人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝) 作:ミスター仙人
9月11日
昨日の『地虫(アースワーム)』との我々の戦いを見た自警団の連中の証言と、実際に死んでいる『地虫(アースワーム)』を確認し、『マリア』殿は、
「・・・すみませんでした、どうしてもスラブ連邦軍の強さを身に沁みて知っていたので、信じられ無かった面があり・・・。
しかし、今は決心しました。
どうか助けて下さい!そして『アナスタシア姫』様に会わせてくれないでしょうか?」
と頼まれたので、
「勿論です!
『アナスタシア姫』様は、我々人類銀河帝国の首都で保護していますし、貴方方の事は昨日の時点で連絡しております。
『アナスタシア姫』様は、貴方方の一刻も早いルーシア王国からの脱出を望んでいます、その為に帝国は全力で対処しますのでご安心下さい」
と返答すると、かなりホッとした様子でいたが、マリア殿は座っていた椅子から立ち上がろうとしたが、そのままヘナヘナと地面に腰を落としてしまったので、驚いてしまったが隣に座られていた警備員の女性に肩を支えられて立ち上がると、
「・・・すいません情けない姿を見せて、実は必死に頑張っていましたが、漸く肩の荷が下りると思ったら、一気に力が抜けてしまいまして・・・」
と話てくれた。
マリア殿が退出した後、先程マリア殿に肩を貸しておられた警備員の女性が教えてくれた。
元々、このルーシア大空洞の避難民を統率していたのは、マリア殿の旦那さんで彼女はその補助をしていたそうだ、だが今から1年程前に旦那さんは、スラブ連邦軍の探索部隊がこのルーシア大空洞が探査されそうになった際に、わざとここから離れた場所で陽動する事により、ルーシア大空洞への探査は誤魔化す事が出来たそうだが、旦那さんはスラブ連邦軍の探索部隊に捕らわれてしまい、旦那さんの代理として今日まで気を張って頑張っていたそうだ。
《成る程、どうして普通な主婦の様な女性が、代表なのか意味が判らなかったが合点がいった》
と納得行った。
9月12日
昨日にアラン様に報告をして、状況を確認すると、とんでも無い事態を教えられた。
なんと、『地虫(アースワーム)』の大群がこのルーシア大空洞目指してやって来ているのが、高性能ドローンのスペクトル分析と音響分析により判明したそうだ。
他にも、スラブ連邦にも大きな動きが有り、何でもスラブ連邦を構成する各国から、巨大な存在がスラブ連邦の首都『エデン』と思われる場所に向けて動き出しているそうだ。
然もそいつ等の大きさは、以前対戦した『テュポン』『ダゴン』に匹敵し、その数は17体に上るそうだ。
つまり、スラブ連邦の首都『エデン』の攻防戦は、恐らく『テュポン』『ダゴン』級の強敵17体との対戦になる訳だ。
正直この数は、以前帝国軍が想定していた敵戦力の最大数になってしまった。
この数を倒すには、派遣している帝国軍の総力でやっと倒せるか?と云う程の戦力だ。
だが、今はこのルーシア大空洞からの3千人以上の避難民を脱出させる事に専念しなければならない。
どうしてもこのルーシア大空洞の有る、ルーシア王国首都『サンクトペテルブルク』には、起伏の関係で付近にしか近づけない帝国軍艦隊は、ギリギリまでの処で停泊し、脱出応援部隊のワイバーン部隊を派遣してくれた。
粛々と、ルーシア大空洞から避難民達が出入口を出て、空中や地上に展開し『地虫(アースワーム)』とスラブ連邦軍に警戒しているワイバーン部隊に、度肝を抜かれながら次々と軍用トレーラーに乗せられ、ピストン輸送で帝国軍艦隊に回収されていったが、後もう少しで回収作業が終わるといった段階で、とうとう『地虫(アースワーム)』の大群がやって来てしまった。
だが其れは些か遅かった。
なんといっても既に、自分が鍛え上げた空軍のワイバーン全部隊が全力展開しているのだ。
たかが大型魔獣に過ぎない『地虫(アースワーム)』如きでは、敵たり得ない。
案の定、『地虫(アースワーム)』達は、喜び勇んでルーシア大空洞に突入したが、目的だった人間が一人も残っていなくて、その残滓を辿り地表に踊り出たは良いものの、地表に出た瞬間にワイバーン全部隊の攻撃を喰らう羽目になった。
如何に地中を自由自在に突き進む『地虫(アースワーム)』と云えど、厚い岩盤層を突き進む事が出来ず、進みやすい箇所(出入口や、エアダクト等)を通ってきてくれるに違い無いと考えられたから、予めその場所にベック・トール・キリコ達の隊長達を割り当てて、効率良くワイバーンと乗り手による、ブレスと魔法による攻撃をさせた。
その甲斐あって、無事に帝国軍艦隊に避難民達は回収され、殆どの『地虫(アースワーム)』はワイバーン部隊の攻撃によって殲滅され、尽く『地虫(アースワーム)』の魔石は回収された。
避難民達は、セリーナ、シャロン両准将の陸上巡洋艦『ドレッドノート』『ジャンヌ・ダルク』と陸上フリゲート艦6隻に分乗させ、今までの航路を逆進して兵站基地たる『リビン』まで送り届けて貰う。
そして其れ以外の帝国軍艦隊は、一路スラブ連邦の首都『エデン』に向かい、進軍する。
恐らく避難民達を送り届け次第、此方に帰ってくるセリーナ、シャロン両准将達の艦隊は、首都『エデン』前辺りで合流出来るだろう。
いよいよ敵の首魁『ラスプーチン』の居る、スラブ連邦の首都『エデン』へ狙いを定め、我等帝国軍艦隊は、スラブ連邦の荒野を進軍して行く。