人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝)    作:ミスター仙人

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3月の日記①(人類銀河帝国 コリント朝元年)《マジノ線到着》

 3月1日

 

 本日自分の乗る陸上空母『ドライ』(この名称は、単に形式番号だったのだが言い慣れてしまい、正式な艦船名になった)は、マジノ線目指して進発した。

 約2週間程でマジノ線に到着する予定だが、その間も訓練しながら行くつもりなので、中々気を抜けないだろう。

 ガイやサバンナ達新たにドラゴンになった元ワイバーン達は、非常に賢くなったので戦闘訓練も彼等の意見を組み入れて、より実戦を想定したものに変更されて行った。

 此れなら、突然変わる戦局にも瞬時に対応出来るだろう。

 逆にヘリコプター部隊はまだまだ覚束なくて、其々2人乗りで飛行運転する者と対地攻撃及び偵察する者とで、役割分担しているのだが、ワイバーン隊に比べると見劣りしてしまう。

 まあ、新機軸の兵器で更に初の実戦に臨もうと云うのだ、緊張するのは当然だし不安になるのも良く判る。

 だが、相手はだからと云って手を抜いてくれる筈も無く、戦場は一瞬の判断の誤りで死んでしまう事もある。

 自分は指揮官として、ヘリコプター部隊を死地に送る訳には行かないので、出来る限り死ぬ可能性を下げるべく訓練させて行こうと決意している。

 

 3月4日

 

 公都セシリオに到着したが、以前の街並みを知っているだけに隔世の感がある。

 先ず、直ぐ隣にドームが有って其処には魔導列車の駅と、コンテナの搬入搬出用のプラットフォームが有り、親父の作ったフォークリフトとトレーラーが頻繁に行き交い、物資が次々と運び入れたり運び出されている。

 以前の人っ子一人いないゴーストタウンと化した姿を見ているだけに、同じ場所だと信じられない思いだ。

 我々の陸上空母がプラットフォームに横付けされて、物資の搬入を開始していると、魔導列車から降りて来た学生達が駅から物見高く、陸上空母を見上げている。

 すると、周囲警戒と訓練を兼ねたヘリコプター部隊が甲板上から飛び立った。

 学生達は、ヘリコプター部隊を見て歓声を上げて、

 

 「僕は『学校』を卒業したら、空軍に絶対入るんだ!」

 

 「私は、セリーナ様の高機動軍の戦闘バイク部隊に入るわ、だってセリーナ様カッコイイんだもん!」

 

 「いや、なんといってもアラン皇帝の親衛隊だな、一騎当千の猛者ばかりだし、剣王達が隊長なんだぜ!

 だから俺は、神剣流と帝国武術の道場に通ってるんだ!」

 

 「オイラは、魔導列車の運転手だな!

 もうすぐ元三国の首都を繋いだ環状線が完成するし、何れは西方教会圏全てが魔導列車で繋がるんだぜ!

 魔導列車の運転手なら外国に行き放題だよ!」

 

 「オレっちは、トレーラー乗りだな!

 1月から始まった『トレーラー野郎!』のドラマは、男心をくすぐるぜ!」

 

 「アタイは、帝都の技術開発部に必ず入るわ!、必ず新しい技術を生み出して見せるんだから!」

 

 などと、喋り合っている。

 旧セシリオ王国の国民だった頃に比べると、明らかに子供達の瞳には光りが有り、未来への展望が開けている所為か、皆明るく朗らかに自分達の望む未来を語っていた。

 自分達が、あの愚王ルージを倒す事で子供達の未来を開いた事を考えると誇らしくなるが、翻って見ると北方のスラブ連邦に併合された国の子供達に未来は有るのだろうか?と考えてしまった。

 

 3月14日

 

 公都セシリオから、元周辺国だったエラム国を通りノルデン諸国連合の国境線に近づいた。

 帝国との間の国境線にはマジノ線の様な要塞は存在せず、逆に鉄道敷設工事と道幅を大きくとった道路インフラ工事を、大型魔道具と大人数で大掛かりにしている為、まるで交易都市の様な有様だ。

 故に、国境の検問所は書類と本人確認を行うと、フリーパス状態で通してくれた。

 そのまま一路、帝国の為に用意された駐屯地用の土地目指して向かった。

 

 3月15日

 

 予定通りに駐屯地用の土地に着いたら、既にかなりの巨大ドーム用の基礎工事が終わっていた。

 高機動軍と重機動軍は、予めかなりの大型重機を陸上空母『アイン』、『ツヴァイ』(結局空軍と同じく名称は形式番号を踏襲した様だ)双方に積載していた為、土地を均したり杭を地下深く埋め込む事が出来た様だ。

 此処には、援軍として派遣される15万の帝国軍と、マジノ線に張り付いているノルデン諸国連合軍15万、計30万の軍人の宿泊施設及び生活を支える施設類を抱え込んだ、巨大なドームを建設する事になっている。

 もう少しすると、魔導列車用の駅及びプラットフォームも出来上がり、兵員と物資の輸送が円滑に行われる様になるだろう。

 自分とミーシャは書記官を連れて、司令部の有る一際巨大な要塞に赴いた。

 待合室に通されて、高機動軍と重機動軍の幕僚達と久々の合流に、其々の情報の照らし合わせと四方山噺に話しの花を咲かせていると、セリーナ准将とシャロン准将が入ってきたので、自分とミーシャは敬礼しセリーナ准将とシャロン准将も敬礼して席に着いた。

 何でもセリーナ准将とシャロン准将は、此処に着いてから駐屯地用のドーム建設は部下達に任せ、自分達2人だけでかなり離れた広大な荒れ地を演習場として、実戦訓練を繰り返しているのだそうだ。

 実は先月末に2人用の新型戦闘バイクが遂に完成し、その試運転がてら行軍してたらしいのだが、その新型戦闘バイクは他の戦闘バイクとあまりにも戦闘力が違い過ぎていて、漸く双方がこの駐屯地で合流出来て演習相手を務められる戦闘バイクに巡り合ったという訳だ。

 2人の戦闘バイクだけで広大な荒れ地の障害となる様な丘や巨大な岩は全て粉砕されて、キレイに荒れ地は土地が均されていて何れは広大な農地に変貌するのではと考えられているそうだ。

 と云うのも双方の新型戦闘バイクは、双方共にホバークラフト走行をする代物で、従来の2輪走行とはそもそも根本思想から隔絶しており、既に戦闘バイクどころか車両と言って良いのか判らない程の新しい戦闘マシーンと云うべきだろう。

 正直自分の騎竜であるガイは、帝国軍に於いてグローリア殿を除けば1、2を争う戦闘力を誇ると考えていたが、地面の上だけで戦う局面でこの2台の新型戦闘バイクにセリーナ准将とシャロン准将が搭乗されている場合は、勝ち目が無いだろうと考えている。

 そんな思案をしていると、マジノ線の防衛司令官が会議室でお待ちになっていると知らせが有り、全員で向かった。

 防衛司令官たるレリコフ元帥とその幕僚達が勢揃いして我等を待って居られ、我等も入室して一列に並び一斉に敬礼すると、レリコフ元帥とその幕僚達も対面に並びキレイな敬礼を返してくれた。

 双方其々の席に着くと、レリコフ元帥が自分とミーシャに対して礼を述べられた。

 

 「ケニー大佐、ミーシャ中佐、お二人の統括されている空軍所属のヘリコプター部隊により、敵であるスラブ連邦軍の上空からの偵察を行ってくれたお陰で、詳細な敵軍の配置図及び部隊編成、そして補給路の位置等が判明した。

 此のお陰で、敵の侵攻作戦が開始されても防御の重点場所や、此方からの遠距離攻撃を何処に集中すべきか作戦立案が容易になりました。

 重ねて貴方方を派遣して下さった、アラン皇帝陛下に感謝申し上げる!」

 

 と深く頭を下げられ感謝された。

 

 「・・・自分もアラン皇帝陛下に指示されての事、その感謝のお言葉は、直接アラン皇帝陛下に申し上げて下さい」

 

 と返答したら、

 

 「・・・伺って居りましたが、アラン皇帝陛下自らモニターで見せて貰った、皇帝座乗艦である陸上戦艦『ビスマルク』で直々に援軍を率いて来られるとか、幾重にも人類銀河帝国には感謝する。

 他にも、マジノ線強化の為のバリアー発生装置や大規模な食糧支援、そして医薬品や要塞毎に設置してくれた水資源用魔道具と大型浴槽魔道具のお陰で、兵士達の衛生面での生活改善が図れました。

 今迄本国に要請しても、予算面での問題で出来なかった事案でした、本当に有難う!」

 

 とレリコフ元帥は、心から感謝されている様だ。

 その後、これからの駐屯地構築の工程表と、マジノ線を更に強化する為の項目を確認し、此の日の会議は終わった。

 敵の状況を偵察部隊のお陰で詳細に判ったが、奴らは自分達の首都からの大規模増援が来ない限り、行動に出ないと思われる。

 ならば其れまでに出来る努力を重ねようと、決意を固めた。

 




 本文中のセリーナとシャロンの新型戦闘バイクは、察している方も居られるかも知れませんが、以前説明した『熱笑!!花○高校』で出てくる、虎の総頭『天界○主』の『悪○号』をモチーフにしているのが、セリーナの『ディアブロ号』で、黒いゲリラ総大将の『力○男』の『スー○ーバイク』をモチーフにしているのが、シャロンの『ジャッジメント号』です。
 此の2台の戦闘バイクが活躍するのには、もう少し話数が掛かりますがどうぞお楽しみに。
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