人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝) 作:ミスター仙人
8月29日
早朝の朝もやの中、先ずは至近距離といって良い、クリーミー半島に駐屯していた疑似兵士達兵力30万がガデッサの平原に現れた。
そのまま、完全に布陣を整えている帝国軍目掛け突撃して来た。
以前から思っていたことだが、スラブ連邦軍とは基本的な戦術等を一切取らない。
まあ、まともな人間の集団では無いから、補給等は必要無いのかも知れないが、戦略と戦術を駆使しなければ、如何に大軍で強大でも我等帝国軍には勝てない。
しかし、流石に多少は知恵が有ったらしく、帝国軍艦隊の射程距離外で疑似兵士達はピタリと動きを止め、またも疑似兵士の形であったMMが集合し始め、巨大な球体となりゆっくりと動き出したが、此方に向かって来ずに射程距離外で回転しながら横に動いている。
《何がしたいのだ?》
と帝国軍人の全てが、頭の上に?マークを浮かべていたが、やがて回転を止めた巨大な球体の中央に巨大な単眼が目を開いた!
そしてその『大怪球』は、その巨大な単眼の視線を帝国軍中央に据えた。
するとその単眼から、強力なビームが放出された。
だが最初から、ある程度予想している我等帝国軍は、全軍を覆う様にバリアーを3重に掛けてあるので、問題無く1重目のバリアーで軽くその攻撃を弾いた。
3回ビームが弾かれて、どうやら近づかなければビーム攻撃は効かないと判断したらしく、またもゆっくりと此方の布陣に近づいて来た。
当然射程距離に入ってきた『大怪球』に、帝国軍艦隊の魔法砲撃が雨あられの様に降り注ぐが、まるでガスの様な身体構造らしく、あまり効果が無いようだ。
直ぐに魔法砲撃の種類を、炎系から光系にして、再度、帝国軍艦隊の一斉射を始めると、此れは効果が有ったらしく、『大怪球』はまたも射程距離外に退き、しきりと牽制なのかビームを帝国軍の布陣場所にランダムでビーム攻撃を加えてくる。
暫くの膠着状態が双方に訪れていると、やがて『緑海』をスラブ連邦本土側から、海上ルートでやって来た、インスマウス人が主力の兵力70万が、ガデッサの南部に侵攻して来た。
直ちに後方にて待機していた、ワイバーン部隊を出撃させ、ビーム攻撃の届かない高空に待機させた。
インスマウス人達は、『大怪球』に近づくとMM状態にまたも戻り、『大怪球』に統合されると、『大怪球』の表面に黒い靄が出て来て、更に黒い触手が生えている。
何故かその変化した『大怪球』の姿に、不気味さを感じていると、ヘルメットに映る敵という表記に(バックベアード)という名前が追加された。
《バックベアードか、中々強そうだな》
ととやや悠長な感想を思いながら、高空にいるワイバーン部隊から、光系の魔法を充填させた、魔法爆雷をバックベアードに向けて降らせて行く。
今回の戦闘は、極力ドラゴン部隊を使わずに、帝国軍の地上部隊での実戦訓練も兼ねている。
でないと、今後複数の強敵が出て来た場合に、相応の対応力を身に付けさせなければならないからだ。
どうやらバックベアードには、バリアー能力が無いらしくかなりのダメージを、、光系の魔法を充填させた魔法爆雷によって被っていた。
そんな中、敵の最大戦力で有る、クライナ公国東部に駐屯していた、タンクと呼ばれる疑似魔獣や帝国軍艦隊にも似た、大型疑似魔獣を大量に抱えた、恐らくはスラブ連邦軍主力の兵力150万が、到着した。
此れでクライナ公国に巣食っているスラブ連邦軍と云う害虫が、このガデッサに全て集結した事になる。
絶対にこの害虫共は、このガデッサの地で害虫駆除してやる!
陸上巡洋艦『ドレッドノート』『ジャンヌ・ダルク』に乗るセリーナ、シャロン両准将率いる、高機動軍と重機動軍が、スラブ連邦軍に対する遊撃戦を展開する為に、帝国軍の布陣から外縁を通る様に出撃した。
それに続いて陸上フリゲート艦が、バリアーを展開して後方を付いて行く。
その高機動軍と重機動軍を支援する為に、残った総旗艦『ビスマルク』と陸上重巡洋艦『バーミンガム』は、主砲での遠距離魔法攻撃を、バックベアードと新しくやって来たスラブ連邦軍主力に加えたので、敵も高機動軍と重機動軍に対して攻撃出来ずにいる。
敵主力からも、帝国軍艦隊にも似た大型疑似魔獣が、意外なスピードで戦場に進み出た。
するとその陸上戦艦にも似た身体から、かなりの大きさを持つ円筒形の突起物が生えている。
《何だろう?》
と考えて居る処に、突然轟音を響かせながら円筒形の突起物は、後ろから火を吹きながら高空に打ち上がり、山なりとなって残った総旗艦『ビスマルク』と陸上重巡洋艦『バーミンガム』を目指し、飛んでくる。
やはり此れにも、直ちに名称が変更されて、『ミサイル』となっていた。
その『ミサイル』は、大凡60本で帝国軍本営に向け、現在爆進中だ。
「迎撃用パルス砲と陸上駆逐艦の主砲は『ミサイル』に対してマルチロックし、迎撃せよ!」
とアラン様は指示され、その命令通りに『ミサイル』はものの見事に迎撃された。
次のタイミングで一斉に、艦砲と魔法爆雷の複合攻撃がスラブ連邦軍主力全体に襲いかかり、黒煙で戦場が覆われて視界が遮られたが、そんな中高機動軍と重機動軍は敵に一気に突っ込み、戦闘バイクも降ろさずにタンクと呼ばれる疑似魔獣等に、艦隊の艦砲だけでドンドン殲滅して行く。
粗方の敵を殲滅する事に成功したが、案の定疑似魔獣達は元のMMに戻り、バックベアードと合流すると、今回はどうやら強力なバリアーを得た様で、殆どの帝国軍の攻撃を跳ね返す。
此処でアラン様は、
「・・・此れより、『カイザー砲』でバックベアードを粉砕する!
攻撃範囲から全ての部隊は、直ちに退去せよ!」
と命令され、帝国軍は、総旗艦『ビスマルク』とバックベアードの向かい合う進路上から去り、周辺の敵の殲滅を徹底している。
やがて龍脈からの十分なエネルギー充填を終えて、総旗艦『ビスマルク』の先端に有る、超巨大なアダマンタイト製のドリルから尋常でないサンダー系の魔法が、凄まじいレベルで練り上げられている。
「全軍サングラス着用もしくは目を伏せよ!
カウントダウン開始! 4・・・3・・・2・・・1・・・0、『カイザー砲』発射!!」
この瞬間自分は例のヘルメットが、バイザーとレシーバーが自動で降りて、全く聞こえない中、映像は薄暗く見えていたが、その極太のビームがバリアーを展開していたバックベアードを、バリアーごと消し飛ばして行くのが、現実感の無い中見えていた。
なんとも凄まじい威力だ、結局バックベアード含む敵の残りは、事実上『カイザー砲』一発で方が付いた。
然も、見た限りでは敵のMMの残滓すら残っていない様だ。
そしてこの時点で、クライナ公国に残っていたスラブ連邦軍は消滅した。