万事屋の仕事の一環として、合宿参加者の引率がある。まぁトレセン学園に通う生徒は、割としっかりした子が多いのもあってあまり仕事はないわけだが。
今日の夕食はカレー。それも、キャンプのようにみんなで作るタイプだ。色んな生徒達が支度を進める中、銀時はその様子をぼんやりと眺め……る事もなく、持参したジャンプを読み耽りながら、ア○ロチョコを食べていた。
「お疲れ様です、坂田先生」
そんな中、声が掛けられる。振り返ると、樫本理子が来ていた。
「ああ、お疲れ。あんたも来てたんだ」
「ええ。リトルココンやビターグラッセ達と一緒に。……あなたは、引率でしたね」
「そういうこと」
「どうですか? 生徒達に怪我人とかはいませんか?」
「いねーよ。いたら、こんな所でジャンプ読んでねーわ。……食うか?」
「いただきます」
ア○ロチョコを差し出すと、手を出してきたのでその上にチョコを落とす。
指で摘んで、それを口の中に入れると、理子は少しだけ嬉しそうに頬を赤く染める。
「ふふ……なんだか、子供の頃に帰った感じがしますね」
「人生を楽しむコツは童心を忘れねー事だよ。俺なんか人生楽しんでんぞ? 毎日食ってるからな」
「ま、毎日……?」
少し引き気味に呟く理子を眺めつつ、銀時は「あ、そうだ」と声を漏らした。
「なぁ、あんたに聞きてー事あんだけど」
「? なんですか?」
「ぶっちゃけ、トレセン学園にいる生徒の中に、才能ない生徒とかいんの?」
「いません」
「即答かよ」
「当たり前でしょう。この学校に入学出来た以上、何かしらの才覚を認められ、その子の武器となるものがあるはずです」
「念能力みてーなもんか?」
「後は、それを本人が自覚し、伸ばすことが出来るか……そして、私達トレーナーの仕事は、その武器を探してあげるものだと思っています」
「水見式みてーなもんか?」
「あの、一々漫画に例えないと理解出来ないのですか?」
そんなツッコミを聞きつつも、銀時はなんとなく納得する。
だが、まぁ残念ながら自分にはそれを目撃したとしても判別はつかないのだろうが……。
「何故そんなことを? トレーナー業に興味が?」
「まぁ、そんなとこだ」
「へぇ……では、トレーナーの資格をお取りに?」
「や、別にそこまでじゃねえよ。癖の多いガキとマンツーマンで指導すんのァ、俺はゴメンだ」
「そうですか。……それにしては、ダイワスカーレットやエアグルーヴと上手くやっているように見えますが」
「んなわけねーでしょ。バカみたいに蹴られるし殴られるし……神楽より暴力的な奴らだよ」
「……案外、素直になれないだけなのでは?」
「知らねーよ。ただ、ツンデレである事ァ、間違いねーわ。ダスカもエアグルーヴも、あいつも」
全くもって疲れる。まぁ、正直な話、別にトレーナーになりたいわけではない。ただ、一人気にかけてやらないといけない生徒がいるだけだ。
「……誰か、気になる子でも?」
「まぁな」
「ウマ娘のことであれば、いつでも私にご相談して下さい」
「はいよ」
そんな話をしていると、その二人の元にエアグルーヴが訪れた。
「銀時、貴様の分のカレーを持ってきたが……樫本トレーナー。お疲れ様です」
「お疲れ様です、エアグルーヴ。食事ですか?」
「はい。よろしければ、樫本トレーナーもご一緒に如何ですか?」
「いえ、私はリトルココンがこちらまでカレーを持ってきてくれるので」
「そうでしたか。……じゃあ、銀時。カレーは渡したからな」
「甘口?」
「安心しろ、辛口にしておいた」
それだけ言って、エアグルーヴがカレーを手渡してくる。そのあとは、誰かと一緒に食べるつもりだったのか、立ち去ろうと背中を向ける……が、足を止めた。
キョトンと小首を傾げる理子。銀時は黙ってその背中を眺める。
やがて、エアグルーヴがぎこちない様子で振り返り、赤くなった頬のまま銀時に声を掛けた。
「こ、これからスカーレットと食事の予定だが……銀時、き……貴様にもその気があるのなら……ご一緒してやっても……構わんが?」
「ほら見ろ、ツンデレだろ?」
「ふふ……分かりやすい子ですね」
「誰がツンデレだたわけがァァアアアア‼︎」
「おおおいカレー溢れんだろ! 一々、興奮すんじゃねえよ!」
「貴様は飯抜きだ!」
「それ教育者のセリフだろ!」
ギャーギャーとはしゃぐ二人を眺めながら、とりあえず理子はリトルココンが来たので、カレーを食べに行った。
×××
さて、銀時はなんやかんやでスカーレット、エアグルーヴと食事。適当な席に腰を下ろして、三人でカレーを食べる。
「辛ッ! マジで辛い奴じゃねぇか!」
「だから言っただろう。私達の班は香辛料を特別効かせて辛みに磨きをかけた」
「ふふ、糖尿寸前のアホな大人には良い薬ね」
「ダスカ、テメーも顔真っ赤だろうが」
「う、うるさいわね! あたしは子供だから良いのよ!」
「どんな理屈だっつんだ。大体、お前の体格はそれどう見ても高校生だぞ、最低でも」
「え、そ、そう?」
「老けてる」
「どんな言い方してんのよ女の子に!」
なんて話しながら、カレーをとりあえず食べる。エアグルーヴにとって、このくらいの辛さはなんでもない。
「で、どうだった? お前ら、今日は」
「順調よ。トレーナーってすごいのね。ウオッカにもアタシにも合うメニューでやってくれて。……あんたとあの変なウマ娘が来なければ」
「テメェ、武天老師様の考えた修行を愚弄する気か?」
「結局漫画じゃないの!」
「馬鹿野郎、ジャンプから学べることは多いんだぞ」
「あんたを見てると説得力無いのよ!」
まったくである。と言うか、いい加減にしてほしい。
そのスカーレットの隣で、エアグルーヴも言った。
「私も充実はしていた。……貴様を埋めていた時は特にな」
「え、埋め……?」
「こいつら、身動き取れない俺の頭に木刀ダンクしやがった。人間じゃねえ」
「空気椅子の途中にブーブークッション置いたり、虫を放ったりしたのは貴様が先だからな」
「それは埋めますね。頭蓋骨でスイカ割りもやむを得ません」
「やむを得なくはねーだろ……お前らの与える罰はデッドオアアライブを彷徨わせないと気が済まねーのか」
そんな話をしながら、銀時はカレーを口に運ぶ。マヨネーズでトグロを巻かれるよりは食える。
……そういえば、もうあのマヨラーとの喧嘩もここ最近は全くしていない。したいとかではないが、少し懐かしさを感じていた。
「そういえば、タイシン先輩は?」
「そうだな。見当たらんが……」
「多分、一人で走り込みでもしてんだろ」
「「え?」」
「さっきから一度も見てねーからな」
「止めろ! 食事は皆で取る決まりだ!」
「そうよ、というか普通にオーバーワークじゃない!」
「男にはなぁ……たまにゃ、何も考えず夕陽に向かって走り出したくなる時があんだよ」
「女だろうが!」
「あたし、ちょっと行ってきます!」
「私もだ!」
カレーのお皿を置いて、二人は走って浜辺に向かった。
×××
「タイシン先輩!」
浜辺で走っている小さな影に、声が掛けられる。顔を上げると、そこにいたのはスカーレットとエアグルーヴ。二人とも、心配そうな顔でこちらを見ている。
「オーバーワークだぞ」
「……何してようが、アタシの勝手でしょ」
「勝手じゃない。練習の終了時間が決まっているのは、夜になると生徒の安全面の管理を教員やトレーナーがしづらくなる」
「なら、アタシは管理しなくて良い」
「一人、特例を許せば他の生徒も真似するだろう」
「っ、るっさいな! 放っておいてよ! 副会長だからって偉そうにしないで!」
声を荒立てる。この二人の表情にストレスは見えない。どうせうまく行っていたのだろう。自分だけ癇癪起こして逃げてしまった。何が「同じツンデレ」だろうか。この二人は全然素直だ。
「……別に、副会長だから言っているわけではない。貴様には本当に走れなくなって欲しくないから言っているのだ」
「っ、あんたらに関係ないでしょ」
「ありませんけど、気持ちは分かるんです。……あたしも、自分を追い込んでいましたから。でも、ダメなんです。そんな事したって、自分が本当にやりたいことを見失うだけなんです」
「っ……」
「銀さんが、言ってくれたんです。私の中で大事なのは一番になること。だから、最後に一番になれば良いって」
当時のことを思い出すようにそう言われる。今の自分を客観視してしまった。大人っぽい年下に説教される、子供っぽい年上……いや、ぽいではない。これでは、早く生まれただけで本当に自分が子供のように思えてしまった。
その事を自覚し、思わず羞恥心が上がってきてしまう。
「うるさい! そもそもあんたのケースとアタシを一緒にしないで! あんたには分からないでしょ、小さいって理由だけで今まで周りからバカにされてきた人の気持ちなんて!」
「っ……」
「見返してやる為に、少しでも立ち止まるわけにいかないの!」
思わず黙り込んでしまうスカーレット。エアグルーヴも何も言わず二人の会話に耳を傾ける。
二人ともいじっぱりな性格であるため、喧嘩になるかもしれない。エアグルーヴは喧嘩をするほど子供ではないつもりだが、二人にこのままぶつからせ、喧嘩させようと思えるほど大人でもない。
止めようかと口を挟もうとした時だ。
「はーい、そこまでー」
二人の間に、銀時がカレーを食べながら入った。
「何お前ら。夜の合宿抜け出して海の前で熱く語り合うとか、青い春ですかーコノヤロー」
「っ……銀時?」
「銀さん……」
「坂田……!」
「なんでお前ら揃いも揃って先生をつけられないわけ?」
そう言いながら、皿に乗ったカレーを口に運び続ける。
「本当に辛いんだけど、このカレー。もしかしてエアグルーヴ、お前俺に『このカレー、辛ぇ』って言わせたかったのか?」
「そんなわけがないだろう!」
「なんか用なわけ? ゾロゾロと……アタシ、忙しいんだけど」
「そりゃ、お前が分かってるわ。全員が全員で飯の準備してる中、一人でやらなくて良いことしてんだからよ」
「……は?」
「違うか?」
「……」
それはその通りだ。周りにとっては。でも、自分にとっては違う。
「そりゃ、お前にとっては必要な事なのかもしんねーけどな」
「っ……」
考えている事が見抜かれているようで気分が悪かった。それでも、銀時は気にした様子なく言った。
「それに、居残り練習ってのは悪いわけじゃねえからな。そういうの、必要な奴だっているし……ま、やりてーなら教員に許可取ってからにしろ」
「……やっても良いわけ?」
「おい、銀時」
「夜の合宿も修学旅行も校外学習も、夜中に宿を抜け出して近くのラーメン屋探すまでが醍醐味だろ」
「そんな醍醐味初めて聞いたけど⁉︎」
「遊郭でも可」
「お前、本当に教員か⁉︎」
何にしても、話はまとまった。そう判断したタイシンが、銀時は改まった様子で声をかけた。
「じゃ、許可取れば良いわけね?」
「ああ。けど、仮にもルール違反ではある特例だからな。こう言っちゃなんだが、ちゃんと誠心誠意頭を下げろ」
「お願いします。自主練を認めてください」
「ダメ」
「ダメなのかよ! あんたふざけんなよホント⁉︎ なんのために丁寧な口調で頭まで下げたと思ってるわけ⁉︎」
タイシンの怒りはもっともで、銀時の胸ぐらを掴んで激しく揺するその姿を見て、エアグルーヴもスカーレットも何も言わなかった。
揺すられながらも、銀時は真顔で答えた。
「ままま、早まるなよ。条件をクリアしたら、認めてやるって言ってんだ」
「……条件?」
「実は来週、この近くの地元で始まる夏祭りに、俺達万事屋は神社を借りて肝試しをやる」
「なんだそれは⁉︎」
「私も聞いてないんだけど⁉︎」
「いやー、ちょっと小遣い稼ぎがしたくてな」
「やりたい放題か!」
二人からのツッコミを無視して、タイシンはイラついた口調のまま聞いた。
「で、それが何なわけ?」
「その肝試しで、ダスカと成田エ○スプレスで競い合ってもらう。ダスカよりビビらなかったらお前の勝ちだ。居残り練習も認めてやる」
「……言ったな?」
「え、なんで私……」
「エアグルーヴ……いや、審判は別の奴だ。まぁ、こっちで用意するから。勝ったら居残り練習も許可してやる。その代わり、それまでは許可しねーから。そのつもりでいろ」
何となく丸め込まれた気がしないでもない……が、こうして見つかり、そういう話になってしまった以上、飲んだ方が賢い。合法で悪さを行えるなら、それに越したことはないからだ。
「忘れないでよ。あんたからした約束だから」
「わーってるわ」
それだけ約束して、タイシンは立ち去った。
×××
「どういうつもりだ?」
「あ?」
残されたエアグルーヴが銀時に問い詰める。スカーレットも同じ顔をして見てきていた。
「そうよ。私が負けたらどうするつもり?」
「なんだお前。一番目指してる癖に負けること考えてんの?」
「そ、それとこれとは話が別よ!」
「あ、この場合の『一番』は『一番ビビる奴』の事か」
「っ〜〜〜! 上等よ、絶対に勝ってやるから見てなさいよ!」
それだけ言い残して、足早に立ち去っていった。エアグルーヴが改めて銀時に聞く。
「で、銀時。どういうつもりだ?」
「あ? そのままの意味だ。別に夜に居残りやるくれー構わねーだろ」
「そうじゃなくて、オーバーワークが……」
「他のウマ娘だって、トレーナーがついてるとこはやってるだろ。トレーナーの判断次第だろうけど」
「……」
まぁ、それは確かに合宿に限った話ではない。自ら「もう少しだけ」と頼むウマ娘、他の子ががんばっているところを見て「自分も」と言うウマ娘、練習後に何かきっかけがあって走るウマ娘、様々だが、そういう子はいる。
「あいつがそもそもうちに依頼して来たのは『チビでもレースに勝てる事を証明する』だろ」
「……貴様にその手助けが出来ると思っているのか?」
「誰がそんなこと言ったよ」
「何? ……まさか、負けるつもりか?」
「チゲーよバカ。やる前から負けること考える奴はバカだろ。お前は本当バカだな。なんでそんなにバカなの?」
「バカバカ言い過ぎだろ! ていうか、世界で一番、お前にだけは言われたくない!」
「んな事より、人を集めろ」
言われて、エアグルーヴは眉間にシワを寄せる。
「何?」
「人手だよ。なるべく俺の知ってる奴が良い。ダスカ以外で」
「……何をする気だ」
「仕事に決まってんだろ。みんなでスマブラやるために集まるとでも思ってんのかテメーは」
「いやそんな事は思っていないが……何故?」
「今回は、人海戦術で行くからだ」
それだけ話し、銀時はあくびを浮かべながらキャンプの方へ歩いていく。
「あー、あったま痛ェ〜……丸一日、海にいたのなんざ久しぶりだから堪えるわ、クソ」
「……」
何か考えがある、そう信じるしかない。……が、やはり大分、不安は大きかった。
色々と気にかかる男だ。何を考えているのか分からない事もさながら、そもそもあの男について自分は何も知らない。人間離れした身体能力、比喩のために作った話にしてはやたらと染み込まれた説得力、そして時折、口にする「神楽」だの「新八」だのという謎の人物の名前……気になる事は多い。
「あー、糖分切れた。エアグルーヴ、チョコとかない?」
「……あるわけがないだろう」
「じゃ、俺コンビニ寄って帰るから。集めた人は食堂にでも置いといて」
「貴様が集めた集会に、一番遅れるつもりか⁉︎」
「よろしく」
「あ、貴様……!」
逃げられてしまった。……まぁ、普段からあんなに人を振り回しているわけだし、たまにはこちらから質問したりしても良いのだろうか?
×××
夜中、作戦会議を済ませた銀時は、風呂上がりに一人で屋上にいた。教員の部屋は気楽なことに一人部屋……なのだが、のんびりする気分ではなく、なんとなく星を見ていたい気分だった。
江戸から姿を消して、早三ヶ月くらい。多分。いや、まぁ多分、なんやかんやで都合が良い事に向こうでは時間が進んでいない説を推したいが、やはりこうも長く続くといろいろと思うところはある。
「あいつら、今何してんのかね……」
正直、時が止まっている説だったとしても、だ。それは逆説的に言えば、自分があの世界に戻らないと時が進まないって事もあるかもしれない。
そうでなかったとしても、だ。三ヶ月も行方不明はそれはそれでダメな奴だ。劇場版では自分がいなかったと言うだけで万事屋は解散してしまったわけだし、不安ではある。
「へぇ……あいつらって誰の事?」
そんな声が耳に届く。後ろを見ると、スカーレットがいた。
「何してんだ、お前。消灯時間過ぎてんぞ。スリルを感じる為の夜の散歩と、大浴場の前にある卓球台以外でそれは禁止だ」
「別にー? なんか眠れなくて。……ていうか、それでも外出は禁止でしょ」
「つーか、何の用だよ」
「んー、ちょっと聞きたい事があって」
そう言うと、スカーレットは銀時の隣に立つ。なんだこいつ、カリ城の次元ごっこか? なんて思っている時だ。まさにそれらしく両腕を伸ばして、自分の腕と首を締め上げた。
「さっき会議があったって聞いたんだけど、なんで私だけ除け者にしたのよおおおおおお‼︎」
「そこかよおおおおおおおおお‼︎」
グギギギっと締め上げられ、パンパンと腕を叩いてギブの合図を送る。
「何の話してたわけ⁉︎ ついでに『あいつら』って誰⁉︎ 言わないと背骨外すわよ!」
「なんでこんな事で尋問されなきゃいけねんだ! ジャイアンかテメェは⁉︎」
正直、まぁ隠すようなことでもないのだが。とりあえず、さっきの会議のことから話すことにした。
「会議のことは別にお前を除け者にしたわけじゃねェから! ケモノはいても除け者はいねェんだよ! 後でエアグルーヴにでも聞けや!」
「……あーそう。で、あいつらって?」
「……そっちもかよ」
「そっちも」
言いながら、スカーレットは両腕を離した。そして、そのまま柵に背中をつけて笑みを浮かべながら聞く。
「だって、あんたあんまり自分のこと話さないじゃない」
「言っても信じねーぞ」
「それはあんたの言うこと次第でしょ」
「……わーったよ。話すと長ェぞ」
「どうぞ」
本当に聞く気のようだ。
まぁ、いつかは言うことになると思っていた銀時は、コホンと咳払いをすると、やたらと機械的な口調で告げた。
「『侍の国』……俺らの国がそう呼ばれていたのは、今は昔の話」
「もういいわ」
「信じねーにも程があんだろ‼︎」
「誰がそんな導入の御伽噺を信じるってのよ!」
結局、直ぐに眠ることになった。