人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝) 作:ミスター仙人
2月6日
息子が内乱戦争から帰ってきて翌日、如何にも武術者といった感じの男3人を連れて俺の工場にやって来た。
「貴方がセリーナ殿の愛刀『冷艶鋸改』を製作された、名刀工と云われる鍛冶師『ガトル』殿ですな!
某は、剣王の一人である『シュバルツ』と申す、是非『ガトル』殿に某の刀を製作して欲しい!!」
「俺は『ミツルギ』と云う、しがない武術馬鹿だ!
今までは特に武器に拘らなかったんだが、今回の戦いでそれも重要な要素だと思い知らされた!
お願いだ!俺にも自分に合っている武具を製作して貰いたい!!」
「私めは、トビ・カトウという者『カトウ』と呼んで下され!
私は、影に生きる者として暗器を使用していたのですが、いざ1対1の戦いに於いて相手が魔法剣の業物を持っていると、対処に困る事が度々有りました。
私にも、自分専用の武器を製作して頂けないでしょうか?」
と矢継ぎ早に催促して来やがった!
幸い俺の弟子共が使い物になり始め、重機や工作機械も指示すれば問題無く進められる位に成長したから、最近は軍の上層部や、兵士の中でも使い手の連中用に武器を作ってるから、別に構わねえんだが、実はアラン様から直々の発注を幾つか受注してるんだよな。
「・・・・・判った!
受けてやっても良いが、当然お前達用の専用武器となると、お前達とそれぞれ膝詰めで相談したり、場合によってはお前達自身がオリハルコンを鍛錬したり、アダマンタイトに魔法を込める必要が有る。
結構な手間だが、やる気は有るんだな?」
と問いただしたら、
「「「オオッ!望む処です!!」」」
と気迫に満ちた声で唱和しやがった!
気合いの入った連中じゃねえか、気に入ったぜ!
「よっしゃ!その意気だぜ!
それじゃあ、それぞれが思い描く武器の形と要望、そして能力を俺と1人ずつ膝詰めで相談しようや」
と言い、それぞれと1時間ずつ相談する事で、大体の概略を掴んだので明日から製作に入る事になった。
2月7日
ドップの奴に以前アラン様から渡された資料から、リファインした製図の元での新しい重機や工作機械の魔道具の製作を指示し、ハロルド達には新規の戦闘バイクの構想に入れと指示して、俺は武術馬鹿3人の武器製作に入った。
以前セリーナ殿から貰った『冷艶鋸』の資料には、参考文献てのも付随していて、その手の資料が他に有るのか8ちゃんに聞いたら、
「リョウカイシマシタ、アランサマノキョカガオリマシタノデ、シリョウヲカイジシマス」
と答えてくれたお陰で、武器・武具の資料を全て紙に纏めて貰い、俺の工場長の執務室にはその手の武器の資料が沢山ある。
暇な時に其れ等を眺めるのが俺の趣味になってるんで、俺の中では3人の為の武器は大体考えが纏まってるんだが、後は3人の武器・武具にどんな魔法を込めるかだな。
3人に聞いてみたら、全員基本的に魔法はオールラウンドで良くて、下手に特化しなくていいそうだ。
成程、何れ自分でその武器に合う魔法と技を自得するって訳だな。
そして其れ等の要望と武器・武具の重さの兼ね合い、そしてアダマンタイトを何処の部分に装着するか?等の最終構想を盛り込んで製図が出来上がったぜ。
2月14日
いよいよ純粋なオリハルコン鋼材での、”圧縮・延ばし・折りたたみ”という3工程を2万回繰り返し、凄まじい密度を誇るオリハルコン鋼材を、削り出し形を整え刃先等を例のグラインダー(オリハルコンの欠片を表面にコーティング)で研ぎ、仕上げに3人それぞれの魔法特性に合わせたアダマンタイトの魔法発動体を、それぞれの武器・武具に装着する。
そうやって完成した武器・武具を3人それぞれに引き渡してやった。
シュバルツ殿に渡されたのは、2刀の兄弟刀『右月と左月』。
銘『右月・左月』・・・・・それぞれの柄頭にアダマンタイトが埋め込まれていて、魔法発動は其処から行う。剣が主流の西方教会圏には珍しい刀で、魔法で切れ味を増すと正に快刀乱麻に敵を切り裂く。
ミツルギ殿に渡されたのは、ガントレットで『豪雷』。
銘『豪雷』・・・・・・・・両手に装着するガントレットで、拳の上にアダマンタイトが埋め込まれていて、魔法発動は其処から行う。打つ・掴む・投げる・突く事が出来る用に指が自在に動く用に工夫されている。
カトウ殿に渡されたのは、小刀で『絶影』。
銘『絶影』・・・・・・・・オリハルコン鋼材で製作したにも関わらず、刀身から柄まで全て漆黒に染められていて、アダマンタイトは透明なまま鍔として装着していて、魔法発動は其処から行う。この『絶影』には或る魔法が予め付与されていて、持ち主であるカトウ以外には発動出来ない。
3人それぞれが己の武器・武具を受けとり、その使い心地や手へ馴染ませる為に、工場裏に有る試験場に向かい各々が己の武器・武具を試してみる事になった、おう、存分に試してみるがいいさ!
シュバルツ殿は、先ず一通り神剣流の型を行い、納得されると切れ味を増す魔法を発動し、巻藁を斬ってみるとあまりの切れ味に驚かれ、試しに力を入れずに刃先を強化アクリル板に触れさせると、そのまま鍔まで沈む様に刃先が潜り込み、感動してるみてえだ。
ミツルギ殿は、元拳王らしく拳を連打する様に型を行い、練習で壊れた車両を掴み投げて納得されると、強化アクリル板に拳を打ち込み、拳の形に強化アクリル板がくり抜かれるのに驚き、魔法を発動して貫手の形に指先を揃え、強化アクリル板に打ち込むと、まるで抵抗無く強化アクリル板を貫くとそのまま打ち下ろしたら一刀両断してしまい、感動に打ち震えてるみてえだ。
カトウ殿は、逆手に構え見たことの無い型を行い、納得されると或る魔法を発動させた。すると突然カトウ殿の姿は消えて無くなり、小刀を振る音だけが聞こえ影さえ見えない。徐に1枚の強化アクリル板が殆ど音も立てずに切り刻まれていき、やがてカトウ殿が姿を現して天に向かい祈りを捧げていた。神様に報告する程感動してくれたみてえだ。
3人共俺の前に来て、一斉に頭を下げて礼を述べた。
「「「『ガトル』殿、この様に素晴らしい業物を製作して頂き、大変感謝する!
この様な名鍛冶師と出会えた事を、ご子息のケニー殿とアラン総帥には感謝しか無い!!」」」
と息子にまで頭を下げやがったから、
「よせやい!
俺なんて、片田舎で其処らの家庭の包丁を研いで、その日暮らししてたうだつの上がらない鍛冶職人だったのが、アラン様のお陰で工場長なんて代物になれただけでえ、感謝してくれるっていうんなら、これから色んな人々を救おうとされているアラン様と、その手伝いを命を賭けてしようとしている息子の、手助けをしてやってくんな!」
と言ってやったら、
「「「承知した!必ず果たそう!!」」」
と金打をして誓ってくれたぜ。