新人提督が弥生とケッコンカッコカリしたりするまでの話   作:水代

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怒った弥生も可愛いよ、弥生可愛い過ぎるよ。


九話 新人提督が初めて遠征をしたりする話

 資源全30

 建造時間1:22

 

 建造結果

 

「兵装実験軽巡、夕張、到着いたしました! 提督、よろしくお願いします!」

 

 夕張型一番艦、夕張。

 兵装実験軽巡の自称だが、実際に実験されたのは、小型の艦にそれより大きな艦の装備を搭載してみる、と言うものであり、兵装の実験と言うより搭載の実験と言ったほうが正しい気もする。その実験艦として作成されたのが軽巡洋艦夕張だ。3000トン級軽巡に大して、5000トン級軽巡の装備の積載は無謀とも思われたのが、様々な創意工夫によりこれを可能とし、その創意工夫は後に古鷹型重巡や、古鷹型重巡を元にした青葉型重巡など、後に重巡洋艦と呼ばれるようになる艦種に引き継がれていくようになる。

 大本営のまとめによると、特筆するほどの能力は無いが軽巡の中で最も多くの追加装備を積むことのできる軽巡であり、装備の組み合わせ次第では強力な戦力となる、らしい。

 

 だがそれよりもなによりも、随分と数奇な巡り合わせだと思う。

 軽巡洋艦夕張、駆逐艦弥生、駆逐艦卯月…………かつて第30駆逐隊と言う艦隊を組んでいた艦がこうまで集まると、縁のようなものを感じずにはいられない。

 そのうち、睦月、如月、望月なども着たりするのだろうか、などと無駄なことを考えて、思考を一旦捨てる。

「よく着てくれた、貴君の着任を歓迎する」

 ハッ、と元気良く敬礼する目の前の少女夕張に、楽にするように告げる。

「さて、夕張、早速だが君には第二艦隊に所属してもらう」

「了解しました、第二艦隊の他の面々はどなたが?」

「まだ第一艦隊すら揃っていない状況で申し訳ないのだが、夕張の他の一隻だけで、駆逐艦卯月がいる。確か多少の縁があったはずだな?」

 卯月と言う言葉に、夕張が少し笑んで、はい、と答える。

「セイロン沖海戦の後に第23駆逐隊、第29駆逐隊、第30駆逐隊の旗艦を勤めた時以来の縁です」

 まあ私は、並んで戦うことは出来ませんけど、と自嘲気味に呟く。

 艦娘の過去の記憶、と言うやつだ、まあそれほど根の深い話でもないようで、夕張はすぐに表情を切り替える。

「さて、夕張には第二艦隊の旗艦を勤めてもらおうと思う…………これはすでに卯月にも了承を取っている話だ」

 基本的に水雷戦隊と言うのは軽巡洋艦が旗艦を勤め、その配下に三隻から四隻程度の駆逐艦で構成されている。

 なので、もし軽巡洋艦を建造したら、卯月にはその下に入ってもらいたい、と言うことはすでに事前に話してあり、了承をもらっている。上官のところでもそうだったらしく、かなりあっさりと了承されたことにこちらがやや拍子抜けしてしまったほどだ。

「ただ夕張、キミはまだ建造されたばかりだ、遠征ともなると色々経験が足りないと思う。一方でキミの配下となる卯月は別の鎮守府から転属してきた艦でな、この鎮守府で最も多くの経験を積んでいる。つまり」

「卯月にサポートしてもらいながらやってほしい、と言うことでしょうか?」

「そうだ…………いざ、と言うとき判断に迷ったら、卯月を頼れ。その必要が無いほどキミが成長するまでは、な」

 それはつまり、今はまだ旗艦として信頼できない、と言うことに他ならない。

 プライドの高い人間なら、ブチ切れそうな言葉だったが…………。

「それは私に、かつての配下に助けてもらえ、と言うことですか?」

 ああ、そうだ…………そんな自身の言葉に、けれど夕張は怒った様子も無く、頷いた。

「了解しました、遠征隊として最大限の活躍が出来るよう精進しますね」

 そうして、そう言葉を吐いた。

 

 夕張の出て行った扉を見つめながら、ほっと一息吐く。

 夕張がプライドの高いタイプじゃなくて助かった。

 いや、別に矜持が無い、とか安いやつだ、とかそういうことを言っているのではない。

 ただそれよりもこちらの命令を優先してくれるタイプ、と言うだけだろう。

 こちらにとっては助かるタイプではある。経験を積んでくれればちゃんと旗艦としても信用してやれるので、それまでは頑張って欲しいところだ。

 そして、その手順を整えてやるのが、自身の仕事だろう。

 早速電話を手に取る、そこから番号をプッシュしていき…………。

「何かいい仕事がありますように」

 できれば最初は簡単な仕事から回して経験を積ませてやりたい、親心にも似た気持ちを抱きながら、繋がった電話の向こう側へと向けて、口を開いた。

 

 

 * * *

 

 

 明けて翌日。

 波止場に立つ、自身、夕張、卯月の三名。因みに弥生は現在執務室で仕事中である、後で何か差し入れを持って行こう。

「というわけで、二人には海上護衛任務に従事してもらう」

 遠征隊、最初の仕事を告げると、夕張は頷き、卯月が即座に反論する。

「ちょっと待つぴょん! 海上護衛なんて二人だけでできるような遠征じゃないぴょん」

 経験則からそう告げる卯月に、自身も頷く。それは分かっている、と言うか自身も同じ気持ちだ。

 だったら何故この遠征になったか、と言うと。

「それは知っている、だから、卯月のいた鎮守府…………上官殿のところから二人ほど合流しての合同遠征と言うことになった」

「合同、遠征ですか?」

 夕張が目を丸くし、隣で卯月が珍妙な顔をする。

「どうかしたか? 卯月」

「え、いや…………なんでもないぴょん…………多分、気のせいだぴょん」

 そう呟くが、顔は絶妙に不味いものを食わされた、と言うような珍妙な表情のままであり、明らかになんでもないと言った風ではないのだが。

 深く聞くべきか? とそんなことを考えていると、夕張が提督、と呼ぶ。

「それで、一緒に遠征に行く二人はどこに?」

「ああ、三十分ほど前に連絡をもらったからな、そろそろ来るはずなんだが」

「っぴょん!?」

 瞬間、卯月が激しく首を動かしながら、周囲を見回す。その鬼気迫る様子に、自身も夕張も目を丸くし、何事かと構え。

「や、やつが来るぴょん」

 今度は蒼白になった顔色に、どういうことか、卯月に質そうとして。

 

「ナ ス は 嫌゛い゛ な゛ の゛ で す」

 

 水平線の彼方、波を切り裂いて、ヤツがやってきた。

 

 

 淡い茶色の髪を、後ろで折りたたむように結び、セーラー服のような服を着た艤装をつけた小柄な少女。

 その姿には見覚えがある、海軍仕官学校時代、艦娘について学ぶ時に実際の提督が教官として招かれるのだが、その教官の秘書官としていつも傍にいたのが彼女の同型艦だった。

 名前は確か…………いなづm

 

「初めまして、横須賀第六鎮守府所属第二艦隊旗艦特Ⅲ型駆逐艦四番艦の(ぷらずま)な゛の゛です」

 

「え?」

「あ、言い間違えました、(いなづま)なのです」

「そ、そうか」

 感じたのは違和感。自身が以前に見たことのある駆逐艦電と全く同じ容姿をしている、そのはずなのに。

 何か違う、そう感じてしまう。その原因が何なのか考えようとし、ふと気づく。

 自身の後ろに隠れ、服の裾を掴み震える卯月の存在に。

「ど、どうした? 卯月」

 まだ出会って日がないとは言え、いつも能天気なこの少女がこれほどまでに震える姿に、さすがに戸惑いを隠せない。

 と、そんな自身の言葉で、電が自身のさらにその後ろへと目をやり…………。

 

 ニタァ、と嗤う。

 

「あ゛る゛ぇ゛え゛? 卯゛月゛じゃ゛な゛い゛で゛す゛か゛あ゛」

 

 瞬間。

 

「イィィィィィィヤァァァァァァァァァァァァァァ」

 絶叫し、卯月が走り出す。一体何事か、状況が飲み込めず見守っていると。

「酷いのですよ、な゛ん゛で逃゛げる゛ん゛ですかぁ?」

 電がその後を追いかける…………艤装の錨を振り上げながら。

 傍から見るとただのじゃれあいに見えなくてもないが、その割に卯月の表情が本気過ぎて、軽くビビった。

「あー…………またやっとんな、あん二人」

 と、その時、後ろから聞こえた声に、振り向く。そこに、黒い髪に黒いベスト、白いブラウスに同じく白い手袋をつけ、スカートとスパッツを履いた少女がいた。

 またもや見覚えがある少女だった。と言うか、上官殿の秘書官である不知火の姉妹艦と言うこともあり、何度か会って交友もある相手だ。

「久しぶりだな…………黒潮」

「お久しぶりやで、司令はん」

 互いに挨拶を交わし…………それから、視線を未だ走り回る二人向ける。

「それで…………あれは何だ?」

「やー、うちもよう知らんさかい、けんど、初めん時からあんな感じやったよ、二人とも」

「放って置いて大丈夫なのか?」

「そやねー、でも不知火姉さんが止めるまでは言うても止まらんしなあ」

 え、これマジでどうすんの? と思わず目で訴えるが、黒潮が視線を反らす。夕張は見ると白目を剥いて半分気絶していた。

 

「来るなピョオォォォォォォォォォォォォン」

「あははははははははははー待゛て゛な゛の゛です!!」

 

 最早収拾など付かない混沌とした現状で、さすがに眩暈すらしてくる。

「…………誰か、助けてくれ」

 と、呟いたその瞬間。

 

 パァァァァン、と銃声が響く、そして同時に。

 

「な゛の゛です!?」

「ぴょぉん?!」

 

 ばたり、と電が倒れ、卯月が転ぶ。

 後には静寂と波の音だけが響き、誰もが状況を理解できず、固まっていた。

 引きつった顔で、銃声のしたほうへと首を回し、視線を向けると。

 

「うるさい……です……」

 

 艤装に付けられた12cm単装砲から煙を昇らせながら、無表情に、けれど目がいつもの三倍冷徹な感じに電と卯月を見つめる弥生がいた。

「う、うぐ…………い、痛いのです」

「なんでうーちゃんまでぇ…………」

 良く見れば、実弾ではなく演習用のゴム弾だったらしく、二人ともゆっくりと起き上がる。

 そして電が自身を撃った弥生を見つめ、近寄っていく。

「い゛き゛な゛り゛何゛す゛る゛の゛です」

 何かもう、言葉じゃ表現しつくせない凄絶な顔をしながら弥生へと詰め寄る電。

 だが弥生は、ぴくりとも表情を変えもせず、かちゃり、とその単装砲を電の腹に…………え?

「執務室まで…………声が聞こえて、うるさい……です……」

「だからっていきなり撃ちます……パァァァン……っぐ、な、なにを……パァァァン…………ごめんなさいなのです」

 完全勝利S、なんて文字が脳裏に浮かび上がったが、すぐに振り払う。

 弥生のほうを見ると、眉がピクピクしている、あれ完全に怒ってるな、と思いながらも、弥生の元へと行く。

 弥生もこちらを見つけたのか、じとっとした視線をこちらへと向けてくる。

「司令……官……」

「悪い、助かった…………いや、だからそんな怒るな」

「怒ってませんよ」

 そんな人を殺しそうな視線を言われてもな、と思うが口には出さない、怖いから。

「とりあえず、ゴム弾使ったみたいだが、あまり艤装を使ってくれるな、上官殿のところだからまだ良いが、他所の鎮守府だったら問題になりかねん」

 いいな、と問う自身の視線に、弥生がこくりと頷く。

「まあそれはともかく、本気で助かった…………後で何か差し入れでも持っていくから、先に仕事続けといてくれ」

「了解……です……」

 戻り際、電を一瞥し、くわっ、と睨むと、びくり、と電が震え上がる。

 弥生が去り、あっという間に静かになった波止場。

 仕切りなおすため、こほん、と咳払いを一つし、未だに震える卯月と電の二人を見て、やや気が抜けそうになりながらも、話を切り出す。

「さて、では、遠征隊には出撃してもらおうと思う。駆逐艦電、駆逐艦黒潮の両者には、今回の合同遠征に赴いてもらったこと感謝する。今回の任務は海上護衛だ、海上を輸送する輸送船団の護衛任務となっている。従事時間は凡そ半日ほどとなっている。詳しいことは、夕張に言ってあるが、そちらの鎮守府でも聞かされていると思うし、問題ないと思っても?」

 自身がそう尋ねると、黒潮がこくりと頷くので、話を続ける。

「報酬は両鎮守府で折半となっている。夕張は今回が初めての遠征と言うことで緊張もあるかもしれないが、各人の奮起を期待する、以上だ」

 そう〆ると、夕張も黒潮も、震えていた卯月と電も、しっかりと頷いた。

「では、我が鎮守府初の遠征だ…………頑張って行って来い」

 そう告げると、四人が海と乗り出して行き。

「行ってくるわね、提督」

「うーちゃん、頑張るぴょん」

「ほな、行ってくるわ」

「行゛っ゛て゛く゛る゛の゛です」

 その背を見送る自身。個人的に、昨日建造されたばかりの夕張が多少心配ではあるが、上官殿のところの艦娘が二人に、卯月がついているのだからきっと大丈夫だろう、と思う。

 その背が水平線へと消えて行き、見えなくなると、自身もまた振り返り、鎮守府へと歩きだす。

 

 さて、頑張ってくれている弥生のために、何を持って行こうか、そんなことを考えながら。

 

 

 




【戦果】

『第一艦隊』

旗艦  弥生   Lv3   仕事中……です。うるさくされるの…困り…ますから。
二番艦 伊168 Lv2   なんだか今日は外が騒がしいわね。
三番艦 瑞鳳   Lv2   あの……銃声が聞こえたんですけど、気のせいですか?
四番艦 卯月改  Lv45   ぷらずまイヤァァァァァ
五番艦 None
六番艦 None

『第二艦隊』

【戦果】

旗艦  夕張   LV1   いつか提督に信頼してもらえる旗艦目指し頑張ります。
二番艦 卯月改  Lv45   ぷらずまイヤァァァァァ
三番艦 None
四番艦 None
五番艦 None
六番艦 None

『番外』

黒潮改 Lv45 不知火姉さん以外に電をなんとかできるやつがおる……やと……
電改  Lv80 どうも、ぷらずまな゛の゛です


最近弥生ちゃん成分が足りない。
という訳で、次回は一話ちょっと番外的なの書く予定。
弥生ちゃんがとびっきり可愛く魅せれるようがんばりたいところ。


なんでプラズマさんが光臨したのか?
某所で安価したら、てんぞーってやつがぷらずまちゃんって書いてたから。

これも全部てんぞーって゛や゛つ゛の゛せ゛い゛な゛の゛です!!
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