人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝)    作:ミスター仙人

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閑話㊽「ガトル親父の雑記」⑭(親父、『デコトレ』を作り隕石と出会うの巻)

 6月20日

 

 先日仲間になった『ドレイク』殿は、類まれな識見と異様なまでの執着心、そして誰よりも頑張るその熱意に、現場で作業する従業員や技術者達の心をあっと言う間に掴んじまった。

 かくいう俺も、その何かを必ず生み出そうという或る種の使命感に魅せられて、殆ど寝食を忘れて協力する事になぅたぜ。

 先ずは、『カーゴシップ』で問題になっていた、バランサーの件だ。

 此れは、船体を2つのより海上船に近づけたものにし、その2つの船体が両側で支える構造にする事で、かなり軽減されて、大きな風が吹いてきても、その空力特性で受け流す事が出来、中央のカーゴ部分には《オートジャイロバランサー》という、ドレイク殿の先進技術を取り入れる事で、殆どの揺れを相殺しちまう事が出来ちまったから解決したぜ。

 何でもジャイロバランス効果って奴は、

 

 1,外部からモーメントが加わっていないかぎり自転軸の方向を保つ性質

 

 2,自転の角運動量が大きいほど姿勢を変えにくい性質

 

 3,外部から自転軸を回すようにモーメントが加えられるとき、モーメント軸および自転軸の両方と直交する軸について振れ回り運動をする性質

 

 とか言う3大性質を積極的に活用してバランス回復させるらしいんだが、小難し過ぎるんで、要は子どもが遊ぶ独楽の原理を活用してバランスを取ると理解したぜ。

 カーゴ部分中央に8面体のアダマンタイトを置いて、そいつを独楽の様に回し続ける事でバランスを一定にする様に魔法で操作し、ついでにそのアダマンタイトも回転する事で余剰魔力を循環し、動力で有る魔力そのものをリサイクルさせるという、いわば半永久機関とでも云うべき代物だ。

 

 書いてても未だに信じられねえが、このドレイク殿はもしかすると300年といわず、5,600年は未来の技術を物にしてるんじゃねえだろうか!

 だが、この《オートジャイロバランサー》のお陰で、バランスの問題と速度の問題(あんまりスピードアップするとひっくり返っちまう)そして動力の問題を全部解決しちまった。

 なもんで『カーゴシップ』は、予定の10隻を納期を待たずに全て完成出来そうだ。

 

 6月25日

 

 一昨日俺らの故郷で有る、スターヴェーク王国を奪った憎っくきアロイス王国の馬鹿共がアラン様とクレリア姫様そしてこのベルタ王国に喧嘩を吹っ掛けて来やがった、身の程知らずにも程があるぜ。

 この知らせに資材の搬入搬出と、『カーゴシップ』の操舵手を育成してくれていた『ホシ』と『ジョナサン』の堪忍袋の緒が切れちまった!

 そりゃあそうだ、これでも俺達は今までのアロイス王国の仕打ちに対して、我慢に我慢を重ねていて、仕事に打ち込むことで誤魔化してやってたのに、何だこの言い掛かりは!

 俺もホシ達同様にブチ切れたから、ドレイク殿とドップそしてハインツ達も巻き込んで、ホシ達トレーラー野郎の乗るトレーラーを戦闘用に生まれ変わらせて、アロイス王国の軍隊に目にもの見せてやるぜ!

 軍隊の戦闘車両に装備する為に用意してあった代物を使い、車体の前方に頑丈なトゲ付きバンパーを取り付け、車体全体は軍団魔法『オーディン』と同じく風の魔法で保護出来る様にして、音響破壊魔法『サウンド・ソニック』をクラクションと共に敵に喰らわせる事が出来る様に改装してやる事にし、更にホシとジョナサンの要望通り、車体全体に様々な魔力光を放てる様にデコレーションする事にした。

 そう、名付けてこの戦闘トレーラーは、デコレーショントレーラー略して『デコトレ』だ!

 早速ロベルト老に、俺等とホシ達トレーラー野郎の嘆願書を持っていき、戦場へ行く許可を出して貰った。

 申し訳ねえがロベルト老には、あくまでもトレーラーが戦闘用の資材を運ぶと説明して許可を貰っていて、一つもその戦闘用の資材を装備して行く事は書いちゃ居ねえんだけどな。

 ロベルト老を騙す様で、気が咎めるが、事態は一刻を争うんでお叱りは後で頂くぜ。

 昨日から、徹夜で作業員と技術者の総動員で、『デコトレ』にトレーラーを改装し始め、

 改装の終わった『デコトレ』は、ホシ達トレーラー野郎が次々にアロイス王国との国境線に向かい出発して行く。

 計200台の『デコトレ』と400人のトレーラー野郎達が、調子に乗ったアロイス王国の馬鹿軍隊共に、正義の鉄槌を下してやるぜ!

 

 7月2日

 

 昨日、俺達が改装した200台の『デコトレ』と400人のトレーラー野郎達が、アロイス王国の馬鹿軍隊共に目にもの見せてくれた様だ。

 俺達も徹夜で作業した甲斐が有ったてーもんだ。

 実際被害も軽微で、数人が怪我したくらいで、『デコトレ』もトゲ付きバンパーと車体は歪み捲くってるが、運送には問題無いから、このままアラン様と空軍に随伴して物資や戦争捕虜の輸送を請け負うそうだ。

 ロベルト老も、アラン様から事情を聞かされて、驚くやら呆れるやらされていたが、俺達の熱い故郷奪還の思いを汲んでくれて、お咎めのお叱りは無かったが、その代わりに自分も同行したかったと、とんでもねえ愚痴を聞かされたぜ。

 

 7月8日

 

 アラン様から直々に依頼されて、何台かの『デコトレ』が荷台にいっぱいの鉱物を載せて、コリント領に帰って来た。

 トレーラー野郎共が云うには、何でもアラン様のとてつもねえ、戦術級魔法『メテオ・ストライク』で天空から隕石を落下させる召喚魔法が行われ、それでアロイス王国の国境要塞は吹っ飛んじまったそうで、その時に召喚した隕石を持ち帰ったそうだ。

 隕石とはまた珍しい物を持ってきたもんだぜ、鍛冶職人仲間でも隕鉄やその他の珍しい鉱物を含む隕石は、興味深い代物だ。

 そんな中、アラン様の手紙を食い入る様に読んでいた、ドレイク殿が素っ頓狂な叫び声を上げて、『デコトレ』の荷台に行き、扉を開けて隕石を確認して、更に奇声を上げやがった。

 驚いて悶絶していたドレイク殿を、起こしてやり回復ドリンクを飲ませると、ドレイク殿はガバっと起き上がって俺の両肩を掴んで、

 

 「ガトル殿、8ちゃん他ボット達を呼んで下さい!」

 

 と目を血走らせながら頼むんで、俺は息を飲みながらも要求通りに8ちゃん他ボット達を集合させた。

 そして8ちゃん他ボット達が、詳しく隕石を調べて俺とドレイク殿に報告してくれた。

 

 「ドレイクドノノイワレルトオリ、コレラノコウブツハチジョウデハテニハイラナイシュルイノ、レアメタルノカタマリデ、コレラヲツカエバドレイクドノノテイショウスル、シュウセキカイロヲサクセイデキマス」

 

 と教えてくれたが、日頃使用しているレアメタルと何が違うのか、俺にはサッパリ判らねえ。

 

 ドレイク殿が云うには、この鉱物は無重力の状態で均等に全ての方向から、圧縮をしなければ決して出来ない代物で、此れを使えばドレイク殿が夢見る理想の戦闘艦のメインブレインが開発出来るそうだ。

 メインブレインが何の事か、俺にはサッパリ判らねえが、このドレイク殿がここまで喜ぶんだから、凄え物なんだろうな。

 

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