人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝) 作:ミスター仙人
8月15日
例の隕石から得られた鉱物から、ドレイク殿が望む集積回路の内、メモリーバンクと魔導線を用いたケーブルは比較的早く作成出来たが、中央演算処理装置とシナプス回路が難題だった、8ちゃん他ボット達50台と共に試行錯誤しまくり、漸く納得の行く物が出来たんだが、コイツ等を載せての運用試験を重ねなくちゃ行けねえから、今アラン様とクレリア姫様が激闘し続けている、俺の故郷のルドヴィークでの戦いには間に合わねえ。
まあ、たかがアロイス王国の馬鹿軍隊なんぞ、『デコトレ』にやられ放題なんだからもうすぐに決着が着くだろうぜ。
それよりも問題なのは、ベルタ王国内の治安面だ。
『カーゴシップ』で各大都市にドームを設置して行ってるんだが、先の内乱で蹴散らした反乱軍の落ち武者や、野盗更には元貴族の私兵共が徒党を組んで、『カーゴシップ』が去った後の都市を襲って被害が出てるらしい。
全くろくでもねえ奴等だぜ。
そう云う事情も有って、ハインツ達の作る戦闘バイクを各都市の警備部隊に配備を進めてるんだが、整備や補給の関係で、上手く運用出来ねえ様だ。
つまり一刻も早く、整備と補給をこなす移動出来る拠点を、『カーゴシップ』に随伴させて、そのままその都市の治安を維持する警備部隊の拠点になって貰わなければならねえ訳だ。
ドレイク殿と俺達は、気合を入れ直して頑張るぜ!
9月3日
今朝一番のニュースで、アロイス王国がアラン様とクレリア姫様の手で倒された事が放送された。
久し振りに家族とフードコートで朝飯を食べてたから、周りのスターヴェーク王国出身者達と一緒に大歓声を上げて、家族と抱き合って喜んだ。
あのスターヴェーク王国王都が陥落してから3年か・・・・・・、長かったか、短かったんだか、判らねえが、其れまでの変化のねえ、平穏な日常が激変して、波乱万丈の人生になっちまったのは間違いのねえ事実だ。
だが、アラン様とクレリア姫様が俺等を導いてくれる限り、あんな惨めな想いを繰り返す事は、絶対に来ねえと断言出来るんだから、少なくとも生き残ったスターヴェーク王国の国民はこれからは幸せになるだろうぜ。
9月20日
漸く、ドレイク殿の建造した戦闘艦の試作艦が出来上がったぜ!
全長40メートルの警備艦で、魔導砲4門と各種のセンサーが付いて居て、其処らの1000人規模の軍隊程度なら蹴散らせる代物だ。
スピードも時速100キロメートルは出せるから、其処らの騎馬なら簡単に追い抜けるから、先ず逃走される心配はねえ。
船体後部から、戦闘バイクの出し入れが出来て、整備と補給は船体内部で行えるから、そのまま都市での軍事拠点となれるだろう。
10月20日
いよいよ、ドレイク殿の夢描いてた、ワイバーンやドラゴンを搭載して、空から攻撃運用出来る戦闘艦『陸上空母』の建造に取り掛かれる体制が出来上がったぜ。
ドックも更に拡張してるから、同時に3隻建造することになったんだが、弟子の1人がとんでもねえ提案をしてきやがった。
『ハインリヒ』と云うやつで、ハインツと一緒に戦闘バイクを作っていた仲間なんだが、例のドリルバイクや、《オートジャイロバランサー》を人一倍研究し、若い技術者の中でも飛び抜けた奴なんだが、提案して来た内容がとんでも無かった。
何と空を飛ぶ魔道具を作りてえと言ってきやがったんだ。
然もただ飛ぶだけじゃなくて、人を載せて飛び事を目的とするんだと!
この提案に意外な事に、8ちゃんが大賛成して一緒になって製図と計画書まで持ってきやがった。
ドレイク殿と俺がチェックしても、良く出来てるし論理破綻してないから、恐らく浮く事は出来るだろうな。
早速試作機を作って見ろと促すと、「ハイッ!」と嬉しそうに答えたんで、期待出来そうだ。
10月23日
僅か3日で、ハインリヒは全長2メートルの試作機を作って来やがった。
流石に1人しか乗れねえが、先ずは浮く事と前後に動かす事が出来るかが問題だ。
するとアッサリとハインリヒは、地上3メートルの高さに浮かばせると、前後に問題無く動かして見せた。
まあこのくらいは、例のホバークラフトタイプの戦闘バイクのノウハウが有るから、特に驚かねえが問題は高度がどこまで取れるかだ。
ハインリヒは、空軍全員が装備しているパラシュートの入った、リュックを背負い込んでいるから、かなりの高度で落下しても大丈夫だから、一気に50メートルまで高度を上げて、結構なスピードで前進と後進をしてみせやがった。
よく考えてみると、もしかしてハインリヒは、ドラゴンやワイバーンの力を借りずに、純粋に人が魔道具のみで空を飛んでいる初の人間なのかも知れないなと、後で気づいちまった。
10月27日
『陸上空母』の建造を推進しながら、ドレイク殿と俺そして主役のハインリヒは、試作機をよりリファインして、2人乗りを基本にして全長を4メートルにして、更に安定性を図る為に後部ローター部分の連動性を向上させた。
どうやら現在では、これ以上のレベルは無理と云う処まで突き詰めた、設計図を書き上げて、8ちゃん達ボットと一緒に1号機の製作に入った。
11月3日
先日コリント領に帰還されたアラン様とクレリア姫様そしてコリント領上層部、更についでに来た息子が、完成した1号機の試験飛行を観覧して下さった。
テスト飛行を予定通り終え、降りてきたハインリヒの手を取り、
「素晴らしい!
とうとう君等は、人類の技術だけで空を飛んで見せたのだよ。
きっとこの日は、歴史の上でも特筆される日になるだろう!
是非、この空飛ぶ魔道具の名前を教えてくれないか?」
とアラン様に聞かれたから、予めハインリヒと8ちゃんが暫定的に呼んでいた、『ヘリコプター』という名称を教えて差し上げると、
「なんだか、以前から知っていた様に、しっくりと行く名前ね。
アラン、私はこの名前が良いと思うわ」
とクレリア姫様が仰られたので、アラン様始め上層部全員が賛成され、そのまま『ヘリコプター』という名称が正式名称になった。