人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝) 作:ミスター仙人
5月1日(2年目)
『水着大会』が開催され、放送局がその様子をライブ放送されたわ。
6月オープン予定の、大規模遊戯施設『温水プール』が、新しく作られてるドーム『生活ブロック2』で基礎工事が終わり、色々な遊具設備の建築を開始した事も放送され、今回の『水着大会』で披露された水着の販売を『デパート』等でされている事も放送したの。
きっと、事前購入する人が大勢いるわね。
5月20日(2年目)
アラン様とクレリア様達が、セシリオ王国の愚王ルージを成敗して、セシリオ王国を解放して上げたらしいんだけど、何とも陰惨な話しで、セシリオ王国の王都やその周辺の人々は尽くゾンビにされて、愚王ルージに操られていたそうよ。
何とか、『女神ルミナス』様の使徒である『イザーク』様に救われながら、ここコリント領に避難された女性達自身から聞かされたの。
この女性達も、住居等の生活基盤を愚王ルージの所為で、全てぶち壊されたから服飾工場で技術を学びながら、仕事をして貰っているのわ。
こんな女性が大変増えたから、既に服飾工場だけで小型のドームが出来ていて、そのドームをサイラス商会がアラン様から事実上借り上げて、名称も『サイラス・ドーム』になっていて、ここで作られる服以外の衣装関係全てが、現在ベルタ王国どころか近隣の国に向けて席巻する勢いで販売しまくっているわ。
そういう状況になるのも当然よね。
だって、ここで作られている衣装関係だけでも、材料で有る生地や縫製方法そしてデザインに至るまで、他国や既存の店では、絶対に真似出来るレベルに無いもの。
然も、例のホシとジョナサン達デコトレ野郎達は、サイラスさんと娘のアリシアさん達と大変良好な関係を築いていて、デコトレ野郎の中にはサイラス商会と専属契約を結んでいる連中が、200人くらいいて、従来の馬車を使う物流のレベルを遥かに超えたスピードで物を届けてくれるし、馬車と違い野盗や魔物によって物品が無くなる事も無いから、信用も上がって双方winーwinの関係になってるわ。
6月23日(2年目)
『マダムの会』の本拠ビルの応接室で、私とナタリーさんが今後の貴族用の衣装戦略を相談している場に、突然夫のガトルとホシさんが訪問して来たの。
何事か?と思いながらも、ホシさんだけで無く夫のガトルも居るので、一緒に会うことして資料を片付けて、そのまま応接室で話しを聞くことになったわ。
応接室に入ってきた2人は、何時もの様子とはかなり違い、思い詰めているのが傍目にも良く判ったわ。
夫のガトルが、
「・・・ナタリーさん、先日俺たちの故郷で有る、スターヴェーク王国を簒奪した憎っくきアロイス王国が、このベルタ王国に対して宣戦布告して来やがったのは知ってると思う。
このとんでもねえ事実に、俺たち旧スターヴェーク王国国民は、とても我慢が出来ねえ!
なので、お宅のサイラス商会に所属しているデコトレ野郎の半数の100人に対して、暫く休業させてやって欲しい!
その代わりの人員は、経験不足だが、見習いの連中をロベルト老が振り分けてくれる事を約束してくれた。
完全には、穴埋め出来ないだろうが、休業期間が終わり次第、必ず損失補填する仕事をこなすので、許して貰いたい!」
と突然願ってきたので、私とナタリーさんは面食らって呆然としてたら、
ホシさんが、
「・・・急な願いで驚くのも無理はねえ。
だが、積もり積もった恨みに加えて、今回のアロイス王国の仕打ちには、おいらの堪忍袋の緒がブチ切れちまった!
これから、俺たちのデコトレを、ここにいるガトルの親父と一緒に戦闘用に作り変えて、憎っくきアロイス王国の正規軍に正面切って挑むつもりだ!
そうする事でアラン様とクレリア様の手助けをしながら、憎っくきアロイス王国が滅びるまで、おいらはこのコリント領に帰って来ねえつもりだ!
その途中で、おいらはもしかするとおっ死んじまうかも知れねえ!
だから、悔いがねえように、ナタリーさん貴方においらの最後の告白をしに来たんだよ!」
ナタリーさん!
貴方は、ヤクザな生き方をして来たおいらの心のオアシスだ!
ナタリーさんを見てるだけで、おいらは幸せな気分になって、今までアロイス王国の奴等から受けた、様々な苦痛や後悔が癒やされてたんだ。
だけど、その癒やされた心も、今回のアロイス王国の奴等の仕打ちで、元に戻っちまった!
必ずおいらは、アロイス王国の奴等をとっちめてくるから、帰ってきたその時にはおいらは、プロポーズする。
それがおいらの、正真正銘最後のプロポーズだ!
ナタリーさんが、どんな返答をしてくれようと自由だから、その時までに気持ちを固めてくれ、お願いだ!」
と告白し、夫のガトルと共に、サッサと応接室を出て行ったわ。
私とナタリーさんは、暴風の様な出来事に呆気にとられていたけど、暫くして漸くとんでもない事が、起こったことに気がついて、慌てて関係している人達に声を掛け初めて、騒然とする事になったわ。
6月25日(2年目)
一昨日の宣言通り、夫のガトルとホシさん達は見事に徹夜でデコトレを戦闘用に作り変えて、次々とアロイス王国との国境線に向けて送り出してるわ。
私とナタリーさんそして何故かサイラスさんが、最後に出発するホシさんの出発を見送りに出向いたの。
サイラスさんが、
「おい、ホシよ。
思い残す事無く暴れて来い!
男には、許せねえ事が必ず一つや二つは有るもんだ!
それから、逃げてる奴は男じゃねえ!
だが、やりきった後は、容赦なくこき使ってやるから、覚悟しろよ!」
と笑いながら、ホシさんの胸をどついてるわ。
この辺が、私達女性には判らない感覚ね。
そしてナタリーさんが、
「・・・ホシさん。
私は、貴方の真摯な告白には、今は心が定まって無いので答えられません!
だけど、貴方が望みを叶えてスターヴェーク王国を、アラン様とクレリア様の手に取り戻される手助けが出来たら、必ず返事をします。
だから、無事に帰って来て下さい!」
と言われて、私の親友のマミの旦那が作った『魔導アクセサリー』の中でも、最高の個人防御魔法を封入している腕輪をホシさんに手渡したわ。
「・・・ありがとう、ナタリーさん。
必ず帰って来ますぜ!
そして、サイラスの旦那!
預かった、サイラス商会と専属契約を結んでいる連中は、一人も死なせずに無事に戻させて見せますぜ!」
と宣言すると、専用のデコトレ『一番星』に乗りみ、満艦飾に光らせながら既に出発したデコトレ野郎達に追いつくべく、凄いスピードで爆走して行ったわ。
夫のガトルは、2日間の徹夜が堪えたのか、ワザワザ、サイラスさんが手配してくれた送迎用の車両に乗った瞬間、大きなイビキをしながら寝てしまったわ。
夫にしてもホシさんにしても、全てに全力投球ね。
この人達は最期を迎えるその時まで、悔いが無さそうで羨ましくなるわ。