言動はしかし。

 不可思議なる不可解なる現象を持って【元老院】の監視を逃れる。

 

 彼等、ライオスとウンベールは気が付かない。

 

 余りに隔絶した力の差が 異常を異常と感知させず 世の理 をねじ曲げているなどと。

 

 そう。『少年が既にして人界の守護者たる最高司祭と同質の存在によって祝福とその庇護を受けている』など理外にもほどがある。

 

 そも、無登録民である少年は 原則的に 禁忌目録の逸脱を監視される対象ではない。

 翻って絶対の法にそもそも従う立場にない少年にとり、その他の如何なる法も従う縁はないのである。

 

 生粋の無法者が其処にいた。

 

 視線を切り、その手に引っ提げた練習用の木剣で これまた練習用の打ち込み用の木人形を。

 

 鞘はない。されど、鞘があるかのように納刀の形に構え。

 振り抜く横一閃。

 それはアインクラッドに於いて 刀スキルに属するソードスキル『絶空』。

 

 型も何もないそれは只弾かれて終わる。そう信じて嘲笑ってやろうとした彼等の目の前でそれは。

 

 真横一文字にずれて木人形が切断される。

 

「同じ道具で同じ事が再現できないのなら、土台にすらたてない。……試合の場で無惨な屍にならなければ良いがな。試合の中、一撃であれば。修剣士の至る騎士の目指す剣戟の極致。一撃必殺が為されたのであれば天命全欠損もやむを得ない と特例を持って許された事項だ。貴族裁決権が処刑を許すようにな」

 

 それは彼等すら及びもつかぬ処刑宣告。

 次の公式の試合の場で出合えば 切り捨てる。

 それが嫌なら うまく調整して下に落ちろと。

 

 真の殺意、殺の心意に充てられ 凍り付いたように動けなくなるライネスとウンベール。

 彼等の心に貴族の自負が甦った頃には既に彼はその場から消えていた。

 

 

~北セントリア修剣学院のとある上級修剣士の部屋~

 

「……ロニエ・アラベル か」

 

「は、ハイ! ユート主席上級修剣士の傍付として一年間、お側に控えさせていただく事になります!」

 

「じゃあ、最初の命令というか、お願いだけど」

 

「ハイ!」

 

「……その口調、やめない? もう少し砕けて良いよ。礼法合切は君の方が理解しているだろうから時と場合と人を選ぶ目はあると思うし。その上で、僕にはもう少し砕けて良い」

 

 そんな事を言いながら、窓を眺めていた視線を切り、少年は少女を見据える。

 修剣学院の制服に身を包む少年の目は それまでの彼とは違い意志の強さに装われている。

 

 砕けても良いと言われて彼女は困惑する。

 何しろ、そう言う意識は欠片もないのだから。

 その礼法自体が、自分の傍付きにこそ礼儀正しく接すべしとしているのだから仕方ない。

 

「まぁ、アレだね。こうしよう。 僕は無位無冠の流浪の稀人だ。仮にも貴族の家系である君と比べた場合、家格の差がある。故に、貴族として気を使わねばならない部分を守れば良い」

 

「……流浪の稀人……?」

 

「そう。僕はやがてはここを去る……その前に……」

 

 空間が歪む。まるでそこが切り離された異空間のように。

 其処にいてはいけない誰かの気配を 才覚在るロニエは感じ取る。

 

 揺らぐように 三人。

 見えざる人たちの庇護を受けているかのよう。

 

 後のロニエは知る事になる。このときに感じた気配こそが。

 彼を電脳の世界において庇護する【転生司祭。司祭代行、黄昏の魔女】と呼ばれる三聖人であったと。

 

「僕は君の手を採った。選択権は此方にあり、最後に残されるであろう家の格の差で弾かれていく君たち二人を選ぼうとユージオと相談して予め決めていたからね」

 

 ロニエは幻視する。

 見えてはならないモノ、あるいは、稀人という言葉が正しいのならば、この歪みの先にある者こそが、彼の帰るべき場所に繋がっているのか。

 

「その手を採った以上、僕には君を傍付きとして指導する義務がある……とは言え、僕が教えてあげられるのは お上品な騎士としての戦い方ではなく その先をつかみ取るための 戦士、闘士としての戦い方だ」

 

 心意 と呼ばれる強大な力があると。

 ロニエはお伽噺の中でそれを知った。

 世の理すら、意志の力でねじ曲げてしまえる者。

 

 虚空に手をかざし 武器を引き抜く。

 それだけであるのに、それを行える事の異常をロニエは理解する。

 目の前の人はきっと。人の姿をしている神と同じかそれ以上の存在なのだと。

 

 一振りの剣を ロニエの前に。

 

「……本来、その剣は僕の代わりにここに立つはずだった男の手に委ねられる剣。銘を 夜空」

 

 【夜空】の銘に恥じぬほどに黒く重い。

 悪魔の樹と呼ばれたギガスシダーを削り剣の形に整え直した一振り。

 

「君にこれから先を生き抜くための力を与えてあげる事は出来る。でも、力を振るう意味と理由は自分に生じたモノ、自己の裡に見つけるんだ」

 

 その剣を指で招き寄せると握り取り、無造作に構える。

 それが構えであると理解できたのは僥倖だった。

 

「秘伝剣技として各流派に語り継がれている【秘奥義】。それらが形となる前の源流、アインクラッド流の剣技 と ここより遠く。選ばれた者しかこの世界より渡る事が出来ぬ異界、リアルワールドの戦闘術理論」

 

 その言葉は異様、異質に響いて、尚、少女の裡に刻まれる。

 そう。目の前の人は 並み居る貴族の嫡子。その選ばれた者達を押しのけて主席に立つ剣士。

 無位無冠、爵位すらもたず、どこより来たのかすら定かではない。

 されど、誰よりも深く 神聖術 法学 史学 にすら精通した才人。

 

 どこよりその知識を仕入れているのかすら定かではない領域で、各教師陣と丁々発止とやりとりすらしているのだ。

 

 それがいわゆる 不正行為(カンニング)の賜であろうなど誰が知ろうか。

 

「ロニエ。君に僕の持てる手管を徹底的に仕込む。僕の域になれば、くだらない貴族の手が及ぶ事はないけど、5等貴族、6等貴族である君やティーゼは次席まで引き上げたユージオを蹴落とそうとする者や僕自身をやっかむが手が出せぬ者達の手によって貴族裁決権を使って貶めるには最適の的だ」

 

 爛々とした目にロニエは捕らわれていく。

 それが正しい事か否かは横に置いて、彼女の命運はこのとき、明らかに変転した。してしまった。

 

「傍付き錬士たる君に 僕という異物の後を追えとまでは言わない。その手で大切な者を守れるように。護るべき者を守り抜く力を手にするために。命の価値をその手に掴むために」

 

 くるっと向きを変えた【夜空】の柄を差し出すようにして。

 

「その手に剣を帯びる覚悟があるのなら、これを握るんだ。重くても、辛くても、誰かのための刃になると。友を守るための力になると」

 

~時は戻って 最終負荷実験終盤(2日目)~

 

「あの時。差し出されたこの子の柄を握ったときに決めたの」

 

 腰に佩いた【夜空】の柄を撫でるように。

 

「私は、この人の傍付きで居ようと。例え、その道が辛くても、師の示す道を。剣術以外のあらゆるを受け継ごうと。その上で 守ると決めたの。大切なお友達を」

 

 ロニエは回想する。

 

 あの時、一手遅れたせいで不覚をとった。

 貴族懲罰権を持って、女性の尊厳を傷つける邪淫。

 

 彼等はそれを主席と次席にまで駆け上がった無位無冠の少年達を蹴落とすために。

 傍付きすら守れぬ無能者に貶めるために。

 

 目の痛みさえなければ、抉られそうな痛みを堪えたせいでティーゼが人質に取られ。

 遅れてきたユージオともども 貴族懲罰権を盾にしてティーゼを嬲ろうとする二人の悪漢の前に身動きが出来なくなり。

 先に自由を取り戻し、青薔薇の剣でウンベールの腕を切り飛ばし、されど弾けた目の齎す激痛で動けなくなったユージオ。

 ティーゼの身を案じ傍による事を優先した自分を横目にして。

 遅れてきたユートは状況を確認し、即座にライオスの背後をとり、一切の抵抗の余地なく首を折った。 

 

 自分がなんのために、ユートから「もしもの時に正しさを貫ける力」を学んだのかすら解らなくなった瞬間だった。

 

 師である彼はそれを咎めず、『その条件ならティーゼの身を守るのが最適解だ。手札を斬らずに終わらせた事。それが次に繋がる』

 

 そうとだけ言葉を残した。『次』。

 そう。次が来たのだ。

 もし、あの時、自分が対処しきってしまえば、その先を無事にやり過ごせたのかは解らない。

 あの条件下で、ユージオが ALICE に至らなければ。

 ユートが 明確に禁忌目録を破り、ユージオと共に行く事を選択しなければ。

 

「ティーゼはここに居て。負傷者がたぶん、一気に増えてる。救護、救援も大事な仕事だから……それじゃあ、伏せ札としての仕事をしてくるね」

 

 そうしたそれぞれの選択が。

 今、このときに繋がってる。

 師と仰いだ ユート主席上級修剣士のその薫陶を胸に。

 

 敵の思惑の一番骨子を破壊する。

 

~人界軍 駐屯地 防衛ラインにて~

 

「あなたが再起できてるとは思わなかった」

 

 肩口を抑えアスナは息を荒く吐く。

 PoHと呼んだ男。SAOに置ける茅場晶彦と同等か、あるいはそれ以上の悪意の持ち主。

 

 この男の危険度を理解していたからこそ、発見次第最大攻撃を見舞ったというのに。

 マザーズロザリオ。ユウキの作り上げたそれは確かにあの男の胸元に風穴を開けた。

 だが、それではなかった。

 この男をこの世界より退場させるつもりがあったのならば。

 頭蓋を断ち割る唐竹 か 首と胴体を切り離すネックカットの必要があった。

 頭が残って思考できる限り、この男のソレは止まらないのだと。

 

 自身が不利に追い込まれて漸くアスナは理解した。

 スーパーアカウント【創世神ステイシア】の力を。その権能を駆使しても尚。

 

「あの女はどこだ……?」

 

 メイトチョッパーが戦場の死を吸い上げ、PoHに強大なリソースとして力を与えていく。

 

「あの最高司祭だとか言うクソ女はこの世界に居やがるんだろう……?」

 

 憎悪に塗れた声は只ひとりの女に焦がれる。

 復讐、報復に彩られた感情はしかし。

 

「……最高司祭様ならば、ここにはおられませんよ。そもそも最高指揮官が前線に出なければならない軍隊は破綻します。あなたたちの指揮官、暗黒神ベクタが此方の最強戦力に潰されるように」

 

 白いコートを羽織った少女 が そうなる事を確信した声で未来を決定づける。

 

 誰しもが目を見張る。

 SAOからその姿に慣れ親しんだ者も居る。

 違うゲームですら、彼はそれを装っていた。GGOですらそれをモチーフにした白の防弾コートを誂えていたのだ。

 その彼を代表するかのような【レギオンストームジャケット・レギオンストームブーツ】を我が物かのように着込んだ少女。

 

「……ロニエさん? アレ、その恰好……え?」

 

 アスナをして驚愕する。

 彼があの装備をこの子に与えた。

 その意味するところは。

 

 クラインもエギルもシリカもそれを見て驚く。

 つまりはそれの意味する事は。

 

「ロニエ・アラベル。ユート主席上級剣士傍付き錬士。名も知らぬ外界の外道。あなたを終わらせる者です」

 

 【夜空】を鞘内に腰だめに構え彼女はPoHの前に立つ。

 

 抜刀の構えからの抜打ちの刀ソードスキル 絶空。

 黒い【夜空】の元となったギガスシダーの持つリソース吸収能力と重なり合ったその一斬は。

 PoHに付き従うかのようだった赤鎧の暗黒騎士達は痛みを感じる間も無く退場させる。

 

 PoHが言葉を放つその前に被せるようにロニエは言葉をつなぐ。

 そう。彼と戦うときに必須なのは会話をしない事、させない事。

 煽動PKたる彼はその言葉で人を玩弄し操る。

 

「私にあなたを怖れる理由はありません。同じ世界より来られた方々は、あなたのしてきた悪意を知っているようですけど」

 

 アンダーワールドはリアルワールドより死が近い世界である。

 人の死はいつでもどこでも近くにあった。

 それ故、怖れないのではなく。

 恐怖の感情を持ってこの者と接するという事は。

 

 負の心意が相手に力を与えてしまう。

 相手が強いと知る者がPoHに強さを与え、恐怖が力を与える。

 誰かしらがどこかで感じるそうしたイメージが無意識のうちのPoHの力へと変わっていく。

 

 故に。この魔人を切り伏せるのは。

 

 PoHという者に何の因縁もない者が一番望ましい。

 そう、執着する者の手で終わるなどという幸福を与えてはならず、また、無意味に無価値に終わらせなければならない。

 路傍の石の如く。

 

 事実、ロニエの為した最初の一斬から彼は正気を取り戻せていない。

 そう。『いきなり現われた小娘に乱入されて、俺の目的が叶わなくなる』という意識に囚われたのである。

 そして、それまで戦っていたSAOからALOにGGOへと戦い抜いてきた歴戦の猛者達の共通意識『PoHという最低最悪の殺人鬼』という思い込みによって強化されていたPoHを。

 全く知らぬと吐き捨てる事で凶悪無比なイメージの鎧を剥ぎ取る。

 

 そのイメージを剥ぎ取った瞬間、彼の総身を悍ましい寒気が襲う。

 けして癒えたとは言えぬ彼に刻まれた電脳世界でのキズ。

 自分の全く見知らぬ女と敵対するという事は彼にとり絶大なる負荷が起きている。

 

 戦士として鍛えられた精神性がそれを取り繕い、即座にこの女を斬り殺さんとメイトチョッパーを。

 

 【夜空】と【友切り】が鍔攻リの如くにぶつかる。

 それが敗因になった。

 ギガスシダーの持つリソース吸収能力をその刀身に秘める【夜空】。

 ロニエは己が愛剣となったその剣に。

 

「……【記憶解放術(リリース・リコレクション)】!」

 

 瞬間膨れ上がる圧倒的な闇。あらゆる光、あらゆるリソースを吸い上げ成長した悪魔の樹。

 その記憶は正しく、吸収の力。

 友切りの力は命を吸う、死を吸うに過ぎず。リソースであれば全てを吸う 夜空 の前に。

 

 打ち合わせた刹那に解放された夜空の記憶が 友切りから凄まじい勢いでリソースを吸い上げていく。

 

 そう。アスナのマザーズロザリオはけして効いていないわけではない。

 彼の肉体は死に体であり、それを戦場に充ちた死を吸収する事で強引に動かしている。

 その身体を動かすためのリソースが奪われてしまえば。

 

 がくりと身体から抜けていく力。

 PoHの身体に充ちていた偽りの生命力が。

 

 崩れ落ちるPoHの身体を一切の加減と容赦なく。

 打ち合わせた剣を強引に振り抜き、後追いするように【夜空】専用に誂えた鞘を振り抜く。

 その動きは駒の如く遠心力を活かした鞘による殴打術。直伝抜刀術【旋風独楽】。

 血こそは流れぬそれは戦場において許される天命欠損の一打となる。

 

 頭蓋を砕いた感触すら感じて。

 事ここに至り、ロニエには一切の無駄はなかった。

 夜空が吸い上げたリソースをそのままに流転し、最大の一手につなげる。

 

 一呼吸。目視。広域にわたる戦場の全ては見えない。

 二呼吸。天眼の目付。俯瞰するかのように戦場を把握する。

 三呼吸。【夜空】を納刀する。次の一手は抜刀の業の極致。

 

 顔を引き攣らせるアスナ。もし、彼女が真実彼の直弟子であるというのならば。

 この局面、敵対するものがどこから来たのかすらわからず、圧倒的なまでに多いという数の理不尽。

 それを覆してしまえるヤバめな技を教えられていないわけがない。

 

 四呼吸。四拍が調う。意思は定まる。この世界に来た敵意持つ稀人をもれなく想起する。

 五呼吸。不可能な事はない。出来ない事もない。なぜならばこの一斬こそは。

 六呼吸。抜刀一閃。

 

武装連結連奏(ウェポンオーバーライド)記憶解放術(リリース・リコレクション)次元斬・界境崩落(ディメンジョンスラッシュ・ワールドエンド)

 

 式句は告げられ やってはいけないレベルの一斬が再現される。されてしまう。

 如何なる意志を持っての事か。何故とかどうしてとか理屈とかそういったことをすっ飛ばして。

 その一斬は次元の壁、世界の壁を切り裂く。

 閻魔刀と呼ばれた刀の持つ原典の力とこの世界において定義された力が融合し剣の記憶として宿り。

 その記憶を解放するが故に。

 世界の壁は崩落する。

 

 納刀する音が響く。

 

 音が消えた世界に静寂が戻る。

 数万人規模いた闇の軍勢に加勢していた外界人達は敵意のないものを除いて一切の加減なく強制転移させられた。

 

 残るのは鞘打ちで即死しないまでも死に体となったPoH一人。

 

『ようやったの。見事じゃ。わしが広域術式を使わずとも、アスナがステイシアの力を使わずともすんだな。お手柄じゃ』

 

 司祭代行リセリスがその声を放つと同時に現われる。

 二手に分かれた作戦指揮。中央統括と全域をクィネラが担当し、転移術を持って各領域の指揮と修正を行うのがリセリスであり、その直下に整合騎士がおかれた。

 

 そしてこの場に用意されていた特級の鬼札が 異界より舞い降り乱心召された最高司祭の目を覚まさせたる人界最強の剣士が 見出したその後継。

 

 後に界境の守り手(ゲートキーパー)と呼ばれるロニエ・アラベル。

 整合騎士番外となる少女の伝説がここに幕を開けたのである。

 

 

 

 

 




学院規則とか帝国基本法とか禁忌目録とか全貌解らないと抜け穴作れない……

【メンバー追加】ロニエのチームには余裕があります。整合騎士 か それに準ずる能力者が最高司祭様に投げ込まれてきます。果たしてそれは誰?

  • 一時期の里帰り中:整合騎士アリスちゃん
  • 現実界特別交流大使:黒の剣士キリト
  • 二人は物騒:フィゼルとリネル
  • 現在滞在中:創世神ステイシア・アスナ
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