人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝) 作:ミスター仙人
3月1日
あれからドップと8ちゃん更に各工場の責任者達に、アラン様からの依頼を伝えて重機の大型化に対応出来る新たな工場建設の見積もり案提出を指示した。
そして現状で余裕の有るブルドーザーやダンプカーを陸上港湾施設予定地に向かわせ、整地工事に着手させたが、『ケットシー128世』が貸与してくれた例の巨大亀が、大きな岩や丘を粗方壊してくれたから、かなり楽に整地出来たぜ。
お陰で、俺は気兼ねなく『カーゴシップ』に取り付ける、クレーンの製図と新規の大型重機の製図作業に没頭出来て大助かりだ。
3月20日
アラン様が俺達が提出した工場建設の見積もり案通りに、工場建設実行遂行する為に派遣してくれた量産型ボット200体のお陰で、新たな工場はこの短期間でアッサリと出来上がり、更に新機軸のオートメーション化で、かなりの工程が無人で出来る様になってやがる、正にアラン様様ってやつだな。
おまけに新規に入植して来た人員には、港湾施設専用の職業訓練校をあてがってもらって、かなりの人的資源を有効に使えそうだ。
3月30日
新工場のラインも無事に動き出して、いよいよ重機の組み立てが始まったが、『カーゴシップ』の基幹部分である『魔法炉』の小型化が中々上手く行って無いみてえだ。
カーラギルド長も頑張ってるみてえだが、そんなに簡単に問屋は卸さねえんだろうな。
仕方ねえから、先ずは陸上港湾施設の方に注力して、ホシやジョナサンのトレーラー野郎達への搬入搬出が便利な様に、フォークリフトの量産を先に進めて、出来上がった大型クレーンは陸上港湾施設の方に設置したら、コイツがかなり便利なもんで、物の上げ下げとコンテナの搬入搬出には無くてはならねえ代物になっちまった。
そしてそいつを一歩進めてキャタピラで動く超大型クレーン車を組み立てて、陸上港湾施設とドッグの建造に役立させたら、かなり有効だったらしく、建設スピードアップに役立った様だ。
4月21日
例のセシリオ王国の愚王ルージが、とんでもねえ事に自分の家臣である筈の大貴族数十人を虐殺しちまった。
更に、その虐殺は規模を広げてセシリオ王国首都の人民にも襲いかかり、どうやら愚王ルージは『ゾンビ』を使う事で、セシリオ王国首都は『死都』と化してしまったらしい。
何なんだろうな、このバカ王は!
自分の国民を殺しまくって、何が楽しいんだろうな、理解が全く出来ねえぜ。
アラン様始めベルタ王国上層部は、直ちにセシリオ王国国民を救援に向かうべく、軍団を差し向ける事が決定し、息子の空軍は早速急行する様だ。
セシリオ王国国民も可哀想になあ、自分達が選んだ訳でもねえとんでもない国王の所為で、殺されるなんざ聞いているだけでもやるせねえぜ。
考えてみりゃあ俺達も、勝手にスターヴェーク王国を滅ぼされた挙げ句に、故郷のルドヴィーク辺境伯領を奪われちまった。
世の中、欲深え権力者が横行し過ぎてやがるなまったく、だがようそんな馬鹿共を懲らしめてくれる方が、この世には居られるんだ、悪人共は覚悟しておけや。
そんな正義の化身の様な方の依頼である、この陸上港湾施設とドッグは必ず満足の行く出来栄えにして見せるぜ。
4月30日
漸く、『魔法炉』の小型化第一号機である試作機が出来上がり、早速新規ドームの仮称『生活ブロック2』に取り付けられて、試運転を開始した。
コイツの目玉の一つは、何と云ってもただ小さくしただけじゃなくて、出力の上げ下げの振り幅が大きくて、然もそれを使い手がかなり自由にする事が出来る点だろう。
つまり『カーゴシップ』に取り付けた場合には、スピードアップが容易で相当な速度を出せるだろう。
もう一つの目玉は、魔力を凝縮してプールする事が出来て、それを別の頑丈な容器に入れる事で魔力のカートリッジ化が独自に出来て、その容器から一気に魔力を吸い上げて出力を上げる事も出来る。
全くコイツはアラン様の要望以上の代物で、カーラギルド長の魂心の作品と言えるだろうな。
多少、俺やドップ、そしてハインツ達も協力して魔力のカートリッジ化のアイデアを出したんで、開発者に名を連ねてくれてるが、事実上はカーラギルド長始めコリント領の魔術ギルドが、徹夜で頑張った成果だぜ!
カーラギルド長の命名で『魔力凝縮炉』と名付けられ、『生活ブロック2』の必要全魔力を出力させてみたが、余裕が有りすぎてかえって、魔力が無駄になっちまった。
なので、予定では『生活ブロック2』の砂浜と大規模遊戯施設『温水プール』の辺りだけ、気温を上げて置くはずだったのに、急遽予定を変更してドーム内全てを暑くして、このドーム全部が南国の様にする事にせざるを得なくなった。
もう『生活ブロック2』では無くて、『南国リゾート』とでも改名すべきだろうな。
5月20日
『魔力凝縮炉』を基幹とした『カーゴシップ』1番艦が就役した。
諸々の失敗を重ねながらドッグから出港して、浮いたまま進む『カーゴシップ』は、建造に関わった全員の目頭を熱くさせてくれたぜ。
だけど現在アラン様とクレリア姫様は、セシリオ王国の王都で戦後処理に忙しくて、代わりに自動車椅子に乗られたベルタ王国国王アマド陛下がヴェルナー宰相以下を伴い、『カーゴシップ』就航記念式典を開催してくれて、演説までして下さった。
「此の度西方教会圏に於いて初の陸上浮遊貨物船『カーゴシップ』が就役した事を、余ベルタ王国国王アマド一世は国民全てに代わって喜びに満ちあふれている!
この『カーゴシップ』は小型ドームを、ベルタ王国の都市全てに運搬する事で、魔導列車の駅の配備とレール敷設を円滑化し、いち早い物流の発展に寄与出来ると、アラン総帥から説明を受けている。
この『カーゴシップ』建造に従事してくれた、諸君ら技術者・魔術ギルドの面々には真に頭が下がる。
きっと、後世の歴史に於いてこの素晴らしい日は、特記事項として赤文字で記されるに違いない!
皆、己の功績を存分に誇られよ!」
と俺達を褒めて下さった。
アラン様程では無いが、この御人もヴェルナー宰相他良いブレーンが居れば、名君に成れるんだろうな。
6月2日
無事『カーゴシップ』3番艦が就役して、取り敢えずの予定船数は建造したから、後はこの船から得られる、様々な情報をフィードバックして、改良した船を建造する事になる、きっと忙しくなるぜえ。