人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝) 作:ミスター仙人
8月17日(後編)
神鎧『ジークフリート』を纏って正面に立つアラン様に対して、ダゴンは、
「Kbクdbcbァアンシd!」
と叫び、其れに合わせて身体の表面を覆う鱗を逆立てたと思うと、その逆立った鱗が我等帝国軍艦隊に向かって射出された!
「・・・集束・・・!」
とアラン様が、呟かれながら左手を掲げると、帝国軍艦隊に向かって射出された鱗は、その掲げた左手の先に全て集束し、巨大な塊と化した。
その巨大な塊をアラン様は、ダゴンに向けて指で弾く。
その凄まじい勢いの付いた巨大な塊は、今までどの様な攻撃も無効にしていたダゴンの顔面を直撃し、全長5キロメートルに及ぶダゴンの身体を仰向けに仰け反らせた。
「グツィンcbヂs!」
と吠えながら立ち上がったダゴンは、今度はその大きな口から膨大な量の水流を吐き出した!
「ディストーション・バリアー(空間歪曲障壁)」
とアラン様が唱えると、高さ3キロメートル、横幅6キロメートルに及ぶ歪んだバリアーがアラン様の前方に現れ、見事にダゴンの水流攻撃を完璧に防ぐ。
暫くの間ダゴンは水流を吐き続けたが、無駄と悟るとズンズンとアラン様に近付き、水掻きの付いたその大きな手でアラン様に殴りかかった!
だが、アラン様が展開されている「ディストーション・バリアー(空間歪曲障壁)」によって、その攻撃はアラン様に届かない。
何度かのダゴンによる殴打を全て「ディストーション・バリアー(空間歪曲障壁)」で防ぎ切ると、ダゴンはタジタジといった様子で、後退した。
するとアラン様はバリアーを解除し、殴りかかていた両腕に対し攻撃した。
「次元斬」
そう言われると、アラン様は手刀の形で片手を二閃させた。
「ブエヴdbgvソ!!」
悲鳴を上げながらダゴンは、その二閃によって切り落とされた両腕を海に落とし、ひたすら苦悶し始めた。
「・・・はーっ、この程度か・・・」
アラン様は明らかに興味が失せた様に溜息をつき、手招きされてアトラス殿とグローリア殿を呼び寄せると、
「お前達、これから実戦訓練をさせてやるから、全力でダゴンに攻撃せよ!
良いか、これは何れ戦う事になる大いなる敵『古きものども』と、その尖兵で有る虫達との長い戦いの序章に過ぎない!
あと、お前達の攻撃がダゴンとハイドラに当たって、ダメージを与えられる様に此の空間に於ける、奴等の異界との繋がりを、次元断層によって断つから、安心して全力で対処するように!」
と2頭に命令を下し、
「「了解しました!」」
と2頭は、ドラゴンの頭を深く垂れて命令を受諾し、ダゴンへの攻撃を開始した。
「『海竜(リヴァイアサン)モード』海上魔法の二、『水柱』!」
とアトラス殿が叫ぶと、巨大な水柱がアトラス殿の周りに5本現れ、その先端はまるでドリルの様な形状になった。
「貫け!」
とアトラス殿が叫ぶと、水柱はその先端を向けてダゴンの両手足の付け根と首目掛けて貫いた。
「ガガgンシブs!」
と更に苦悶の声をダゴンは上げたが、当然水柱に貫かれたままなので、身動きが取れないままだ。
「『機龍(ドラグーン)モード』殲滅魔法準備!」
とグローリア殿は叫び、例の避雷針パーツ3個を、上空に射出した。
たちまち上空に雷雲が立ち込めて来て、雷が避雷針パーツ3個に吸い込まれる様に集まっていく。
その間もアトラス殿とグローリア殿は、両肩に装備している『フォノンメーザー』とドラゴンブレスを、絶え間なく撃ち続ける。
漸く雷が避雷針パーツに充填されると、グローリア殿専用の『グングニルの槍』をグローリア殿は手に持ち、
「第一段階『ゼウス(雷神)の裁き』!!」
と叫ばれ、グローリア殿は『グングニルの槍』をダゴンの頭に投擲して、見事ダゴンの左目に突き刺さった。
「スbcビs!」
とダゴンは呻く、其処へ『グングニルの槍』に向けてアトラス殿とグローリア殿は、『インドラの矢』を全力で多重展開し、『グングニルの槍』に向けて放った!
「カッ!」
その瞬間『インドラの矢』特有の現象で、世界が白く染め上げられ、続いて振動を伴った轟音が周囲一帯を包み込み、静寂が訪れた。
だがダゴンは、水柱に貫かれたまま耐えている。
「第二段階『ウラヌス(天空神)の怒り』!!!」
とグローリア殿が叫ぶと、上空に有る避雷針パーツ3個から充分過ぎる程集まった雷が、百雷となって突き刺さったままの『グングニルの槍』に降り注いだ!
「ゴオオオオオオオオオオオオオオオオーーーーーーーーーーーーーーンンン!!!!!!」
と云う音と共に衝撃波が起こるが、前回と違い強力になった帝国軍の『バリアー』は見事に、その衝撃波を防ぎきった。
この攻撃で流石に水柱は蒸発してしまったが、ダゴンはその場で焼け焦げているが、ピクピクと蠢いている。
《『テュポン』よりタフだな》
と思っていると、アラン様がダゴンの身体の上に降りられると、
「ブラックホール(暗黒孔)」
と唱えた。
するとアラン様の上空に、非常に大きく真っ黒な空間に生じた穴が、現出した。
その穴に向かいダゴンは、上空に引き寄せられ、その空間に生じた穴にまるで落ちるように吸い込まれていった。
アラン様にとっては、何時でも今の様にダゴンは始末出来たのだなと思い、もう一方の陸上に居る『ハイドラ』に目を向けると。
アトラス殿とグローリア殿以外の帝国軍の総攻撃で、かなりの頭を潰されながら辛うじて灰色の原形質状の流動体を保つ、『ハイドラ』の姿が有った。
まあ、アラン様のお陰で全ての『ハイドラ』への攻撃は届き、艦砲始め、帝国軍の誇る超絶攻撃は、『ハイドラ』へ深刻なダメージを与えていた。
やがて、ハイドラを構成していたMMは体型を維持出来ずに崩壊し、軍港にうず高く積み上がった。
其処にアラン様は、ダゴンの時と同様にブラックホール(暗黒孔)を使用し、大きく真っ黒な空間に生じた穴にハイドラだったMMを落とした。
此れでハイドラは、復活する事が出来なくなった。
漸く首都キエフ軍港での異界の存在との戦いは終わったが、アラン様の言われた『古きものども』との戦いは始まったばかりだ。
恐らくはラスプーチンも、何らかの形で『古きものども』と関わっているに違い無い事は、今回の事で確定したと言って良い。
これからの対スラブ連邦戦争は、異界の侵略者との戦いで有る事を、我等帝国軍全員が肝に銘じた。