人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝)    作:ミスター仙人

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閑話㉘「ガトル親父の雑記」⑦(親父、ドリル・バイクを作り上げるの巻)

 10月19日

 

 ハロルド達の工場にドップと一緒に向かった。

 『オリハルコン』の説明と技術支援をする為なんだが、ここの煩さは半端じゃねえ!

 あんまり五月蝿えから、ハロルド達上層部数人を掻っ攫って俺の工場にとんぼ返りした。

 こいつらは、元は俺の工房の若え奴らだったんだが、一通り技術を覚えたら重機より『モト・サイクル』に興味を持っちまって、アラン様と俺の公認の元、新しい『バイク』という代物を誕生させたかと思ってたら、あれよあれよという間に『戦闘バイク』て奴を完成させちまった。

 コイツは『バイク』の横に、小型化した『バズーカ』っていう魔道具を取り付けて、ハンドル上のボタンを押す事で各種の魔法をぶっ放すって奴と、『バイク』の脇に車輪の付いた『サイドカー』って奴に人が乗り込んで、備え付けた『バズーカ』を撃てる様にしてる奴の2種類だ。

 実験で、『魔の大樹海』の魔物との対決をモニターで見せて貰ったら、正に鎧袖一触ってやつで勝負にもならねえくらい圧倒的だった。

 俺達の弟子がこんなに凄え物を発明して、実戦配備も間近って云うんだから俺も負けてられねえし、俺とドップにも戦闘用バイクの腹案があるから、ハロルド達と相談したかったんだ。

 ハロルド達も新しいアイデアに飢えてたから、この日は徹夜で激論しあって終わったのは翌日の朝4時で、そのまま工場の仮眠室で全員倒れる様に寝ちまった。

 

 10月20日

 

 ハロルド達を愛車の『バイソン』で送るついでに、『戦闘バイク』の演習場に出向くと、一際目立つバイクがひたすら障害物にぶつかり、終いには突き刺さったまま動けなくなっていやがった。

 

 「何をやってるんでえ!」

 

 と助手席に座っているハロルドに聞くと、

 

 「先日から演習参加されたファーン卿のご子息が、大変『戦闘バイク』を気に入られたんですが、独自の戦術構想を持たれていて、それを実践する為に従来より頑丈な大型バイクの先頭部分に、あの様な重装甲騎士が使うランスの先を巨大化した物を取り付け、敵を薙ぎ倒しながら突き進める様に試行錯誤を繰り返しているんですよ」

 

 と答えてくれた。

 ホーッと貴族のお坊ちゃんにしては、根性の入った奴だと感心しながら見ていたが、ピンッと頭に閃くものが有りやがった!

 

 『バイソン』でそのまま貴族のお坊ちゃんに近づき、

 

 「失礼しますが、その『戦闘バイク』ではご不満では無いですか?」

 

 と不躾に聞いてみたら、気にした様子もなく、

 

 「言われる通り、不満だらけだよ。

 私の理想はあらゆる障害となる敵を、この『戦闘バイク』が集団の先頭で蹴散らし進み、常に戦争の主導権を握る事で、圧倒的に優位に戦闘を行うというものだ、それにはこの『戦闘バイク』に取り付けた大型ランスでは、役不足も甚だしい!」

 

 と、かなりお冠の様だ、

 

 「それでは、そのご不満を解消する戦闘バイクを提供すれば、乗って頂けますか?」

 

 と提案したら、

 

 「そなたは?」

 

 と聞かれたんで、

 

 「これはご無礼致しました、私はガトルと云う者でこのハロルド達の師匠の様な立場です」

 

 と頭を下げながら説明すると、

 

 「これはお初にお目に掛かる、私は先日爵位が上がったファーン侯爵の次男で、カインと云うものだ。

 ハロルド殿から聞かせて貰ってる、ガトル親方とは貴殿の事であるな。

 お会いしたいとは願っていた処だ、是非その戦闘バイクを提供して頂きたい!」

 

 とやや興奮しながら歩み寄って来られたので、頭を下げたままでいると、

 

 「頭を上げて、どうかざっくばらんに接して欲しい。

 貴方方はファーン侯爵領民では無いし、大体自分は貴族扱いされるのは嫌いで、一介の武人で有りたいと常に思っているんだよ。

 ファーン侯爵領ではそういう訳にも行かないが、ここコリント領では一介の武人で通したい!」

 

 と望まれたから、俺も、

 

 「判りやした。

 その方が俺も話し易いし、お互い意見も交わしやすいってもんだ。

 それでは、ハロルド達をバイク工場に送り届けたら、俺の工場にそのバイク毎付いてきてくだせえ」

 

 と気軽に応じると、「判った」と貴族とは思えない気軽さで答えて、カイン殿は着替える為にロッカールームに向かった。

 ハロルド達をバイク工場に送り届け、カイン殿と合流しそのまま俺の工場に向かう。

 

 カイン殿のお付きの騎士2人も戦闘バイク乗りで、例のバズーカを搭載した戦闘バイクで工場内に入り、一緒に企画開発室に入って貰う。

 早速、今朝まで激論を交わして作成した新しい戦闘バイク案をモニターに映し、説明を始めた。

 

 「この様に、新設計の戦闘バイクはバズーカの砲口以外の部分を、オリハルコンのカバーで覆うことで防御力を高めて、敵の攻撃や障害物の破片から搭乗者を保護する事が出来るんだが、肝心の先頭を進むドリル重機が鈍重で、折角の戦闘バイクの長所である速力が失われる事になってやがったんだが。

 カイン殿あなたの様な度胸が有り、障害物にぶつかろうが阻まれようが突き進む運転技術、貴方ならば重機では無く戦闘バイクの先端にドリルを付けて、ドリルの回転と魔法発動の反動にも耐えられるだろう。

 そうすれば貴方を先頭にして斜め後ろを、お付きの2人が固める事で三角形の鏃の形が出来上がるって事だ。

 これならば、利点を殺す事無く戦闘バイクの能力を十全に活かせる。

 是非俺に、今思い付く最強の戦闘バイク『ドリル・バイク』を作らせて欲しい!」

 

 と、俺が願い出ると、黙って聞いてくれてたカイン殿が歩み寄ってきて、俺の手を取って握手して来て、

 

 「こちらこそ頼む、ずっと越えられない壁が有り、どうしたら良いか皆目検討が着かず困っていたんだ。

 だがガトル殿、貴方のお陰で目の前の壁が取り払われた。

 是非ガトル殿の思い描く、最強の戦闘バイク『ドリル・バイク』を作ってみせてくれ!」

 

 と熱意の籠もった目で俺を見ながら、握手する手により一層の力を込めて握ってきた。

 なんて熱い男だ、とても貴族のお坊ちゃんとは思えねえ、すっかり気に入ったから、内の幹部連中とお付きの騎士さん2人も連れて、前祝いに馴染みの飲み屋で宴会をしたんだが、何故か『トレーラー組』のホシとジョナサンまで合流して、とんでもなく賑やかな宴会になっちまった。

 

 10月28日

 

 宴会の翌日から、カイン殿が乗られていた戦闘バイクを試験機にして、ドリル重機の為に作っていた鋼のドリルを取り付け、様々な試験を行い取り敢えず乗れる代物を作り上げ、カイン殿に乗ってもらい乗り心地を確かめて貰ったんだが、相当なじゃじゃ馬らしく中々に乗りこなすのに手間が掛かりそうだ。

 

 11月2日

 

 漸くハロルド達に発注しておいた『ドリル・バイク』用の大型バイクが届いたし、特注の『アダマンタイト』製のドリル、そして魔法発動用の各種シリンダーも用意している。

 これらを素体にして俺の思い描く最強の戦闘バイク『ドリル・バイク』を作り上げて見せるぜ!

 

 11月6日

 

 とうとう出来上がったぜ!

 これこそが現在思い付く最強の戦闘バイク『ドリル・バイク』だ!

 既にアラン様達には、コイツの概要は伝えて有るから、きっと明後日からの行軍には役立ってくれるに違いねえ。

 一緒に行く事は出来ねえが、ハリーの奴が付いて行ってるから、後で動画で見せて貰えるだろう。

 カイン殿、頑張ってくれよな!

 

 

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