人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝) 作:ミスター仙人
8月19日
此の日、小高い丘に作られた駐屯地の陣幕で戦後処置会議が開かれ今後の諸々の処置の決定が成された。
ファーン辺境伯と其の家臣も出席し城への補給物資の搬入や補填、籠城していた領民の街や村への帰還護衛と物資の移送が決められた。
先ず大量に捕まえた捕虜(約3万人)をどうするか?という点では幸い想定より早期に決着が着いた為3ヶ月は戦える兵站が有り、それを当座の食糧にして近隣の貴族の領地で捕虜を分散して預かる様に手配した。
潰走したセシリオ王国軍の残党が国内に潜伏しているかも知れず、その洗い出しと国境線への軍の派遣も策定され取り敢えず王都から派遣されて来た国軍の一部が国境線へ向かうことになった。
我等「空軍」は何と行っても機動力が違うので各市町村を廻り、現状の通達及びセシリオ王国軍残党や賊と化した元傭兵団を退治して廻る事が決定した。
其の夜ファーン辺境伯と其の家臣、更にブリテン伯爵とフランシス子爵それぞれの家臣が我等「紅」の駐屯地に来られた。
ファーン辺境伯は改めてアラン様とブリテン伯爵、フランシス子爵に御礼を述べられ、続いてグローリア殿にも御礼を述べられるとグローリア殿が魔道具の「翻訳機能」を使われ返答して来られたので、我等以外の方々は呆気にとられたが、会話が出来ることに感激し更に厚くお礼を述べられた。
そして今後も友誼を重ねより良い関係を構築しようと4者共に誓われ、アラン様が戦争が一段落して落ち着いたらコリント領へ来られる事を3者にお勧めしたが、ブリテン伯爵とフランシス子爵は直ぐに了承されたのだが、ファーン辺境伯は「コリント領とは距離も有るので難しい。」と言われるとグローリア殿が自分の鞍に乗られればその日の内に運べると言われ、ファーン辺境伯は呆気にとられた顔をされたが直ぐに相貌を崩し、「是非とも其の際には宜しく頼む。」と笑いながら述べられた。
皆で前日の戦闘を称え合い大いに歓談された後、コリント領での再会を約し解散となった。
8月25日
粗方の後始末を終え其々帰途に付くことになったが、迎撃軍の面々は我等に対して立場によって温度差が激しく異なる事が、その態度であからさまに判った。
共に戦ったブリテン伯爵とフランシス子爵の軍の関係者は、笑顔で談笑したり再会を誓ったりして終始和やかだが、迎撃軍司令官のロドン将軍やその関係者と宰相側の貴族は怯えを含んだ苦々しい面持ちで我等に接し、末端の兵士に至っては友軍とは思えない様子で、怯えと恐怖を感じているのか我等から顔をそらしていた。
彼等は戦後処置会議が行われた翌日には王都に向けて早々に帰還していった。
自分は此の対応の落差が、今後のベルタ王国の勢力図に一石を投じると思わざるを得なかった。
8月31日
後処理をファーン辺境伯と其の家臣に託し帰路に着いた。
ゴタニアに到着すると街の人々が待ち構えていて大歓待してくれた。
代官始め各ギルド長が出迎えてくれたが、前の戦闘で知り合いになった兵士達も多くいて、我等の口元も自然に綻んだ。
城壁側の広場に陣地を設営して食事の用意に取り掛かろうとすると、バースと云う者が協力したいという有志達を率いて来て、相当な量の料理と食材を提供し更には此の場で料理をし始めた。
驚くべき事にその料理はアラン様が作られる絶品料理とよく似ていた。
皆が勢い込んで尋ねると、何と以前アラン様がバースの宿に泊まられた際に、教えを受けたのだそうだ。
その教えの料理のお陰で大繁盛しており、是非その恩を返したいと思い我等にご賞味頂きたく参上したそうだ。
生憎アラン様と上層部の方々はタルスさん宅に呼ばれて居ないが、アラン様の許可が降りているので街人も招いて宴会が行われた。
ゴタニアのバース始め街人達は皆戦争がどの様に行われたか知りたがり、どうやって我等が勝ったかを話して聞かせると街人は興奮し喜んでくれて酒の振る舞いもあり大変盛り上がった。