人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝) 作:ミスター仙人
7月20日
セシリオ王国が此処ベルタ王国に宣戦布告をして来た。
我々が危惧して来た通りになったので驚きは無いが、まだ集団移民団(凡そ2万人)はこちらに向かっている最中で巻き込まれるのは甚だまずい、アラン様は「黒」に予定のコースを変えてセシリオ王国から離れたコースを進む様に集団移民団に伝えよと命じられた。
7月23日
セシリオ王国軍5万がベルタ王国国境線を突破破竹の勢いで国境線配置軍2万人は蹴散らされて撤退、セシリオ王国軍は国境近くの街々に進軍中であるとベルタ王国上層部に情報が入った。
そしてベルタ王国側はファーン辺境伯の城邑で迎え討つべく周囲の貴族及び王都から国軍が進発し対抗する様だが、合計しても3万人に届かず対抗しきれないのではと考えられた。
現在クレリア様とアラン様のブレーンとなっている前宰相ヴェルナー・ライスター卿が説明するに、以前セシリオ王国のルージ王子の不穏な動きを警戒し「黒」に探らせるとかなりの数の傭兵団を呼び集め、更にはならず者に近い者達も集めているらしくお陰でセシリオ王国国内は治安が悪化し税率まで上がりセシリオ王国内の王家の評判は下がっており、此の侵略戦争をセシリオ王ルージは是が非でも成功させセシリオ王家の評判の悪さを払拭したいのだろうと述べられた。
アラン様は
「我々の領地からは離れた国境での戦争だが、何時どの様な形で飛び火してくるか分からない、よって軍人は準戦時体制に入り呼集されたら直ぐに出動出来る体制に移行する!」
と命じられた。
7月26日
ファーン辺境伯の城邑にセシリオ王国軍が迫り、ファーン辺境伯は籠城して迎え討つ様だが籠城するのは、付近の貴族の私兵が入れただけでその数8千人に届かない、然も宣戦布告から僅かな日数で城邑に迫られてしまい食糧や補給物資の備蓄は少ない、早くセシリオ王国軍を追い払わなければ国境線周辺の国土は奪われてしまうだろう。
7月28日
「セシリオ王国国境線周辺の街や村に出没する賊の退治を護国卿の権限を以って行い、その後ファーン辺境伯の救援に迎え!」
と王命が商業ギルド経由で通達された。
早速全軍の内「近衛軍」「支援軍」はガンツを経由してファーン辺境伯領を目指し、我々「空軍」は即応軍としての役割通り襲われている町や村々の救出に向かう事になった。
又この行軍に初めて「放送局」の人員20人が従軍し、諸々の戦時記録を写すとの事で自分はハリーを後部座席に乗せたが興奮を隠しきれない様子が伺えた。
7月31日
タラス村が襲われているという「黒」からの情報によりグローリア殿にシャイニングスターの面々を乗せ随伴として自分のガイが急行した。
村は賊に対してバリケードで防ぎながら応戦していたが、賊が30人と多く武装も賊側の方が良いので多数の怪我人が出ていた。
グローリア殿が空から雄叫びを上げ賊達が驚きに空を振り仰いだ瞬間、グローリア殿の上からシャイニングスターの面々による高速ファイアーアローが賊達全員の両肩を貫いた。
村人も突然のドラゴンの来襲に驚愕し茫然自失していたが、降り立ったアラン様とクレリア様が兜を脱ぎ手を振ると、「アランさん、師匠?!」と驚きの声と共に若者2人が駆け寄って来た。
「ベック、トール久し振りだな。」
と、アラン様とクレリア様も親しく声を掛けられた。
挨拶もそこそこに怪我人に対して自分も含めた全員でヒールを掛け、賊を縛り上げる。
一通りの処置が終わった後、ザック村長始め村人全員を広場に集め現在の状況を説明した。
村人一同は驚きながらもアラン様が噂に聞くドラゴンスレイヤーその人で貴族になられた事に感心し、捕らえた賊は村の倉庫に監禁しいずれ到着する「支援軍」に引き渡す事を確約した。
アラン様は村が被った被害に対して見舞金と賊を捕虜として扱うための保証金を村長に渡された。
ザック村長はその金額の多さに驚き返そうとするが、
アラン様は、
「今後は戦争も起こり今迄の生活が脅かされる時代になった、タラス村もその資金で防備を固め武器を買い集め時代に負けない備えをしてくれ。」
と仰られた。
村人一同は感動してアラン様に感謝していたが、ベックとトールの2人はアラン様に自分達をアラン様の領地に連れて行って欲しいと願い出てきた。
アラン様は家族の了承を得られたらいずれ到着する「支援軍」に合流し行動を共にすると良いと仰られた。
そして我々は村人達の歓声を浴びながらグローリア殿とガイに搭乗して飛び立った。