人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝)    作:ミスター仙人

180 / 352
10月の日記⑤(人類銀河帝国 コリント朝元年)《対スラブ連邦後始末》

 10月5日

 

 あの『ラスプーチン』との激戦の後、アラン様は直ちに『システム・エキドナ』に神器『レーヴァテイン』を突き刺し、『ラスプーチン』によるアーティファクト『ティルフィング』を利用した命令を完全に解除し、システム・エキドナを支配している、基本プロトコルを抹消し、基幹プログラム『ルミナス』からの西方教会圏で使用されている、『システム・ガイア』を龍脈(レイ・ライン)とのリンクからダウンロードし、インストールし直して、北方世界に会わせて基本プロトコルを構築し直すそうだ。

 

 正直自分には、半分も理解出来なかったが、何にせよ、あの苦労したデカブツが元に戻り、人類の為に動き出す事が判ると、非常に安堵出来た。

 

 あの決戦が終わった瞬間、殆どの帝国軍人はその場でへたり込んでしまったのだ。

 全く不甲斐ない話だが、『ラスプーチン』と『システム・エキドナ』との戦いは、如何に数多の激戦を繰り返して来た帝国軍人にとっても、あまりにも精神的負荷がきつかったのである。

 自分もへたり込むことこそ無かったが、暫く呆然としていて部下に5分間指示を出せないでいたくらいだったのだ。

 何よりも、『ラスプーチン』という名の『バグス(虫)』を見た瞬間から、身体の奥底からあまりの嫌悪感と悍ましさに、絶叫を上げたくなったのだ。

 今後、『バグス(虫)』と云う輩と戦う場合に備え、正しい知識と覚悟を決めなければ、戦え無いだろう。

 

 10月7日

 

 アラン様が、例の『ラスプーチン』と融合していた円筒形の金属柱と、アーティファクト『ティルフィング』、そして斬り落とした『ラスプーチン』の左手を持ち、『龍脈跳躍(レイラインダイブ)』という空間跳躍を行われ、『魔法大国マージナル』にある賢聖『モーガン』殿の研究所兼巨大演習場に転移されていった。

 

 此れから、『ラスプーチン』の正体と『システム・エキドナ』を支配した経緯と、何を企んで空間に穴を開けていたのか?等を詳しく調査するそうだ。

 

 10月9日

 

 ルーシア王国の首都で有る、『サンクトペテルブルク』に元システム・エキドナ、現『システム・ガイア』を、例の避難民達が利用していた大空洞に誘導し、其処から『システム・ガイア』の全能力をフル回転させ、北方世界全体の汚染除去と、土壌改良、更にはMMを使用した作物栽培等の、人が将来住める様になる為の準備を始めさせた。

 恐らく5年後くらいには、ルーシア王国とクライナ公国は復興出来るだろうし、その周辺国も段々と復興して行くだろう。

 そして此の日、アラム聖国と崑崙皇国に向けて、外交使節団を其々1隻の駆逐艦に乗せて送り出した。

 其々の国にこれ迄の敬意説明と、現在『人類銀河帝国』がルーシア王国とクライナ公国以外の北方世界の国々を管理しており、何れは其々の国の国家代表を選出して、帝国の華族に加えて帝国の藩屏になって貰う事の宣言を行う事になっている。

 つまり、この時点で人口比はともかく領土的に云うと、セリース大陸の6割を帝国は領している事になる。

 其れは即ち、現時点でセリース大陸の覇者としての立場に帝国が立った事を意味する。

 アラム聖国と崑崙皇国は、この時点で和戦どちらの立場を取るか?選択を突きつけられたのである。

 

 10月20日

 

 漸く、クライナ公国の兵站基地で有る『リビン』に到着した。

 取り敢えず此の地は、当座のクライナ公国の首都となり、クライナ公国復興の拠点となる。

 なんと云っても『リビン』には、帝国からの太い直通インフラが有り、比較的に巨大鉱床の有る『ガデッサ』も近く、貿易やMM売買の拠点としても優秀で有る。

 到着した我々帝国一同を、ゼレンスク代表始めクライナ公国首脳陣が出迎えてくれて、大分整備された広大な貨物集積場の一角を使った、戦勝記念パーティーを開催してくれた。

 

 この戦勝記念パーティーは、一切の立場等を無視した完全無礼講で行われ、自分やアラン様他帝国の重鎮達も、久々に堅苦しい儀礼無しの宴会を楽しんだ。

 そうなのだ、今現在帝国の重要職を担っているが、僅か2、3年前までは、冒険者としてアラン様とクレリア様ともこうやって酒を酌み交わし、日々の魔物や盗賊の討伐数や回収出来た獲物、そして将来のスターヴェーク王国奪還等を思い、日々を一生懸命生きて居たのだ、その思いを目の前に座ってスラブ連邦と必死に戦ってきたパルチザン上がりの男と共に語り合い、お互いの願いが叶った事を祝福し合った。

 

 近くに居られたアラン様は、ゼレンスク殿と共に将来の帝国の夢とクライナ公国の夢、そして其れが結実した時の豊かに生活出来る様になる両国の国民の姿、その為にこそ双方の代表たるアラン様とゼレンスク殿は、文字通り命を賭けると、約束し合って居られた。

 それも済むと、アラン様とゼレンスク殿はお互いに飲み比べをしたり、お互いの趣味を話始め、共通の趣味で有る釣りの話題になり、何時かもっと暇になったら、ゼレンスク殿に帝国首都『コリント』に来てもらい、一緒に釣りをしようと約束して居られた。

 アラン様とゼレンスク殿は、非常に寛がれた様子で痛飲しておられ、久々に楽しまれているのが、傍から見ていても判ったので、双方の関係者も笑顔で見守られていた。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。