人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝)    作:ミスター仙人

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閑話④ 「ガトル親父の雑記」① (親父、あの夕日に誓うの巻)

  俺は、今の今まで日記なんて気の利いたモンは書いた試しがねえ!

 でもよ、カワイイ娘が自分の日記帳とは別に俺とカカアの分まで買ってきて、プレゼントってヤツをしてくれた!

 照れるじゃねーか、コンチクショウめ!

 娘の手前書かないわけにはいけねーし、息子のケニーも偉そうに書いているようだ、俺とカカアもコリント領に来たついでだ、心機一転てヤツでいっちょ書いてみるか!

 

 6月某日 (日にちなんて覚えてねーんでこれからもこれで行くか)

 

 ここコリント領へ来ての驚きなんざ、娘や息子が散々っぱら書いてるだろうから、これ書いてるのも2ヶ月も後だしもう驚きには慣れっこになっちまてるし、細かい事なんざ覚えてねーや。

 

 6月某日

 

 職業訓練所て所で、久し振りに読み書き計算を復習させられたぜ、でもよ鍛冶師て職業柄全部日々使ってたんで特にわかんねー事はねー。

 隣の元農民出身の「ドップ」って奴が計算が苦手そうで、恥ずかしそうに指で数えてやがったが、

 「こんな事は鍛冶師にとっては些事だ、良い鍛冶師ってのは如何に鉄を叩けるかだ、要は腕っ節よお!」

 って言ってやったら。

 大きな体のくせに小さな声で。

 「ありがとうございます」

 て抜かしやがった。

 なんだよ、照れるじゃねーか。

 

 7月某日

 

 職業訓練所を卒業し、8月から稼働する工場とやらに入る準備期間をスターヴェーク王国だけでなく、ここベルタ王国の王都から来たヤツ等も交え、大きな工房で鎧と鎖帷子そして大型と小型の盾を大量に作る事になったんだが、肝心の材料がてーへんなモンだった。

 俺は、鉄や銅他には錫、真鍮は扱ってたがドラゴンの鱗を取り扱うのは初めてだ、然も軽いクセにこの鱗はなんて硬えんだよ、俺の愛用の鎚が曲がっちまったぜ!

 そのざまを見てたボットてヤツが、工房の壁に大きさ別に並んだ銀色に鈍く光るハンマーを持ってきて「コレヲドウゾ」って差し出してきやがった。

 未だに人でもねえヤツに普通に話かけられるなんざ、慣れねえけどあのドラゴンの「グローリア殿」とも普通に話せるご時世だ、いつかはそこら辺でくつろいでいる、犬や猫更には馬や牛から突然「今日は晴れて良かったですね。」とか声を掛けられる日が来るかも知んねえ、何ともスゲえ世の中になったもんだぜ。

 差し出されたハンマーは硬さに比べ軽くどんな金属で出来てるんだか見当もつかねえが、頑丈そうなのは確かだ、試しに鱗を叩いてみたら簡単に拉げやがった!

 なんてハンマーだ!あのドラゴンの鱗をヤスヤスと壊せるなんざ、お伽噺で俺の大好きなトール神が振るった「トールハンマー」くらいしか思いつかねえや!

 まさかこんなに「トールハンマー」が数多く有る筈ねえし、やはり噂になっているアラン様のお国の技術の産物に違いねえ、全く凄え話だアラン様の大陸は相当進んでいやがるんだろうな、いつかは行ってみてえもんだ。

 

 7月某日

 

 なんとなく気があってドップと相方になり工房で一緒に作業をしてたら、とんでもねーモンが運ばれて来やがった!

 なんでも「ダイナモ」って名前なんだが、正式名称は魔導発動ウンタラカンタラってなげー名前なんで「ダイナモ」で通すらしいぜ。

 こいつは「魔石」の魔力を喰ってシリンダー(なんだか飛び出てる棒みてーなやつ)部分を回すらしいんだが、この回転するてーのがミソだ!

 つまりよ、人様が人力でしなきゃならねえあらゆる作業を、この「ダイナモ」の回転する力を別の動力、例えば車軸を回す力を歯車の噛み合わせで、早い回転と力強い回転に切り替えたら馬車の馬が要らなくなっちまう。

 他にもカカアが働いてた裁縫の工房でも「ダイナモ」を使用すりゃ、厄介な縫う作業と洗う作業を人力でする必要がねー事になる。

 こりゃ、みんなが最近口癖のように寄ると触ると話題にする「先進的技術」「未来科学」ってヤツの根本そのモノなんじゃねえか?!

 一介の鍛冶職人でしかねえ俺でもこの「ダイナモ」がありゃあ、今迄夢描いてた便利な魔道具を作れるかも知んねえ!

 横に居るドップに、

 「俺の道楽だが便利な魔道具作成をしてみてえから手伝ってくれねえか?」

 て言ったら相変わらず小さな声で、

 「勿論ですよ。」

 と気持ち良く二つ返事で応じてくれた。

 よーし、見てろよー、必ずみんな魂消る魔道具を作って、クレリア姫様とアラン様に献上してみせるぜ!

 

 7月某日

 

 俺とドップはボットに作成してみてえ魔道具の説明をしたら、空いている工房と「ダイナモ」10機、更に工作用の器材を十分過ぎる程用意してくれ、隣の倉庫にこれでもかって量の資材と各種の金属鋼板を積み上げてくれた。

 なんて太っ腹なんだい!クレリア姫様とアラン様は!!

 俺とドップは、必ず期待に応えてみせるぜ!と職人魂を燃え上がらせて、あの夕日に向かって誓った!

 

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