人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝)    作:ミスター仙人

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閑話㊵「ガトル親父の雑記」⑩(親父、最高傑作『神虎』を作るの巻)

 2月21日

 

 セリーナ殿がシャロン殿を伴い工場にやって来て、『冷艶鋸改』へのお礼と如何に活躍出来たかを熱く語ってくれて、是非双子のシャロンにも相応しい武器を製作して貰いたいとお願いして来た。

 しかし双子っていっても、こんなに背格好と云い顔立ちと云い似てるのは、珍しいなと考えながら、

 

 「・・・『冷艶鋸改』と同じモンで良いんですかい?」

 

 と聞いたら、シャロン殿は首を振り、

 

 「・・・私はセリーナと違って、あんまり人の血を見るのは苦手なの。

 出来れば殺さずに済ませたいんだけど、人間だけならそれで良いけど場合によっては魔物や魔獣と戦闘する事もあるから、それらにも対応出来る武器が欲しいわね。

 後、私は、剣術より体術もしくは格闘術が得意だから、その辺も考えた武器が望みよ!」

 

 と要望されたんで、ミツルギ殿の『豪雷』と同じガントレットを勧めたら、またも首を振られちまった。

 

 「・・・・・うーん、私もセリーナと同じく戦闘バイクで軍団の先頭を進む事になるから、一々格闘をしてられないから、なるべく一瞬で決着が着く武器が良いわね・・・」

 

 と中々注文が厳しい内容になって来やがった。

 しょうがないので、8ちゃんに纏めて貰っていた武器・武具の資料を、セリーナ殿にも手伝って貰い、3人でどんな武器・武具がその要件を満たすか、調べはじめた。

 

 1時間ばかり、武器・武具の資料とにらめっこしてたら、シャロン殿が、

 

 「・・・・・完全にこの武器では無いけど、この武器を基本に私のアイデアを加味すれば、かなり私の要望を叶える物になると思うわ!」

 

 と言って、武器・武具の資料にある一つの武器を見せてくれた。

 ”トンファー”かだが、こいつはあくまでも接近戦且つ対人戦闘向きの代物だ、あまり当初要求された内容に合って無いようだが、と疑問をぶつけてみたら、

 

 「その通りよ。

 このままだと、私の武器としては全然不十分だから、基本だけこれで根本的に大きさから見直すわ!

 先ず、本来の太さをかなり変えて持ち手の部分以外は、4倍以上にして長さも可変式にして最長はセリーナの『冷艶鋸改』と同等にして貰いたいわ!」

 

 と、とんでもねえ要求をされちまった!

 セリーナ殿の『冷艶鋸改』は見た目通りの代物で、高圧縮されたオリハルコンを鍛えに鍛えたから、重量は約50キログラム有り、普通の兵士では持つのは無理で、漸く支えられるか?って代物だ!

 この『冷艶鋸改』を片手でぶん回せるセリーナ殿が、半分化け物なだけである意味武器としては、欠陥品もいいところだ。

 なのにシャロン殿は、それとほぼ同格の代物を片腕ずつ2本持つと云うのだ、それは既に人の範疇を越えた神々の武器と呼んで良い代物だ!

 

 「・・・・・本当にそれで良いんですかい?」

 

 と確認したら、シャロン殿はにこやかな顔で、

 

 「ええ、今言った条件を満たしてくれれば、セリーナの『冷艶鋸改』と遜色ない武器になるわ!」

 

 と言ってセリーナ殿を挑発する様に、

 

 「出来上がったら、試合をしましょうよ!」

 

 と云い、セリーナ殿も、

 

 「良いわよ!

 泣いて、降参しないでよね!」

 

 と物騒な目つきで返答してやがる、なんて恐ろしい双子だろうと、背筋を凍らせながらも、凄え武器を作れる事に震えてる自分に、俺も大概な鍛冶師馬鹿だなと笑っちまった。

 

 3月3日

 

 先日の武術馬鹿達の武器開発の工程を経て、更に様々な試行錯誤を繰り替えして、コイツは出来上がった!

 今の処、俺にとっての最高傑作と言って良いコイツは、アラン様の助言と指南も盛り込んであるから、完全に俺だけの力で出来上がった訳じゃねえが、そんな事はどうでも良い位の凄え武器だぜ!

 

 早速、3輪戦闘バイク2台に乗って受け取りに来たシャロン殿とセリーナ殿は、特注の台座(普通に作業台に乗せられねえ程コイツは重い)に乗せられている俺の最高傑作を見て、眼を輝かせながら「ホオー!」とため息を洩らして見入ってくれた。

 

 「銘『神虎』・・・コイツは俺の今までの全ての技術と、アラン様の助言と指南を集約した、今現在の最高傑作でさあ、是非シャロン殿にはコイツの能力を戦場で如何なく発揮して貰いてえ!」

 

 と俺の発言が聞こえてるかどうか疑わしいくらい、俺を見向きもせずシャロン殿は特注の台座に乗せられている『神虎』へ歩み寄ると、片手に一本ずつ手に取った。

 すると雷に打たれた様に、シャロン殿が身を震わせて動かなくなり、暫くそのままでいると、シャロン殿は俺に振り返り、

 

 「・・・『ガトル』殿・・・。本当に感謝する!

 私は生まれてから、別れ別れになっていた自分の半身と、久々に巡り合った気分だ!

 存分に此の『神虎』を振り回したいので、軍事ブロック2の演習場に付いて来てくれ!」

 

 と言われたから、2人の3輪戦闘バイクの後ろを愛車の『バイソン』で追いかけて、軍事ブロック2の演習場に向かった。

 

 そこでは、新しく各軍団に配属される新兵の連中が、コリント流の剣術訓練をしていたが、俺達は少し離れた広い場所に行き、シャロン殿の演武を見る事になった。

 

 「行きます!」

 

 と掛け声をかけると、シャロン殿は『神虎』を両手に一本ずつ持ち、回転させ始めた。

 思ってた通り凄え力だ!

 双子のセリーナ殿が、あの『冷艶鋸改』を軽々とぶん回せるんだ、問題無いだろうと考えてたが、コイツは予想を越えてやがる、『神虎』はそれぞれ約50キログラム有るから、つまりシャロン殿は合計100キログラム以上をあの細い身体で振り回してるんだ。

 と考えながら見てたら、何とそのまま宙返りしたり、側転をしながら振り回してやがる!

 なんて凄え体幹だ!

 あんな重い武器を持ちながら自由自在に身体を動かせるとは、とても信じられないぜ!

 

 シャロン殿は突然ピタッと動きを止めて、少し手前に用意された人形の標的に狙いを定め、『神虎』を上段から振った!

 すると、『神虎』はその棒身を一気に3倍に伸ばし、人形の標的の両肩口にめり込む。

 そしてシャロン殿は棒身を元に戻すと、

 

 「ハッ!」

 

 と気合いを込めて『神虎』の柄の部分を前に突き出すと、握り手の部分に有るアダマンタイトが輝き、『ソニックブーム』が人形の標的に叩きつけられ、標的を粉砕しそのまま後ろの土砂も盛大に吹っ飛ばした。

 

 「うーん、まだ魔法の威力調整は上手く出来ないかな?」

 

 とシャロン殿は首を傾げたが、いつの間にか集まって見学していた教官含む新兵達は、興奮しながらパチパチと拍手してやがる。

 

 セリーナ殿が、

 

 「新兵達、訓練頑張れよ!

 正式に各軍団に配属されれば、大量生産品ながら魔法剣が支給される。

 他国では、上級騎士でも無ければ持てない代物だぞ、武器に恥じない様に己れを磨け!」

 

 と発破を掛けられ、

 

 「「「ハッ、了解であります!」」」

 

 と答えて散開して行ったが、全員顔が喜んでやがる。

 

 「どうですか、使い心地は?」

 

 とシャロン殿に声を掛けたら、

 

 「素晴らしい出来で、満足です!

 この礼は、必ずさせて頂きます!」

 

 と返答されたが、

 

 「既に、アラン様から前の3人の武器・武具分も料金を頂いてますし、新たな発注も受けていますから、気にしないで良いですよ。

 それより、近日中に出陣されると聞いてますから、どうぞご存分に『神虎』で戦果を挙げてくだせえ!」

 

 と言ったら、セリーナ殿が、

 

 「無論だ!」

 

 と相変わらず、如何にも女騎士といった感じの勇ましい、返事をしてくれた。

 この2人が両翼を固める、アラン様の軍はそりゃあ強いに決まってるわな!

 

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