人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝)    作:ミスター仙人

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1月の日記②(人類銀河帝国 コリント朝2年)《ノルデン諸国連合とクライナ公国の未来》

 1月15日(人類銀河帝国 コリント朝2年)

 

 正式な国交樹立を目指し、アラン様を始めとした外交使節団が此の日出発した。

 帝国総旗艦『ビスマルク』と巨大陸上空母『グラーフ・ツェッペリン』に乗り込む3千人と、積めるだけの物資を積み込み、マジノ線を越えてからクライナ公国を経てから、旧ルーシア王国の南端を通り、カザフ侯国に立ち寄って崑崙皇国に到達すると行った行程である。

 旧ルーシア王国の南端までは、以前に進んだ行程なので問題無いが、カザフ侯国から崑崙皇国までは初めてなので、若干の不安と興味を覚え、結構楽しみだ。

 

 1月18日(人類銀河帝国 コリント朝2年)

 

 アップグレードを経た『ビスマルク』と『グラーフ・ツェッペリン』は、なだらかに整備されたインフラのお陰で、以前の半分の時間でマジノドームに到達した。

 驚くべき事に、このマジノドームの周辺は、昨年と違い見渡す限りの農地が広がっていて、今現在は冬場にも関わらず、じゃがいも、白菜、そば、カブ、自然薯等が植えられている。

 何でも、MMによる寒冷地仕様の作物への品種改良と、『システム・ガイア』による、土壌改良による成果らしい。

 親父とドレイク殿の『カーゴシップ』による小型ドーム設置と、ノルデン諸国連合各地での魔導列車開通により、ノルデン諸国連合からの入植者が爆発的に増えて、既にこのマジノドームの周辺には300万人に及ぶ人々が生活しているようだ。

 

 マジノ線に駐屯していた、レリコフ元帥とその幕僚達が、久々の再会を祝って宴会を催してくれたが、当然その宴会の席では、昨年収穫した作物を見せてくれて、その食材を使った料理も供してくれた。

 中でも、蕎麦粉のクレープやじゃがいもの料理等は、素朴ながらも郷愁を感じさせる味で、きっと郷土料理として此の地の特産として、将来の特産物としての成功する未来が見えた様な気がした。

 

 アラン様は、レリコフ元帥がしきりに勧めて来た昨年収穫の、じゃがいもで作ったウォッカに感心していた。

 何とこのじゃがいもは、レリコフ元帥の親類の方々が収穫して、アラン様提供の蒸留装置でレリコフ元帥自身が蒸留した物だそうだ。

 然も、レリコフ元帥はこのまま軍人を引退して酒造りに残りの人生を捧げたいそうだ。

 どうして?、と云う疑問にレリコフ元帥自身が答えてくれた内容は、これまで軍人として頑張って来れたのは、あくまでも対スラブ連邦のノルデン諸国連合の国土防衛戦であり、隣国がクライナ公国という、心配する必要の無い友邦国であり、仲良く発展してして行く両国は互いに軍備拡張政策を取る必要は無く、何れは軍人の削減に舵を切るのは目に見えているので、元軍人の再雇用への道筋を切り開く意味合いでも、レリコフ元帥自身が範を見せるそうだ。

 成る程、マジノ線の重要性は対スラブ連邦では限りなく有用だったが、クライナ公国相手には余計な関所という物流に於いての阻害要因でしか無い。

 恐らく早晩には、無用の長物と化すのは規定路線だろう。

 軍人としての自分には、何となく寂しい話だが、レリコフ元帥の第二の人生に対してアラン様と共にエールを送った。

 

 1月20日(人類銀河帝国 コリント朝2年)

 

 当座のクライナ公国の首都である『リビン』に到着し、直ちにゼレンスク代表始めクライナ公国首脳陣とお会いする事になった。

 改めてゼレンスク代表から、帝国に対して膨大な借款と投資により、凄まじい勢いでインフラ整備が整いつつあり、元のクライナ公国住民が帰ってきても充分過ぎる程の職場環境がある上に、以前の国土より発展しそうな素地が出来そうで有る事を告げてくれた。

 そんな明るい未来を述べるゼレンスク代表に対して、同行してくれたノルデン諸国連合の官僚達とアラン様は、此の程度では無いと云う未来の展望について話しあった。

 つまりどういう事かと云うと、このクライナ公国のセリース大陸に於ける立地条件の良さを説明されたのだ。

 このクライナ公国は西方教会圏にとって、2つの内海と接する唯一の国であり、セリース大陸中央部に進出する為の玄関の様な位置にあり、圧倒的な平野部を国土に持っているにも関わらず、ガデッサと云う今後必須といえるMM用のレアアースの大鉱脈を港近くに持つ、殆ど反則の様な条件を保有しているのだ。

 他国からしてみたら、羨望されるのが間違い無い国なだけに、ノルデン諸国連合の官僚達としては、他国に先駆けて隣国の利として、物流の特約を考えて巨大な拠点を獲得したいそうだ。

 それに対して、アラン様は帝国としては大いに結構な話しで、帝国に対して別段不利益にならない事であれば、妨害する様な事は一切行わない事を、この際3カ国として誓約書を取り交わし、より緊密な関係を築く事を発表する事を決められた。

 益々、ゼレンスク代表とノルデン諸国連合の官僚達は、アラン様の懐の深さと帝国の鷹揚さに感謝された。

 まあ、帝国としては当たり前のスタンスだろう。

 何故なら、この巨大過ぎる取引の現場では、従来のギニーでは煩雑過ぎて取引出来ず、必然的にポイントで取引する事になるから、そのポイントを基軸通貨とすべく動いている帝国としては目先の利益など、心底どうでも良いのだ。

 全く、アラン様と帝国の財政部門を統括する若手の上級官僚の深謀遠慮には、本当に恐れ入る。

 

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