人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝) 作:ミスター仙人
4月5日(コリント朝元年)
アラン様と連絡を重ねて来た結果、ビスマルクを越える大きさの艦船を作る事になった。
具体的には、攻撃力と防御力に特化しビスマルクが『カイザー砲』を発射する時に、一時的に防御力が減衰するのを強力なバリアーで肩代わり出来、更にその大火力で敵を近付けない事が出来る艦船だ。
この要望を満たす為に、図面を描きながらドレイク殿と相談し合い、完成予定図をアラン様に8ちゃん経由で送ったら、レーダー(探知魔法)と高度連絡網の強化を図る様に注文されたので、改良版を早速送り直すと、許可されたのでドッグに建造開始の旨を伝えて、もう一つの艦船の図面に取り掛かったぜ。
4月8日(コリント朝元年)
もう一つの艦船である超巨大陸上空母の図面が完成し、アラン様に送ると直ぐに許可が下りたので、こいつも本日のうちにドッグに指示し建造開始する事になった。
こいつは、今までの艦船と桁が違う大きさで、全長700メートルを越える代物になる予定だ。
4月25日(コリント朝元年)
急遽アラン様が、帝都コリントに帰って来られ、『何でも屋』のメンバーを招集して、様々な指示を出された。
前回の『テュポン』との戦闘で破壊されてしまった、ヘリコプターは戦闘に向かないという事で、無人で運用出来る飛行する魔道具を作成して貰いたいと依頼された。
そんな魔道具を作るのには、かなりの技術問題が有るので簡単には出来ないと、率直に言ってみたらアラン様から凄え魔道具の設計図を渡された。
《こっ、これは?!》
と俺とドップは驚愕しながら設計図を穴が開く程凝視した。
偵察用ドローン DR-3020 82機 全長15m、全幅10m、全高4m
水素ラムジェットエンジンもしくはプロペラにより飛行可能。
ジェットノズルは可動式の垂直離着陸機。太陽光により充電、水素は大気中から補給可能。
緊急時には人を数人なら乗せることが可能。
光学迷彩(隠蔽機能)、フレキシブルアーム(自在腕)等を装備
独立起動(スタンドアローン)が出来て、航続距離も大陸を越えてこの星全てをフォロー。
他諸々の能力を披露されて、俺は目眩を覚え、ひっくり返っちまったぜ。
これだけの凄まじい能力で、何と実物があるらしい!
アラン様に拝み倒して、現物を見せてもらった!
凄えええええええーーーーーーー!
音も無く地面に降り立ち、機内を見せて貰ったり、フレキシブルアーム(自在腕)を使う様子も見せてもらったんだが、『何でも屋』の連中全員で驚愕しながら徹底的に調べまくらせて貰った。
判った事は、今の俺たちのレベルでは、理解出来ない事が判るくらいだったが、基礎技術が判らなくても、利用する事は出来るから、設計図のブラックボックス部分以外を活用しヘリコプターの能力を底上げした、無人で飛行する魔道具を制作する事に取り掛かる事にしたぜ。
4月28日(コリント朝元年)
3日間缶詰めで工場に詰めて、無人で飛行する魔道具の設計図を書き上げて、自宅に戻ったら、妻のマゼラと娘のカレンに怒られちまった。
当初は何で怒られてるのかサッパリで、理不尽な口撃に怒りが湧き上がっていたが、段々と息子の嫁のミーシャさんが妊娠した事に理解が行き、漸く2人に謝り、現在ミーシャさんが何処に居るのか聞いてみたら、官舎から出て我が家に来る予定だったのだが、暫くの間クレリア様の皇妃宮で他の妊婦と共に諸事情で滞在する事になっているそうだ。
早速、宮内庁長官のロベルト老に連絡して、皇妃宮に娘のカレンと一緒に向かった。
アスガルド城で、何故か衛兵や受付の事務員から丁寧に挨拶を受けながら(後で気づいたが、そう言えば俺は”名誉子爵”だった)皇妃宮に案内され、ミーシャさんとオウカ殿の相部屋に通された。
俺の来訪にミーシャさんは、驚いていたみてえだが、直ぐに落ち着いてくれて、俺の孫を妊娠した事を報告してくれた。
俺は事前に聞かされていたにも関わらず、思わず目頭が熱くなっちまった。
俺に孫が出来る、あのルドヴィークを脱出する時は、今後の未来がまるで見えなくて途方に暮れていたのに、アラン様とクレリア様の頑張りのお陰で、俺たち家族は誰一人欠ける事無く幸せを掴み、更には新しくもう一人家族が増えるんだ、こんなに嬉しい事はねえぜ。
だから、素直な感謝の言葉をミーシャさんに告げられたぜ。
「ありがとうよ、ミーシャさん。
俺達家族に新しい家族が加わる。
そしてアンタは、次の世代への橋渡しをしてくれる素晴らしい人だ。
必ず、この恩には俺としても全力で応える。
是非、アンタの願いを言ってくれねえか?」
と言ったらミーシャさんは、はにかみながらも、
「・・・それでは、お義父様には、この子がある程度大きくなったら、この子が望む玩具を作って頂けますか?」
とお願いされたから、「任せとけ、最高の玩具を作ってやるぜ!」と約束したら、「ありがとうございます!」と返してくれた。
そして暫く雑談したると、ロベルト老が部屋に来られて、挨拶を交わした後にクレリア様に表敬訪問する事になった。
クレリア様の私室に行く廊下の途上でロベルト老から、耳打ちされてクレリア様が妊娠された事を知らされた。
おおおおおおっ!やったぜ!アラン様との間の子供だから、優秀な事は誰もが太鼓判を押すだろうし、もし男の子なら人類銀河帝国にとって初の皇子にして、皇太子という事になる!
横にいる娘のカレンが、伝手の病院情報で既に男女の性別は知っている様だが、頑として教えてくれねえ、親にも教えてくれねえとはケチすぎるぜ。
そうこうしている内にクレリア様の私室に着き、案内されて入ると女性の華族の方々が勢ぞろいされていて、クレリア様は全員から祝辞を受けておられる。
漸く自分の番になり、
「クレリア皇妃陛下、ご懐妊おめでとうございます!
我等、人類銀河帝国臣民にとってこれ以上の慶事は御座いません!
日頃からアラン様からの、大変なご厚情を頂いておりますので、お二人の間のお子様に対して、永遠の忠誠をここに誓います!」
と宣言する様に述べると、クレリア様は、
「ガトル名誉子爵。
そなたの我が帝国への献身的な働きは、帝国臣民全てが知る処だ。
然もそなたの家族全員は、私とアランの親友だし信頼出来る部下でも有る。
今後も変わらぬ友誼と、頼り頼られる間柄を維持したいと思う!」
と仰られたので、周りの華族の方々も「オオッ!」とどよめく中、
俺と娘のカレンは、片膝を着きながら、
「ハッ、クレリア皇妃陛下のご意向のままに!」
と返事すると、クレリア様は莞爾と頷かれた。