ソードアートオンライン オリシュゼーション・リコリス   作:愁雨

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【ミッション1:魔獣討伐】
 
 発:司祭代行カーディナル・リセリス
 宛:人界軍予備役に属する人員

 エリア  北セントリア

 作戦目的 闇の軍勢の襲撃後、その余波に当てられてか魔獣達が活性化している。
      整合騎士を派遣するか否か、威力偵察を敢行する。
      魔獣の脅威度を測る事を目的とする。
      神獣の発生こそは確認されていないが門外の領域には封印禁足地がある。
      最終目標として、禁足地の封印の石碑の状態を確認する事。
    

 注意事項 本作戦は生還が第一義となる。その為、単独での作戦遂行は厳禁とする。
      必ず力量の差が開いていない二名以上を持って作戦に臨む事。


ミッション1 まじゅうとうばつ なかまをそろえよう!

~セントラルカセドラル・大図書館 兼 カーディナル執務室

 

『駄目じゃ』

 

 にべもなく一言で司祭代行はロニエとティーゼの進言を却下した。

 二人よりも背が低い、されど威厳と位格は比較にならない人界においてのトップの一人はその眼鏡越しの叡智溢れる眼で判断した。

 

「え……でも、ティーゼとは修剣学院でも組んでやってきました」

 

 だからじゃよ。 と前をおいて、司祭代行は問題点を挙げる。

 ティーゼ と 今現在のロニエでは 力量差が装備の関係も相俟って釣り合わなくなっている事。

 結果、生還を目的とした本作戦に従事するには彼我のバランスがわるくなる事。

 もし仮に神獣の発生が確認された場合、最悪のケースは討伐任務に移行する可能性があるため、戦線維持と戦線離脱が可能な人材が望ましい事。

 

『後、肝心な事じゃがな。わしはその作戦の終了後、青薔薇の剣士ユージオを供回りにした外遊巡察を予定しておる。あやつ(クィネラ)め。自分でやりたがらん事は悉くこっちに回しおる……まぁ、何が言いたいかというとユージオと一緒にしばらく旅回りするのとどっちが良いのかという事じゃが。その為の準備等々もあるから此方に回るならこの作戦には参加させられんぞ』

 

「「え」」

 

~北セントリア修剣学院 女子寮 ロニエ私室~ 

 

 ロニエは友情の儚さを思い知る事になってしまった。

 まぁ、それも仕方ない事だと意識を切り替える。

 そうなると相方がいなくなり、単独となるため作戦任務には従事できなくなる。

 

 当てが全くないわけではない。

 刀使いとして意気投合した先輩筋にあたるメディナ・オルティナノスも居る。

 同期の修剣士達から望むのはいささか厳しい。

 傍付きの影響を受けて大戦で活躍した事で成績回りや実績評価が著しいため、敬遠されがちなのだ。

 自分の勲功評価でもって実家の貴族爵位をあげる事に振り分けてもらった結果、4等爵位まで押し上げる事が出来た。

 ゴリ押しも甚だしいやり方 と 勲功評価大なりとされたのを良い事にティーゼの実家も四等まで引き上げてもらった。

 貴族社会には成り上がりだのとか色々良くないようには言われる事だろう。

 

 それゆえに実績を積み重ねていく必要があった。

 

「うぅ……最初っから躓いちゃうとは……」

 

 ベッドの上で丸くなりどうしたものかと考える。

 傍付き錬士であった数ヶ月前ならばそのまま指導生である師に頼めば良かったのだが。ユートもユージオも特例処置で一足飛び以上の間を飛ばして人界軍中枢に据えられてしまった。

 

 ノック音が響く。

 来客の予定は訊いていなかったが、身を咄嗟に整える。

 入出の許可をだすと 1拍おいて。

 

 ガチャリと開けられ、そこから現われたのは。

 

「大戦以来といったところかな。 ロニエ・アラベル修剣士」

 

~北セントリア コールディア平原~

 

「はぁ!」

 

 振り下ろす大剣の一撃が真っ向からハジケアリを両断する。

 知能も知識もなく人の領域を喰い漁る魔獣は ダークテリトリーに住まう者達よりも近しく人間の脅威だった。

 衝撃を与えると体液を弾けさせ爆発するこの魔蟲もまた対処できないものには脅威以外の何ものでも無い。

 質のわるい事に養蜂などで生産されるハチミツを主食とするため、人の領域に良く出没する。

 更に面倒なのはこのハジケアリが確認されるようになると養蜂に使われるハチも凶暴化し人に危害を加えだすという連鎖反応が起きる。

 

 修剣学院の修剣士はこう言った害虫駆除などもその責務となる。

 なるのだが。

 

「……これは、想定以上に数が多いな。のみならず、脅威度も普段より高い……」

 

 四匹 五匹が群れなして現われるのはいつもの事ではある。

 だが、恐らくはその算定される脅威度は。

 ソルティリーナ・セルルトは冷静に判断しながら敵を屠る。

 敵を処理するタスク と 状況分析を行うタスク に思考を振り分ける。

 歩く戦術総覧 と評される彼女はその思考を止めない。

 

 考えながら戦う のではなく その二つを切り分けて戦える類い希なる才の持ち主であった。

 

 五匹を誘い込むように引き寄せる。

 脇構えに大剣を備える。緻密に厳密に定められた位置に身体を収める。

 

 セルルト流秘奥義【輪渦】。

 両手剣ソードスキル・サイクロンたるそれはかつて 彼女自身の傍付き錬士だったユートという破格の剣士の手によって最大五連斬まで行える事を証明された。

 その時、ユートが握っていたのが レイトウカジキマグロ と呼ばれる何故かカテゴリが両手大剣にされてしまうものだったのはいささか納得していないのだが。

 

 だが、それであるがゆえにそのイメージは峻烈だった。

 正しく身体を運べば セルルト流の秘奥義は一斬のみでは終わらず連続攻撃にすらなるのかと。

 

 彼はその扱いを 源流(オリジン)流派 アインクラッド式 と呼んだ。

 そうしてソルティリーナは蒙を啓かれた。

 己の主として扱う両手剣の秘奥義はあくまでその一部でしかないのだと。

 

 秘奥義と秘奥義を連結させる【秘奥義連結】という極峰。

 輪渦すらもその入り口であったなど誰が思おうか。

 

 輪渦が切り裂く5匹のうち、一匹が強化された個体である事を確認する。

 彼女の意識はその一匹を確実に斬滅することに切り替わる。

 輪渦を振り切った五連斬。秘奥義の後には大きな隙が出来るのがそれまでの彼女の常識だった。

 だが、今の彼女にそのイメージはない。

 わずかに身体が硬直する刹那に連続する秘奥義のイメージと動く身体のイメージを重ねる。

 セルルト流秘奥義よりの連結秘奥義。両手剣ソードスキル・カタラクトと呼ばれるそれは特定の条件下において敵を打上げる。

 

 流れるような秘奥義から秘奥義をつなげるこの連携をスキルコネクトと呼ぶ。

 本来であれば。正史であれば黒の剣士ですら5割を切る成功難度のそれを。

 

 ソルティリーナは一切の失敗するイメージを抱く事無く成立させる。

 

 追い打ちをする事はない。本来であればもう一斬加える事すら可能なそれに対して。

 横に飛び退く。

 その影から走り寄る白い影。

 自らの持ち回り分を一足先に片付けたのだろう。

 その余裕が此方へ救援となる。

 

「ハッ!」

 

 源流(オリジン)流派 アインクラッド式 刀術スキル 浮舟・古式。

 

 下段から舟を浮き上がらせるほどの一斬。故に浮舟 と称される斬撃で浮き上がり落下する無防備な対象を再度打上げ。

 

 強化されたハジケアリは散滅した。

 その斬撃を為した者は。

 

「……うむ。見事だ。ロニエ。此方の方が一手間遅かったようだな」

 

 残心を解きその剣を納刀するとロニエと呼ばれた少女はソルティリーナに向き直る。

 

 白コートに黒い直刀剣。大戦において一躍その名を馳せた少女剣士。

 

 奇なる縁はここに結ばれた。

 

 一人の異界より来た稀人を縁にして。

 人界軍将軍 【歩く戦術総覧】ソルティリーナ・セルルト 

 と 

 初等修錬士でありながらもはや番外として扱われる 【源流の担い手】ロニエ・アラベル 

 はこうして邂逅した。

 以後に渡り、長らくの間、轡を並べる事になる二人の最初の任務の始まりであった。

 




りざると

 ロニエはティーゼとコンビ解消しました。
 ユージオ先輩と一緒に旅できるのでウッキウキになってるのを見送る事にしました。

 ソルティリーナが来訪しました。
 何でも、上からの命令で釣り合いが取れそうというか、大体似たような度合の無茶が出来るという判断が出たらしいですよ?

 リナロニと言う新機軸のバディアクション。

【メンバー追加】ロニエのチームには余裕があります。整合騎士 か それに準ずる能力者が最高司祭様に投げ込まれてきます。果たしてそれは誰?

  • 一時期の里帰り中:整合騎士アリスちゃん
  • 現実界特別交流大使:黒の剣士キリト
  • 二人は物騒:フィゼルとリネル
  • 現在滞在中:創世神ステイシア・アスナ
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