人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝)    作:ミスター仙人

16 / 352
13. 9月の日記①

9月1日

 

 以前街を解放した時にアラン様が勧めていたコリント領への旅行は、タルスさん一同とバースさん一家そして魔術師ギルドの2人(何故か旅行とは思えない程の荷物を馬車に積んでいる?)とそれ以外の商人達(商人達も荷物が多すぎる位多い)と難民、更にはタラス村の若者達と総勢100人を超える人数になったが我々「紅」にとっては護衛対象としては少ないくらいなので、特に問題もなく出発することが出来た。

 当然行軍速度は下がるので「空軍」に八面六臂の活躍が求められる。

 事前連絡の通達、「黒」の足になっての諜報活動の支援、警戒と索敵、緊急の際の手紙等の物流、等など大変では有るがやり甲斐も有るので望む処だ。

 

 9月15日

 

 ガンツに到着したが、城門の検査でゴタニアと違いよそよそしさを感じる。

 顔なじみの兵士達が、あからさまに後ろにいる役人を気にしながら対応してくるので「何かある?!」と推察出来た。

 アラン様も直ぐに気付かれて、「郊外の拓けた場所で駐屯せよ。」と命じられた。

 殆どの者が街に入れると考えていただけに不思議がっていたが、「黒」の一人が合流して我々に説明してくれた。

 どうやらガンツ伯の命令で我々「紅」とその関係者に一切の便宜を図るなとの事で、殆どの民が我々を歓待したいのに出来ず、更には物資の購入も禁止されたという。

 流石にここまで敵対感情を抱かれているとは予想を超えていたが、いずれは宰相派閥のガンツ伯とは敵対関係になるのはコリント領側にとっては想定済みの事態であり、その時期が早まったに過ぎない。

 許可を得て数人が面会者と会い、敢えて当たり障りないやり取りをした後我々はガンツを後にした。

 

 9月17日

 

 途中迄舗装の出来ている新しい道路にゴタニアからの同行者達が驚く中、「魔の大樹海」のコリント領入り口に到着した。

 出征する前はまだ着工し始めたばかりだったが、既に五割程街が出来ている。

 この街は基本的に物資集積用と物資流入管理用更には、「魔の大樹海」側に構築し始めている壁(フェンスと言って「魔の大樹海」内に魔物を封じ込める目的だそうだ)の管理、維持も担う。

 その規模と物資移動用の「レール」更に「モトローラー」に又もゴタニアからの同行者達が驚く中、トンネル前で入国審査(あまりに他の貴族領と違うので自然に商人達が言い始めたが、それが通称になった)を行い、ゴタニアからの同行者達全てにカードが渡された。

 そしてそのまま生活ブロックのドームへと向かう、途中魔術師ギルドの2人組がしつこくアラン様に質問していたが、アラン様は嫌な顔一つせずに全てに答えられその内容に魔術師ギルドの2人組は感心したり、驚愕したりしていた。

 漸く生活ブロックのゲートが開き、やっと帰れたとほっとする間もなく割れんばかりの歓声が上がる。

 驚いて周りを見回すと、何千人という領民達が手にコリント領の記章が描かれた手旗を持ち一斉に大きく振っている。中には横断幕に「戦勝おめでとうございます」や「アラン様、ありがとうございます」等の文字が書かれている。

 どうやら、2週間程前に到着した大規模移民団と元居た領民達とで、歓迎会と戦勝記念会を同時に開催しようと画策した様だ。

 皆の盛大な歓声の声を浴びながら、ゴタニアからの同行者達は入植管理官に預け後で合流することにして我等「紅」は会場の中央広場に向かった。

 中央広場には、五千人は入れる会場が設営され壇上も設けられていた。

 皆案内に従い其々の席に着き、壇上近くの貴賓席にはアラン様、クレリア様を中心に主要幹部達が座られた。

 しばらくして、貴賓席からロベルト老が壇上に向かいマイク(声を拡大音量にする魔道具)に向かってこの会の開催を宣言された上でアラン様に要望を述べられた、

 

 「アラン様始め「紅」の方々に於かれましては、戦勝おめでとうございます!(((おめでとうございます!!)))、我々領民一同は、必ず戦争に勝たれて凱旋されることを少しも疑いませんでしたが、何と13倍以上の敵に真正面から立ち向かい散々に打ちのめした上でこちらの被害はほぼ皆無との事、軍神アラミス神であろうと、ここまでの完勝は難しいのではと思わざるを得ません!流石はアラン様と「紅」であると領民一同皆感嘆しきりであります。どうかその凄まじい戦闘のご様子の一端なりとも我等にお話しいただけませんでしょうか?」

 

 アラン様は、苦笑しながらも壇上のマイクの前に立ち、その雄姿を「放送局」職員に命じられて背後に有る「モニター」に映させた上で仰られた。

 

 「皆、斯くも盛大な会を催してくれてありがとう。

 今回の戦争勝利は、確かに「紅」の奮戦も有るが此処に居る領民全員の努力による処が大きい、何故なら我が軍の代名詞「紅」の由来はこの鎧の色である。

 つまり工場で出来た合金を加工して各種鎧に仕立て直したのは男性陣の鍛冶工房であり、その連結部分の強靭な革紐や編み紐を縫ってくれたのは女性陣の縫製工房だ。

 そして皆の安全安心を確保してくれたのは警備警邏隊であり、其々の仕事を円滑に周旋したのは役人達だ。

 今はまだ収穫出来ていないが、いずれは農民達も我等の為に素晴らしい実りを見せてくれるだろう。

 つまり今回の勝利は、個々に居る全員の勝利だ、皆存分に誇ってくれ!

 それでは、その戦闘の様子を発足間もないながら頑張って記録してくれた「放送局」の努力に感謝しながら共に鑑賞しようだはないか。」

 

 と述べられたタイミングに丁度ゴタニアの面々も会に合流して来た。

 

 早速大型モニターに「ゴタニア攻防戦」から「ファーン辺境伯領での会戦」が映し出された。

 (幼い子供や女性も見る為に予め血が飛び交ったり、人が死ぬ様は編集という作業で除けている)

 初めての臨場感溢れる戦闘の様子に皆驚愕していたが、徐々に慣れ始めグローリア殿と自分達「空軍」が共に放った「ハウリングパニッシャー」が映し出された頃は歓声を上げて喜んでおり、ゴタニアの面々もモニターに驚いていたが、最後の辺りには陶酔した様な面持ちで画面に見入っていた。

 その後は無礼講で大いに飲み食いして各々の武勲を称え合ったり、新しい生活の便利さを喜び合ったりして、夜遅くまで会は続き深夜0時手前で漸く解散となった。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。