人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝)    作:ミスター仙人

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4月の日記③(人類銀河帝国 コリント朝元年)《マジノ線防衛戦③》

 4月1日(後編)

 

《チカッ》

 

 と何かが、光ったと思ったと同時に極太の光線が、ワイバーン隊とヘリコプター部隊で編成された空軍に襲いかかった!

 次の瞬間、

 

 「ドオオオーーーーン!!」

 

 と云う轟音が轟いて極太の光線が斜めに天を貫いていき、ワイバーン隊とヘリコプター部隊の其々10騎と15機体が翼とローター部分を破損し、地面に向かい落下して行った!

 

 「何だと!」

 

 と自分の口から驚きの声が出て、光りを発した方向に眼を向けると、更に、

 

 《ピカッ!》《ピカカッ!!》

 

 と光が瞬き、100条もの光線がワイバーン隊とヘリコプター部隊に襲いかかり、今度はワイバーン隊50騎とヘリコプター部隊100機体が攻撃に巻き込まれて、様々な箇所を破損したり何機かのヘリコプターは爆散してしまった!

 

 "そんな馬鹿なっ!!"

 

 と思いながらも自分の乗るガイ含むドラゴン隊は、高空から一気に垂直落下して残りのワイバーン隊とヘリコプター部隊と、光りを発した方向に割り込み最大魔力による多重バリアーを展開した!

 次の瞬間、

 

 「ドオオオーーーーン!!」

 

 と先程と同じ極太の光線が多重バリアーに直撃した!

 

 「「「グオオオオオーーーン!」」」

 

 という15頭のドラゴンの雄叫びが上がり、辛うじて極太の光線を逸らす事に成功したが、光線は天を切り裂いていき光線に触れた雲は雲散霧消して行った。

 戦慄と共に光りを発した方向に目を凝らすと、想像通り『テュポン』がその巨体をくねらせながら、此方に近づいて来るのが見えたが、ヘルメットに映し出された対象への距離と大きさに驚愕した。

 何と『テュポン』は約80キロメートルの彼方に居て、その巨体は約3キロメートルと表示されたのだ!

 そんな距離から、今までの戦争に於いて殆ど損害を被った事の無い帝国軍、然もその中でも最強と自認する空軍の半数近くが戦闘不能にさせられたのだ!

 幸い死傷者は居ないとの表示がヘルメット画面に表示されたが、重軽傷者多数とも表示され無事だったベック、トール、キリコ等の隊長に、マジノ線の後ろに控える陸上空母への緊急退避を命令し、地上に居る高機動軍と重機動軍に負傷者とワイバーン達の回収を依頼し、15頭のドラゴンによる最大魔力の多重バリアーを展開し続ける。

 

 その後『テュポン』による光線攻撃は止み、『テュポン』はマジノ線目掛け着実に迫ってくる。

 その間に、被害の有った空軍の負傷者とワイバーン達の回収は完了し、此方は体勢を整える事が出来た。

 そして『テュポン』が、丘の向こうに肉眼でも確認出来る距離にまで迫り、そのとても現実とは思えない巨体を衆目に晒した。

 様々な魔物・魔獣と対戦して来た帝国軍としても、これ程の巨体を持つ敵と戦った試しは無く、ましてやノルデン諸国連合軍にとっては、正に悪夢に出て来る地獄の魔獣に他ならない。

 そんな皆が戦意喪失しそうな中アラン様は、

 

 「全軍傾聴!

 此れより、帝国軍は『対強敵戦』に移行する!

 ノルデン諸国連合軍は、レリコフ元帥の指揮の元マジノ線要塞に各自篭もり、バリアーの最大稼働で防御に専念せよ!

 帝国軍より参戦するのは、我アランが遠隔操縦するドラゴン『グローリア』と空軍のドラゴン隊、そして局面によって投入するセリーナ准将とシャロン准将そしてその親衛隊、以上である!

 それ以外の帝国軍は、戦闘に参加せず臨機応変に対処せよ!」

 

 と号令を発した。

 するとマイクを切り忘れたのか、奇妙だが美しい音声が聞こえて来た。

 

 「・・・龍脈(レイライン)へのリンクを確立・・・龍脈遠隔操縦(レイラインダイレクトリンク)プログラム始動・・・対《邪神》迎撃プログラムの限定解除を"武神アラミス"へ要請・・・・・認証中・・・認可成功・・・武装タイプ選択・・・標準(スタンダード)モデル・・・名称『機龍(ドラグーン)』モード・・・対象『グローリア』への武装換装開始・・・換装中・・・・・・換装終了・・・グローリア後部甲板にて出撃準備・・・」

 

 との何とも不思議な言葉が聞こえて来たが、その中に"武神アラミス"と云う言葉が有り、きっとアラン様も自分と同じくアラミス神を密かに信奉しているので、祈りでもささげたのだろうと納得した。

 

 やがてビスマルクの後部から、武装を整えたグローリア殿を乗せた飛行甲板がせり出してきた。

 

 「・・・グローリア、『機龍(ドラグーン)』モード」、行きます!」

 

 と勇ましい掛け声と共に、オリハルコンとアダマンタイトによる武装を光り輝かせて、グローリア殿が出撃した。

 そのグローリア殿を中心にドラゴン隊は飛行編成をし、この2年間訓練と戦争で共に培った連携行軍を『テュポン』に見せつける様に向かって行った。

 

 『テュポン』は我等に気付くとその雄大な上半身を起こし、威嚇する様な雄叫びを上げた、

 

 「オオオオオオオーーーーン!」

 

 その雄叫びは、衝撃波となって辺り一帯を振動(空振と云うらしい)させた。

 だが我等は一切怯まない。

 既に新軍団魔法『ソニックインパルス2』を展開し、振動や音に対しての防衛体勢に入っていたからだ。

 

 新軍団魔法『ソニックインパルス2』・・・従来の軍団魔法ソニックインパルスと違い撹乱魔法では無く、予めバリアーで身体全体を守っている事で空気の抵抗が少なくなったお陰で、かなりの速度が出せる。

 その速度は最高時速マッハ(音速と云うらしい)3に達し、マッハを越える事で文字通りソニック(音波)をインパルス(衝撃波)として敵に叩きつける事も出来る。

 

 効果無しと見たのか、『テュポン』はその両肩から生えさせている100匹の蛇の口から、光線を我等に向かい吐いて来た。

 しかし、ワイバーン隊やヘリコプター部隊には通用したが、グローリア殿とドラゴン隊のバリアーを貫ける程の威力は無く、『テュポン』もそれが判ったのか大口を我等に向けて開き、極太の光線を吐いてきた。

 その極太の光線を我等はアッサリと回避して、漸く我等の有効射程距離に『テュポン』を捕捉した。

 

 「フォノンメーザー照射!目標両肩の蛇群!」

 

 との命令がアラン様から下り、アラン様は遠隔で我等は直接照準で、『テュポン』の両肩から生えさせている100匹の蛇達を、グローリア殿とドラゴン達の肩に装備しているフォノンメーザー砲で焼き払った

 

 「グギャアアーーーー!」

 

 と苦悶の声を『テュポン』は上げ身悶えている。

 此奴にはバリアーは無いのか?と意外な思いを抱いていると、焼き払われて地面に落ちた蛇群が当初はのたうっていたのだが、暫くすると足が生えて来てまるで蜥蜴の様になり、意外な素早さでマジノ線に突進して行く!

 

 「セリーナ准将とシャロン准将そしてその親衛隊は門から出て、蛇群改め蜥蜴群を迎撃!

 要塞上と城壁上に展開する帝国軍は連装魔導砲で蜥蜴群を迎え撃ち、陸上空母はビスマルクと共に主砲を曲射してセリーナ准将とシャロン准将達を援護せよ!」

 

 とアラン様は号令された。

 その間もグローリア殿とドラゴン達は、『テュポン』に対しフォノンメーザーやブレスを浴びせ続けている。

 『テュポン』はバリアーを持たないらしく、此方の攻撃は当たり放題なのだが、何といっても巨体の為に致命傷を負わせる事が出来ない。

 

 遂にアラン様は決断され、

 

 「新軍団魔法『サンダーストーム2』展開!!!」

 

 と我等に号令を発した。

 そして『テュポン』を中心に、グローリア殿を通しアラン様は巨大な高密度のタイフーンを現出させた!

 その規模は周囲5キロメートルに及び、ビスマルクの4つ有る『魔力凝縮炉』の並列機動が無ければ出来ない代物だ。

 だが、そんな高密度のタイフーンに捕捉されながらも『テュポン』は暴れ回り、ミーシャのサバンナを始め5頭のドラゴンが極太の光線を浴び、バリアーを貫かれて装甲を破壊されマジノ線後方に退避して行く。

 それでも他のドラゴン達は魔力を充填し終えて、アラン様の指示を待つ。

 グローリア殿も魔力を充填し終え、その『機龍(ドラグーン)』モード」に装備されている避雷針パーツ3個を、上空に射出した。

 たちまち上空に雷雲が立ち込めて来て、雷が避雷針パーツ3個に吸い込まれる様に集まっていく。

 充分に雷が集まったとアラン様は判断され、グローリア殿専用の『グングニルの槍』をグローリア殿に持たせられた。

 

 「喰らえ!『ゼウス(雷神)の裁き』!!」

 

 と叫ばれ、グローリア殿に『グングニルの槍』を『テュポン』頭部に投擲させ見事に上顎に突き刺さった。

 次の瞬間、グローリア殿とドラゴン隊は『インドラの矢』を全力で多重展開し、『グングニルの槍』に向けて放った!

 

 「カッ!」

 

 その瞬間『インドラの矢』特有の現象で、世界が白く染め上げられ、続いて振動を伴った轟音が周囲一帯を包み込み、静寂が訪れた。

 だが、『テュポン』は身体を焼け焦げさせながらも反撃の光線を口から吐いて、その光線は戦場から遠いマジノ線の城壁をいともたやすく貫き、大穴を穿った!

 

 「トドメだ!『ウラヌス(天空神)の怒り』!!」

 

 とアラン様は叫ばれ、上空に有る避雷針パーツ3個から充分過ぎる程集まった雷が、百雷となって突き刺さったままの『グングニルの槍』に降り注いだ!

 

 「ゴオオオオオオオオオオオオオオオオーーーーーーーーーーーーーーンンン!!!!!!」

 

 と今まで聞いた事の無い音と云うより衝撃波が、ドラゴンに乗っているにも関わらず、空軍全員を木の葉の様に空中で翻弄した。

 暫くすると、視界が開けて来て周りを見れる様になったが、周囲の景色は一変しており自分達が何処に居るのか判らない。

 ヘルメットの画面が復旧してくれて、大凡の場所は把握出来たが、明らかに地形が変わっていて周囲がクレーター状になっており、『テュポン』がどうなったかも判らないでいると、『グングニルの槍』と避雷針パーツを装着し直したグローリア殿がやって来られ、

 

 「『テュポン』は蒸発させましたよ、『テュポン』の身体を構成していたMM(マイクロマシーン)の痕跡は一切有りません!」

 

 と答えてくれた。

 その様子をわざわざ頭部に有る魔道具から、立体プロジェクターで見せてくれたので、他のドラゴン達も立体プロジェクターを目印に集まり、全員で鑑賞して『テュポン』が消失した事を確認出来た。

 本当に勝ったんだと理解出来たが、まだマジノ線では蜥蜴群の掃討戦が続いている様なので、援護の為に向かう事になったが、ガイも疲れ切っていてヨタヨタと翼で飛ばずに歩いて向かう羽目になり、そのドラゴンらしくない姿に思わず笑ってしまった。

 

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