人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝) 作:ミスター仙人
1月1日(中編)
皇宮謁見大広間にて、自分を含め諸将が左側、大臣始め文官が右側に並び、壇上の玉座より1段下の左側に『ベルタ公アマド殿下』が自動車椅子に座し、右側に『スターヴェーク公クレリア殿下』が座して居られる。
そして壇上玉座の右脇に『ヨハネ教皇』と『ゲルトナー枢機卿』が並んで立たれて居り。
ルミナス教西方教会圏各国の王族や貴族達は、両側階下席にて座している。
その様子は、西方教会圏全ての国のモニターに実況で放送されている。
儀典長が、戴冠式開催を告げると、
暫くして皇宮謁見大広間の巨大な扉が、厳かな音曲と共に静々と開いて行く。
其処には豪奢なマントを纏い、煌めく様な礼装でありながらスタイルの整ったアラン様らしく、動きやすそうにスタイリッシュに纏められた皇帝衣で身を包んだ『人類銀河帝国初代皇帝 アラン・コリント一世』様が居られた。
ファンファーレと共に、ゆっくりとたアラン様は歩を進められて行き、その後ろでマントのドレープ(裾)が下に着かない様に小姓4人?がマントの裾を持ち上げて続いて行く。
(小姓は、正装したテオ君とエラちゃん、そして何故か妹とケットシー128世)
臨席した全ての者が頭を下げる中、壇上直下までアラン様は進みい出て、玉座に直面する形でゆっくりと壇上の階段を進まれた。
座して居た者の内健常者は全て立ち上がり、儀式の見届人としての責務として、壇上のヨハネ教皇とゲルトナー枢機卿がアラン様に近づかれる姿を注視した。
アラン様は玉座前で片膝を着く形で跪かれ、ヨハネ教皇を待つ。
ヨハネ教皇が、
「今此処に、余『ヨハネ・パウロ15世』はルミナス教西方教会代表として、汝『アラン・コリント』を『王権神授』の事実を以って、我等ルミナス教に於ける地上の権限執行者代表として認め、王位を越える皇帝位を授けるものとする。
これより汝は、
『人類銀河帝国初代皇帝 アラン・コリント一世』
となり、遍く人類の代表として、また、『女神ルミナス』の権限執行者として、人々を正しき道へと誘い、全ての生きる者達に慈悲と寛容を以って責務に邁進する事を望む。
此れ等が実行され、また、今後更に『女神ルミナス』の威光を世界に照らす努力をされる事を期待し、
余『ヨハネ・パウロ15世』は、皇冠を以って報いる事とする」
と宣言された。
そして脇に置かれていた見事な台座の上に光り輝きながら置かれていた皇冠を、ゲルトナー枢機卿が恭しく持ち上げヨハネ教皇に渡された。
そしてヨハネ教皇は、跪くアラン様の頭に皇冠を乗せられた。
その瞬間音楽隊が高らかにラッパを吹いて、次の瞬間には皇宮外で一斉に魔法による『花火』が盛大に打ち上がった。
それを合図に、
「「「『人類銀河帝国初代皇帝 アラン・コリント一世』様、万歳!
人類銀河帝国に『女神ルミナス』の幸有れ!!」」」
との大合唱が家臣一同から上がり、臨席された各国の王族や貴族達から、惜しみない拍手が鳴り響いた。
この時を以って『人類銀河帝国』は成立し、
『人類銀河帝国初代皇帝 アラン・コリント一世』の戴冠式が終わった。
続いて、アラン様とクレリア姫様の御成婚式を行う為に、アラン様とクレリア姫様がお色直しに控え室に向かわれた。
その間、休憩に行く者や自分の様に礼服の着こなしを確認する、弱冠賑やかな音が響いていたが、30分後諸々の準備が整い皆が整列すると、音楽隊が高らかにラッパを吹き鳴らした。
儀典長が進み出て、御成婚式開催を告げると、音楽隊がルミナス教の結婚行進曲を静かに奏で始めた。
その音楽に合わせて、ゆっくりと皇宮謁見大広間の巨大な扉が開いていった。
其処には、例の軍人礼服を真似て仕立て直し、ミスリルを織り込んだ服に身を包んだアラン様と、ミスリルを織り込んだ上に白銀で仕立てた光り輝くウエディングドレスに身を包まれたクレリア姫様が、並んで立たれている。
アラン様は元々、軍人にしてはスラリとした体型で、颯爽とした立ち居振る舞いは、世の女性達から絶大な支持を得られている御方なので、正しく男神の化身と言って良い方だ。
クレリア姫様は、スターヴェークの民にとっては美しさに於いても、他国の姫君と比べてすら格段の差があると言われていた程で、光り輝くウエディングドレスに身を包まれたその姿は、正にルミナスとは別の女神の様である。
ゆっくりと御二人が玉座に向かい進む中、クレリア姫様のウエディングドレスのロングトレーン(引き裾)の裾の先を持って付いていくのは、白い正装をしたエラちゃんと妹だ。
結婚行進曲が音楽隊によって静かに奏でられる中、壇上の玉座前に設えられた牧師席には、お疲れになって休まれているヨハネ教皇に代わり、ゲルトナー枢機卿が就かれている。
その牧師席の前まで御二人は進まれ、屈まれる形でゲルトナー枢機卿に挨拶をした。
ゲルトナー枢機卿は、ルミナス教の経典を読み上げられて、最後に御二人に幸有れと結び、御二人に宣誓する様に促された。
促されるまま御二人は立ち上がると、宣誓文を読み上げられた。
「私達は、夫婦として、喜びの時も悲しみの時も、病める時も健やかなる時も、富める時も貧しい時も、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命ある限り、真心を尽くすことを誓います。」
と御二人は誓われ、ゲルトナー枢機卿は頷かれ天に向かい『女神ルミナス』に祝福を請うた。
「我、ゲルトナーは此処に請う!
『女神ルミナス』よ、この夫婦に祝福を与え給え!」
そのお言葉が述べられると、柔らかな光りが皇宮の屋根に当たるクリスタル越しに差し込んで来た。
何事か?とこの場に居る全員が天を振り仰ぐと、あの巨人との戦いの時の様に使徒『イザーク』様が降臨なされている。
全員が、一斉に跪いて『イザーク』様を拝むと、『イザーク』様はアラン様とクレリア姫様だけでは無く、我々全員に柔らかな光りが注がれた。
その柔らかな光りは、ヒールの光りにも似た暖かさと共に、癒やしと魔力の充填と云う似た効果を我々全員に与えてくれた。
我等家臣は、さもありなんと納得の展開で、そう驚いてもいないが、各国王族や貴族更にはヨハネ教皇の喜ばれ様は凄まじいもので、皆口々にこの御成婚の正当性を褒め称えた。
そんな中、一つの奇跡が有った。
「治った、治ったぞ!
私の足が、治っている!!」
と云う声に振り返ると、ベルタ公アマド殿下が自動車椅子から立ち上がっているではないか!
「オオーー!」
と皆がどよめく中、使徒『イザーク』様はゆっくりと天に昇られて行き、そのまま消えて行かれた。
壇上に振り返ると、さめざめと泣かれたアマド殿下を、アラン様とクレリア姫様そしてヨハネ教皇とゲルトナー枢機卿が、こちらも涙ぐみながら祝福されている。
この奇跡も全ては、アラン様とクレリア姫様の行いを『女神ルミナス』が認めている証拠だろうと、周りの同僚と話し、「その通りだ!」と賛同を得られた。