人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝) 作:ミスター仙人
1月1日(人類銀河帝国 コリント朝2年)
朝から、ニュースを通す形でアラン様達皇帝一家の現況が放送された。
今までもアポロニウス皇太子殿下の状況は、ニュースでも紹介されていたが、今日の放送では人類銀河帝国生誕1周年記念セレモニーでの生放送が流され、その際の可愛らしい姿は大多数の帝国国民の心を射止めたに違い無い。
セレモニーには、自分も参加していたのだが、元王族・貴族の華族の方々が、アポロニウス皇太子殿下始め、息子のケント達に群がる様にやって来て、挨拶を交わすのが大変で、いつの間にかセレモニーが終わっていたので、上手に対応出来ていたのか不安だったが、宮内庁長官のロベルト長官から、「赤ん坊のいる参加者は形式ばった儀礼は気にしなくて良いよ!」と言われ、そんなものかと納得した。
しかし、セレモニーの後の立食パーティーでは何故か自分の両祖父母達が、息子のケントを連れ出し、両祖父母達が主催する『シルバー華族のサロン会』のメンバーと一緒に記念撮影や、年配の華族が率先して息子のケントを抱き上げて喜んでいる。
何とそんな風に騒いでいたら、嫁さんズもやって来て連れて来た赤ん坊がアイドルと化し、とうとうアラン様とクレリア様、更にアポロニウス皇太子殿下が合流したので、改めて全員集合の記念撮影と個別の記念撮影を行って、式は無事成功裏に終わった。
1月5日(人類銀河帝国 コリント朝2年)
帝国軍の上層部と空軍総出で、アトラス殿とグローリア殿の結婚式を空軍ドーム内で行った。
ルミナス教の正式婚姻である為、ゲルトナー枢機卿に来て貰い、幾つかの誓約を誓わせて正式な夫婦となった。
アラン様は、
「・・・アトラスとグローリアは今後夫婦として、我が帝国の柱石となって、頑張って貰いたい!
これから、現在ワイバーンである120頭は、順次ドラゴンへの進化を皆希望しているので、アトラスとグローリアはこのドラゴン達を指導する立場となる。
先達として既に部下となっている、ガイやサバンナ達15頭のドラゴンたちと相談の上で、部隊編成や軍団魔法の構築を考えてくれ、以前からの懸案である能力の向上は、其れ等が完了次第考慮するので、先ずは夫婦して努力して見せろ!」
と厳しい注文を付けられた。
それに対し、アトラス殿は、
「・・・了解です、アラン様!
先の戦いでアラン様が示された、異次元から侵略してくる『古きものども』とその尖兵である『バグス』に対抗出来る実力を備える為に、最大限の努力をして、その成果を見せるつもりです!
どうか、自分達夫婦の今後を見ていて下さい!」
と言うと、グローリア殿と共に深々と頭を下げた。
そんな姿を見られたクレリア様が、腕にアポロニウス皇太子殿下を抱きかかえたまま苦笑し、
「相変わらず、アトラスは生真面目に返答するし、アランも目出度い席で堅苦しいわ。
2頭とも正式に私達の赤ちゃんであるアポロニウスには、会っていなかったでしょう?
どうぞ、ご覧になってくれないかしら」
と言われたので、恐る恐る2頭はその巨大な顔をアポロニウス皇太子殿下に近づけた。
そんなご自身に比べて圧倒的に大きなドラゴンに対し、アポロニウス皇太子殿下はそのアイスブルーの両目をシッカリと開かれた上で、恐れげもなくその小さい手を伸ばし、2頭のドラゴンの鼻面を触った。
そうやってアトラス殿とグローリア殿は、好きなだけアポロニウス皇太子殿下に顔を触らせていたのだが、やがて2頭とも同時に身を震わせて、退き感想を述べ始めた。
「・・・不思議な感覚だわ!
何故、こんなに幸せな気持ちが全身に広がるのかしら?
とてもただ赤ちゃんに触られただけとは、信じられないわ!」
とグローリア殿が言うと、同調した様に、
「・・・本当にその通りだ!
こんな感覚は、今まで味わった事が無い!
やはりアラン様とクレリア様の御子なだけは有る!
この御子こそが、帝国を受け継ぎ、且つこの星の正当な支配者なのか?!」
と後半は呟く様に語尾をすぼめて、アトラス殿は感嘆している。
此の場にいる帝国上層部と空軍に所属する全員も、そんな感嘆に一つも異論を唱えずに最もだと納得している。
そもそも生後2ヶ月の赤ん坊が、こんなに巨大な生物を目の当たりにして、少しも泣かずに落ち着いた様子でドラゴンに触る段階で、欠片も疑わずにごく当たり前の光景であると認識しているのだから、傍から見たら異様極まる姿だろうなと、日記として書いている今ならば理解できるが、その時には、気づかなかった。
1月10日(人類銀河帝国 コリント朝2年)
崑崙皇国に向かう外交使節団と、派遣される艦船が正式に決まった。
先ずは、アラン様自身が向かう為に帝国総旗艦『ビスマルク』が赴くのは当然だが、てっきり随伴すると思われた、セリーナ、シャロン両准将は帝都コリントに残られ、空軍から自分の乗る巨大陸上空母『グラーフ・ツェッペリン』が随伴する事が決まり、更にアラン様の護衛役として、『拳王ダルマ』殿と『剣王カイエン』が加わる事が決まった。
彼らは、先のスラブ連邦との戦いに間に合わなかった、親父謹製の専用武器を受け取り、是非その能力を存分に示したいらしく、切歯扼腕してたから、傍目にもとても喜んでいるから、その実力を噂に聞く妖怪達にぶつけて貰いたい。