人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝)    作:ミスター仙人

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5月の日記⑦(人類銀河帝国 コリント朝元年)《ザイリンク帝国併合》

 5月15日

 

 あれから、直ぐに陸上戦艦と陸上空母を帝都ザイリンクの四方に配置させ、帝都ザイリンクに戒厳令を布告して、『モーガン』殿の飛空船が戻って来た時には、ザイリンク帝国の帝都に居る兵士達は陸上戦艦と陸上空母に乗っていた帝国軍の元で武装解除された。

 此処まで簡単に帝都ザイリンクが陥落したのには、ある理由が有った。

 10年前の宮廷クーデターの際に、帝都に居住する皇族と貴族そして家臣は、ゴラムとギロンそしてアラム聖国の工作員達の手により尽く殺されており、政治を司る人間が居なくなっていたのだ。

 アラム聖国の工作員達は、そもそも目的が『パルテノン市国』のアーティファクト保管庫の有る『パルテノン神殿』への侵入だっただけで、ザイリンク帝国がどうなろうと知った事では無い。

 このボロボロの状態のザイリンク帝国を乗っ取ったのが、ゴラムとギロンな訳だが、当然此奴等に政治が出来る訳がない。

 仕方なくゴラムは、スラムでの盗賊仲間を殺してしまった貴族に成りすまさせて、体面だけを取り繕い、自身は皇宮深くに居るだけで、表には一切出ずに居て、どうしても出席しなければならない場合は、例の金ピカ鎧を着て取り繕っていたらしい。

 なので帝都に居る住民は、皇帝がゴラムという人物になった事は流石に知っているが、姿形を全然知らずそれどころか出自もスラムでの盗賊仲間以外誰も知らなかった。

 それで特に大きな不満等が出ずに居たのは、住民達にとって一番重要な税金の取り立てが10年前から、一切変わらず生活の不安定さは、帝都に限っていえば精々インフラ整備が行われなかったり、新しい道路の敷設が無かったくらいである。

 ただし其れはあくまでも帝都だけの話しであり、ザイリンク帝国の地方の荒廃は著しく、殆どの国民は従属国や周辺諸国の親戚や知り合いの所に身を寄せていた。

 こんな状況にも関わらず、ゴラムとギロンはザイリンク帝国の持つ魔道具やアーティファクトを他国に売りつけ、自分達の関心のある貴族への虐待の為に、”コロシアム”を増築して其処で行われる闘技会という名の、『ブラック・アーミー』を差し向けて捕らえてきた地方貴族の虐殺という仕打ちを頻繁に行っていた。

 この状態にも関わらず従属国や周辺国家が叛旗を翻さなかった原因は、まだまだザイリンク帝国の軍隊は強く(ゴラムとギロンは軍隊だけは懐柔していた)とてもでは無いが、対抗出来ない所為もあるが、いざ倒してもザイリンク帝国がこの10年で抱え込んだ色々な意味での負債をとても支払えそうも無かったからだ。

 だが、流石にこれ以上の朝貢は支払えないので隣国である、『パルテノン市国』と『魔法大国マージナル』に協力を仰ぎ、『ヨハネ教皇』と『モーガン』殿の合意の元で我等『人類銀河帝国』の手でゴラムとギロン達を断罪し、ザイリンク帝国はそのまま『人類銀河帝国』へ併合してしまう事にしていたそうだ。

 以上の事を『モーガン』殿は、事情を知らない自分やシュバルツ親衛隊長達に夜のミーテイング時に教えてくれた。

 しかし、こんな大国がこんな小物の手によって壟断されていたとは、情けない話だと呆れかえるばかりだ。

 

 5月20日

 

 ザイリンク帝国の従属国5カ国と、隣国である『パルテノン市国』と『魔法大国マージナル』の代表者の面々が一同に揃い、調印式が執り行われた。

 ザイリンク帝国代表として、『魔法大国マージナル』に亡命していた『ノーマ公女』と云う皇族としては傍流になるが唯一の皇家の方が最後の皇帝になり、ザイリンク帝国の解散と全ての国土と国民が『人類銀河帝国』へ併合される旨が宣言された。

 この宣言は直ちに『ヨハネ教皇』の代理人である『ペトロ枢機卿』が承認され、『魔法大国マージナル』の代表者たる『モーガン』殿、そして従属国5カ国の代表者達が署名されて、正式な公文書となり西方教会圏全ての国に公布された。

 これによりザイリンク帝国の帝都ザイリンクは『公都ザイリンク』となり、従属国5カ国の王族は『人類銀河帝国』の華族となり、王達は侯爵位を賜り以下はそれに準ずる事になる。

 こうしてザイリンク帝国とその従属国は『人類銀河帝国』に併合され、西方教会圏全土に於ける約半分の領土が『人類銀河帝国』の領土となり、人口は1億3千万となりアラム聖国を越える事となった。

 

 5月22日

 

 改めて『人類銀河帝国』の名のもとに”コロシアム”で開催する競技会を、『西方武術魔術競技大会』から名前を変えて『世界武道大会』として、第1回を6月6日に開催する事が決まり、西方教会圏全ての国に公布されて、それに参加を希望する者には渡航費と滞在費は全て『人類銀河帝国』が負担すると通達された。

 2つのバトルロイヤル(武器を使用する部門と徒手空拳の部門)を勝ち残り、決勝に進んだ2人には其々武器を使用する部門はシュバルツ殿、徒手空拳の部門はミツルギ殿と戦って貰う。

 更にその2人をも退けたならば、アラン様と対戦出来る事が通達された。

 この発表に、帝国軍人の中からも参加申し込みが殺到したので、帝国軍の中で参加する者を厳選する為に腕自慢達による大会が”コロシアム”で行われる事になった。

 随分と大きな催し物になったものだが、やはり武術にこだわりのある軍人としては、非常に興味があり楽しみな事だ。

 

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