人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝)    作:ミスター仙人

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4月の日記④(人類銀河帝国 コリント朝元年)《マジノ線防衛戦後始末》

 4月2日

 

 遅い朝食を摂りながら、ミーシャや他のドラゴンライダー達と昨日の『テュポン』との対戦後の顛末を語り合った。

 

 『テュポン』を何とか蒸発させたが大量の魔力を消費し疲労困憊の我等に、グローリア殿が魔力を補填してくれたので、漸く通常状態まで魔力を戻せたのだが、グローリア殿の魔力は大丈夫なんですか?と質問したら、

 

 「大丈夫ですよー!、この『機龍(ドラグーン)』モードなら、常時地中を走る龍脈(レイライン)へのリンクが確立してるので、星の魔力を限定的ですけど利用出来ますから、かなり長い間全力で魔法を使えるんですよ」

 

 と説明してくれた。

 龍脈と云うのが理解出来ないが、星の魔力を使えるというのは凄い話だ。

 帝都コリントに戻ったらモーガン殿に聞いてみよう。

 

 準備万端整ったのでマジノ線の援護に向かうべく全員で飛び立ったが、既に例の蜥蜴群の掃討は殆ど完了していた。

 中でもセリーナ准将とシャロン准将の働きは凄まじい!

 後で見せて貰った動画でもお二人の乗る、『ディアブロ号』と『ジャッジメント号』はマジノ線手前の戦場を縦横無尽に走行し、蜥蜴達を蹴散らして行く。

 

 『ディアブロ号』は装備されているドリルと丸鋸で以って、其々体長20メートルは有る蜥蜴達の横っ腹に突っ込み文字通り切り裂き、搭乗者であるセリーナ准将は愛刀の『冷艶鋸改』の刀身にファイアーの魔法を宿らせて、片っ端から焼き尽くして行った。

 

 『ジャッジメント号』はパルス魔導弾と翼下に装備された連装バズーカ砲で、蜥蜴達を蜂の巣にしながら装填されているファイアー系の魔法で燃やし尽くし、蜥蜴達の口から吐かれる光線を防御魔法を纏わせた愛用の巨大なトンファー『神虎』を回転させて防ぎつつ、接近戦になると『神虎』にファイアーの魔法を宿らせて、蜥蜴達を砕きながら焼き尽くして行った。

 

 彼女らに従う其々の親衛隊は、ホバークラフトの戦闘バイクなので彼女らの速度に付いて行けて、彼女らが取りこぼした蜥蜴達を連携して倒して行った。

 

 そんな彼等を要塞上と城壁上に居る帝国軍は、連装魔導砲で援護し、陸上空母とビスマルクは大きく迂回しようとする蜥蜴達を牽制して外側から中に追い込むように主砲を曲射していた。

 

 結局100匹の蜥蜴達は、幾つかのサンプルを回収した以外は全て燃やし尽くされ、帝国軍の被害は『テュポン』が苦し紛れに放った極太の光線で穴の開いた城壁上に居た、帝国軍人が怪我をしただけで済んだ。

 

 やはり『テュポン』による最初の光線攻撃が、此方の想定を遥かに超えていた為に、ワイバーン隊とヘリコプター部隊の空軍の被害が最も大きく、重傷者は陸上空母に備え付けの医療用カプセルに入れて、療養して貰っている。

 まあ、一両日中には欠損部分の修復が完了するから、後はゆっくり療養してくれれば良い。

 他の帝国軍人達も、昨日の今日なので本日は休む様にとのアラン様の命令が出ているので、ゆっくりと休んでいて、代わりにレリコフ元帥始めノルデン諸国連合軍が、収容した戦争捕虜で有る戦奴隷の聞き取り等を行っている。

 明日からは我等も参加する事になるだろう。

 

 4月5日

 

 洗脳解除のプロセスを踏みながら、戦奴隷達の身体バランスを考慮して、問題無しと判断された者から聞き取り調査を行って行った。

 すると驚くべき実態が徐々に明らかになっていった。

 戦奴隷達は、戦奴隷になる前の記憶は明確に有るが、戦奴隷とされた後の記憶が全く無かったのだ!

 それどころか、逆に「今は何年なのですか?」と問われて、此方も当惑しながら答えると、質問した当人が驚愕するという事例が多発した。

 整理すると、近いところで1年前に戦奴隷にされた者、遠い者は何と70年前?!に戦奴隷にされた者が居たのだ!

 然も1年前に戦奴隷にされた者より、70年前に戦奴隷にされた者の方が、明らかに若いのだ。

 此れは、もっとしっかりとした研究施設の有る、帝都コリントに連れ帰らないと判明出来ないと、アラン様は判断され、戦奴隷だった者達は全員帝都コリントに連れ帰る事になった。

 

 4月15日

 

 ノルデン諸国連合のフィン国とスウェー国そしてノル国の、全権委任大使がアラン様に面会を申し込んで来た。

 ノルデン諸国連合各国には、4月2日の段階でマジノ線防衛戦の顛末を、様々な資料や動画を纏めて送付しており、恐らくはマジノ線防衛戦に対しての援軍へのお礼と感謝だろうと、我等は考えていたのだが、実態は全然違っていて、この三国は内々に帝国への併合を求めて来たのだった。

 この三国は今回のマジノ線防衛戦での、スラブ連邦の軍勢と云うよりヒュドラもどき達と、何と云っても『テュポン』の凄まじさに驚愕したが、その恐るべき異形の怪物達に打ち勝った帝国に対し、畏敬と驚嘆の念を抱かれたそうだ。

 更にマジノ線防衛戦前にアラン様より提案された、『西方教会圏共栄構想』の骨子に大変な興味を抱き、3ヶ月前に帝国に編入したエラム国、アサム国、イスラ国、ウーラ国、オクト国の帝国周辺5カ国が、たちまち建て直されて、平民の暮らしが安定した上に、帝都コリントで元王族や貴族達が『華族』という称号になり、国民への義務と責任から解放されてより自由に生活出来ていて、最先端の技術により病気や怪我等のどうしようも無い事象に対してすら解き放たれている事実に、憧れすら感じているのだそうだ。

 アラン様は、其れ等に対し即答は避けて、近く帝都コリントに凱旋する際に同行して頂き、他のノルデン諸国連合の国家とも相談の上で、より良い形の国体を考えましょう、と提案されて三国とも了承されたそうだ。

 まあ、ぶっちゃけた処、スラブ連邦と云う不気味極まり無い大国に隣接している隣国という立場は、立場の上に居る者程恐怖を感じる事だろうから、非常に納得出来るなと自分は思った。

 

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