ソードアートオンライン オリシュゼーション・リコリス   作:愁雨

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~とぴっくす~
 武装完全支配術:エンハンスア-マメント
 記憶解放術の前段階とされる。
 
 神器に類する武器を扱いこなしている証左とされる。
 その武器の持つ性能を引き出し リソース解放による天命回復、損傷修復など様々な用途がある。

 青薔薇の剣であれば その剣を中心として氷のフィールドを形成する。
 夜空の剣であれば かつての姿を一時的に取り戻し巨木の枝葉で相手を打ち据える。

 本作のロニエの【夜空】の場合は 悪魔の神樹剣とも呼ぶべき大型大剣に姿を変える。その形態からの最上段振り下ろし『天蓋崩』 や 旋風車による全周囲薙ぎ払い などといったソードスキル連動を行う。
 
 ユートが『外の世界』から持ち込んできた武装には本来あり得ないが、アンダーワールドに持ち込む事で武装支配術、記憶解放術が定義されるようになった。

 冰龍シリーズであれば、記憶解放術によって、かつての姿を取り戻した『冰龍イヴェルカーナ』による過冷却水による氷結ブレス、周囲全周に発生する霧氷嵐など単体広域殲滅型というアンダーワールドに設定してない攻撃タイプになった。比嘉は泣いていい。

 武装支配術においても 打ち込んだ相手の傷口を冰気によって凍結させた後、物体強度を低下させ氷砕するなど オブジェクトの持つ個体強度を無視する攻撃 や 冰龍イヴェルカーナの持つ天命最大値と同等強度の氷壁を展開する防御技など無数存在する。

 ユートはこれを使ってギガスシダーを反対側から刻んでいったため、彼に対して木こりの技を見たいという事はもれなく、冰龍シリーズを味わいたいと同義になる。
 



みっしょんえくすとら ユート初等錬士のウルトラトンチキチート列伝 えんはんすあーまめんと・たいじゅつのすぺしゃりすと

 式句を唱える。

 

「エンハンス・アーマメント…ッ 吠えろ!イヴェルカーナ!」

 

 本来属する正しき世界において。

 スラッシュアックス:属性解放突きと呼ばれるそれは。

 

 その鋒から吠え猛る冰龍の咆哮の如くに 冰気を炸裂させた。

 

 突き刺した鉄塊は その本来の姿を忘れるかのように氷塊に如くに凍りそして破砕された。

 

「…これが、先ずは第一段階。 冰気咆哮 とでも名付けておくかな」

 

 特別に用意させた鉄塊をただの一太刀、ただの一回でなんのようも為さない鉄くずに為してのける。

 アレがもし同等の人体に向けて打ち抜かれたのであれば、確実に天命を全損させうるだろう。

 そも、彼の扱う武装のほとんどは人外を相手にする前提だ。

 対人用の装備もあるし、スキルもある。

 

 その証左に。

 

 武装を解除し、何も持たぬ素手。

 

 ユートはこの世界がこれまでの世界より、より人体の再現に優れている事を実感したのは 体術、格闘技に分類されるものに違和感がない事を感じたときだった。

 投剣、体術 と言ったものは 本道ではないが故に、流派立てられたものにならず、各流派に手管として残るのみではあった。

 

 重撃、不意打ち と呼ばれる技法がアンダーワールドにはある。

 それは相手を失神させる技法であったり、歩法を使い相手の背後に廻り込み、相手の後頭部を打撃しスタンさせるなど正道からは嫌われるような動きであったりはする。

 

 ユートはそこより発展させて、体術スキルを定義させる。

 源流流派 アインクラッド式体術であり 現実世界より持ち込んだ格闘武術である。

 厳密に定められた型に身体を収めたとき【秘奥義】は発動する。

 担い手無くして使うものがなかった【閃打】と呼ばれる基礎の体術ソードスキル。

 ユートはユージオにこれを先ずは使えるようになるように仕込んだ。

 

 ソードスキルの隙に打ち込み片手で行える牽制の技。

 続いては【前方宙返り回転蹴】:ペイルライダー と。

 大道芸の如くと揶揄されるのであればそれをとことんまで極める。

 その上で、揶揄したものを地に這いつくばらせる。

 

 片手剣においてはユージオは紛れもなく天才であった。

 それは、殊の外ユートには喜ばしかった。

 剣腕を自らで磨くセンスがあるのであれば、切れる手札を増やせば良いのだから。

 

 そう。明確に天命を欠損させずとも、対象を制圧する術を身につけさせる。

 

 修練の元、特別指導と監視をアズリカ寮監に依頼しその許諾の上、天命を削ぐか削がないかのギリギリのバランスでの組打ち。

 それに伴う痛みに対する痛撃耐性訓練。

 

 これから挑む先を思えばこそ、痛みで次の一手が打てなくなる。などという事は許されない。

 

 ユートはユージオの目指す先を見据えていた。

 

~北セントリア セントリア修剣学院 早朝の広場~

 

 少年が特徴的な構えと共に。

 手の型は拳を握るのではなく掌の型。

 左手を手首で軽く曲げ、肘もまた曲げて目前備え。

 右手は丹田に備えるように掌の型。

 屈伸運動に備え、両膝は軽く曲げられている。

 

 刹那。

 早朝の広間に 響く音。

 瞬時に動いた少年の動作が一連の流れの中に 震脚 と呼ばれる固有の動作を織り交ぜたのだ。

 

 飛び上がる虎が猛襲するが如き動き。

 前方に飛び込むように脚を動かすと同時に、伸ばし振り下ろす左の手。虎の左前脚の爪による攻撃を模す。

 振り下ろす左の掌と踏み込む脚。その動きが同時に至る。

 足が地に着くと同時に右足を前に蹴り出す。前方に引きのばさるかのように急激な運動。

 右の手もまた同じく振り上げ振り下ろすように。

 右足の接地。それと同時に左の手を突き出すように打ち込む。

 一連の流れを素早く、正確に辿る。

 反復を重ねる。

 

 八極拳は猛虎硬爬山の動きを象り真似る。

 肘撃からの鉄山靠。

 流れを組み、一連の動作として連環する。

 その最中に特色あるものとして、震脚が織り込まれる。

 

 地を鳴らすその踏み込みはもはや早朝の寮の前では風物詩となっていた。

 

 誰もそれを止める事は叶わない。なぜならば、その動きの一つ一つに【秘奥義】の発動と同じくして、纏うものがあるのだから。

 体術の【秘奥義】として成立しているそれは、既にして五体が剣と同等の破壊力を持つに等しい。

 繰り出す肘 も 背中からの体当たりも肩口からの体当たりも。

 掌底も。何もかもがイメージの補強を受けて絶紹の域に上っていた。

 

 開門式から歩法、猛虎硬爬山、肘撃、鉄山靠。往復するように。

 

 動きを切り替える。

 身体の伸縮動作を大きく伸び伸びと行うように。

 劈掛拳(ひかけん)と呼ばれる動きの要諦は柔の動作。

 振り下ろしと振り上げを掌打の形で行い、大きく動きをとる。

 その動きは直線的ではなく曲線的。

 いっそコミカルにさえ見えるが、上下の運動は激しい。

 全身の力を抜き腰を支点にして上体は上下左右に揺れる。

 その揺れさえも振り回し振り下ろす掌打の威力に繋がる。

 激しく飛び上がり、激しく着地する。

 その反動で振り上げる掌打の威力を高める。

 

 八極拳と劈掛拳。

 その双方をイメージを補強する事でアンダーワールドに引き下ろしたのである。

 

 相手の背後や側面を採るように動く劈掛拳。

 直線的に動き絶大な破壊力を持つ八極拳。

 それらを絶大な威力に引き上げる発勁。

 轆轤の如くの反発を勁力に取り入れしなやかでありながら素早く。

 

 この修練を見たアズリカは後にこう評した。

『徹底した対人戦闘技巧。人型大の存在ならば、彼は武器無くしても征する事が出来る。あの動きに神聖術による補正を加えたのならば、その五体全てが武器と言えましょう』と。

 

 そしてそれは事実であった。

 

 初年次において彼は最初の入学試験において木刀一本。学院の正式剣術とは懸け離れた技で優秀な成績を収めた。

 相手の攻撃に合わせて先を採る 後の先による制圧。

 ハイ・ノルキア流の天山烈波 を未熟な使い手なれば。と言ってその鼻先に剣を突きつけて征する。

 ノルキア流の雷閃斬 を 真横一文字に発動前に打ち据える。

 などといった対人において、これまでにない素早さで圧倒。

 それだけならいざ知らす、その木刀の構えを片手剣の型に備えてもまた。

 

 始まりの合図共に即時発動し相手の剣を叩き落とす【ソニックリープ】。秘奥義を持って初手を征する立ち回り。

 打ち込んできた相手を剣で弾き、生じた隙に袈裟で切り落とす【スラント】。

 

 自在に剣を繰り、明らかなる格の差を見せつけたのである。

 

 だが、それに留まらず 120名の中で総合の1位を 姓 持たざるものが持ち去るという学院始まって以来の快挙であり、貴族出身者達からは看過せざる暴挙を成し遂げたのである。

 

 二年の傍付き錬士を選ぶ権利を持つ上級修剣士達は、苦慮と己の立場から、最上位のものを敬遠するという事態となり、最終的にソルティリーナ・セルルトが初等錬士最強を示したユートを指定する事になった。

 

 武技、剣技ともに優れ、姓持たざるものとは思えないほど、深く深奥に至る知識の数々。

 これほどの存在であればと過去を調べてもその正体に当たらず。

 

 彼は嘯いてこういった。

 

 僕は三女神の寵愛と三聖人の庇護を受けていますから。

 

 と。

 




~りざると~

 体術スキルに八極拳と劈掛拳のような何かの要素を加えられた。

 ユートがイメージ補強して持ち込んで成立させた。させてしまった。

 ユートがトンチキに強い理由は キリト君と違い己に抱くイメージが強固で絶対である事で補正が凄まじい。彼はリアルワールドに回帰するまで己が不破で不敗で不倒であると定め、敵対するものは必ずや打破すると決めている。相手がどれだけの自負があろうがそれすらもねじ伏せると。

【メンバー追加】ロニエのチームには余裕があります。整合騎士 か それに準ずる能力者が最高司祭様に投げ込まれてきます。果たしてそれは誰?

  • 一時期の里帰り中:整合騎士アリスちゃん
  • 現実界特別交流大使:黒の剣士キリト
  • 二人は物騒:フィゼルとリネル
  • 現在滞在中:創世神ステイシア・アスナ

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