人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝) 作:ミスター仙人
本編はいよいよ対スラブ連邦戦となります、昨年の書き始めた頃はこんな世界情勢になるとは想像しておりませんでしたが、二次小説の中とは云え、私なりの決着を下したいと思いますので、お付き合い下さい。
8月1日
『ゼレンスク』と云う男が居る。
年齢は35歳で、元は喜劇俳優(コメディアン)だった。
クライナ公国で地方都市をドサ廻りする興行一座に所属していて、喜劇俳優だけでなく台本書きや芸人更には社会風刺の絵本作家等もこなしていた。
スラブ連邦がクライナ公国を蚕食して行く中、クライナ公国の人々を勇気付ける為に、敢えて愉快な喜劇を興行する事で、人々に笑いを取り戻させて明日への活力を蘇らせていたのだ。
しかし、いよいよスラブ連邦の魔の手はクライナ公国の首都に迫り、クライナ公国公王自らが降伏する事で人民の命を救おうと、スラブ連邦軍に投降したのだが、奴等とはそもそも意思の疎通が出来ず、全くの無駄に終わるどころか、逆に公王自身が怪物にされてしまい、MMで出来た疑似兵士や疑似魔獣の軍団と共に、首都キエフへ襲いかかり、首都キエフは3日後に陥落し、王族全ては殺されてしまった。
その時ゼレンスクは、偶々首都キエフで興行をして居たのだが、その攻防戦に巻き込まれて、興行一座の面々と彼の家族全てを殺されてしまった。
ゼレンスク殿は、この時より復讐の為に立ち上がった!
首都キエフから脱出する人々を連れて、遥か西に有るマジノ線まで避難させると、彼とその支持者達はクライナ公国で掃討戦を繰り返すスラブ連邦軍に対して、ゲリラ戦を挑み、首都キエフの時と同様に各都市の避難民をマジノ線まで避難させると云う行動を、実に20回以上を繰り返している。
この男の元には、北方で活躍していた冒険者達や元ルーシア正教の司教、元都市国家の軍隊に居た軍人達等凡そ1万人が集っていて、かなりの被害をスラブ連邦軍に与えているそうだ。
以前、我等帝国軍がマジノ線に行った際に、このゼレンスク殿と云う男の話しは聞いていたが、タイミングが合わなかったので出会えなかったが、その活動内容に感銘を受けたアラン様が、小型の『ヴァルキリー・ジャベリン』を放てるバズーカ砲100丁を始めとする様々な武器供与、そしてマジノ・ドームへの無制限の避難民受け入れ等を、マジノ線に常駐されているノルデン諸国連合軍のレリコフ元帥とその幕僚達に頼まれていた。
本当は前の戦いの時、アラン様もゼレンスク殿と共にクライナ公国を救いたかったのだろうが、あの時はあくまでもノルデン諸国連合のマジノ線への救援依頼で有り、スラブ連邦へ侵攻出来る大義名分は無かったから、あれ以上の攻撃は出来なかった。
だが、その為にこそアラン様は、遠く『魔法大国マージナル』に避難されていた王女アナスタシア様から、正式にルーシア王国の奪還の依頼を受け、西方教会圏全ての国からの承認を貰い、堂々たる大義名分を得て今回のスラブ連邦との大戦に突入される。
然も王族でこそ無いが、ゼレンスク殿達スラブ連邦への反乱軍は、我等帝国との同盟を正式に取り交わしているから、その救援要請に従い行動する事になる。
我等帝国軍は、ゼレンスク殿の救援依頼を皮切りとして、持てる軍事力の全てを使ってでも、北方の人々を苦しませ続ける、スラブ連邦を完膚無きまで叩き潰すべく行動を開始した。
8月2日
再編された帝国軍は現在3方向から、クライナ公国を救援に向かっている。
既にマジノ線では、魔導列車でマジノドームに送り込んで居る帝都中央軍15万と、親衛隊長シュバルツ殿、ミツルギ殿を中心に、新たに親衛隊に加わった世界武道大会参加者20名と拳王ダルマそして剣王カイエンを含む特別陸戦隊が、ゼレンスク殿を救うべく、クライナ公国西端の都市『リビン』に向かい軍用トレーラーと軍用車両で、進軍していて、マジノ線のレリコフ元帥との連携の元、マジノ線までの避難民を安全に通す人道回廊を構築していっている。
その軍を指揮する為に軍務大臣たるダルシム中将が、帝都の守りをヘルマン少将に任せて、陸上重巡洋艦『バーミンガム』に乗り込んで、陸上駆逐艦3隻を率いて現在マジノ線に向かっている。
そして中央軍を側面支援する為に、東方軍管区からの援軍であるカイン少佐を中心とした重装機動軍を加えた、高機動軍と重機動軍をセリーナ、シャロン両准将が、陸上巡洋艦『ドレッドノート』と『ジャンヌ・ダルク』の2隻を中心にして陸上フリゲート艦4隻を伴い編成した遊撃軍が、クライナ公国の重要拠点である『ガデッサ』に向かっている。
最後にアラン様の乗る総旗艦『ビスマルク』を中心として、自分の乗る新造陸上空母『グラーフ・ツェッペリン』と陸上空母3隻(従来のアイン、ツヴァイ、ドライ)とで編成された軍は、一路ノルデン諸国連合に向かい、約束通りに到着している海洋大国デグリート王国の一艦隊と合流するべく北上している。
8月5日
セリーナ、シャロン両准将が率いる高機動軍と重機動軍が、クライナ公国の重要拠点である『ガデッサ』に到着、そのまま北上してクライナ公国の中心に有る大都市『エリコフ』に向かった。
そこには未だ避難出来ないでいる住民100万人と、その都市を包囲しているスラブ連邦軍20万が存在している。
この包囲しているスラブ連邦軍を殲滅し、住民100万人をクライナ公国西端の都市『リビン』まで無事に輸送するのが、セリーナ、シャロン両准将に求められている。
その状況は、戦闘ヘリコプターを改良して無人になったドローンが、逐一ライブで帝都の中央情報局に送られ、帝国軍ではそのまま情報共有が行われ、一般市民や他国には残酷なシーンを除いた動画をモニターで流している。
そんなニュース動画でも、一般市民達にはとても痛ましい事で有るらしく、帝国のみならず西方教会圏の国民達は、今現在行われているスラブ連邦軍の悍ましい、クライナ公国民に繰り返される蛮行行為に対して嘆き悲しみ、そのスラブ連邦軍に対して敢然と立ち向かおうとしている帝国軍へ、称賛の声が上がっていると、中央情報局のエルヴィン局長からアラン様に報告が上がっているそうだ。
本文を読んでくれれば判りますが、閑話で出て来た諸々の出来事と技術革新は全て本編にリンクしていて、これからも一見全然関係無い話に見えるかも知れませんが、後に意味が判る事になると思います。
どうぞ長い話ですが、お付き合い頂ける事を、宜しくお願いします。