人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝)    作:ミスター仙人

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2月の日記④(人類銀河帝国 コリント朝2年)《長安攻防戦準備》

 2月13日(人類銀河帝国 コリント朝2年)

 

 戦場の妖怪達に崑崙皇国の符術師達が、特殊な符術を施した紙を一斉に掲げると、死体ごと魔石に変わった。

 我々帝国軍が驚いていると、李世民殿が説明してくれた、かなり昔に降臨された仙人に教えられた方術で、幾つかの術の体系を崑崙皇国に齎した後に仙人は天に戻って行かれたそうだ。

 何だか、アラン様のと同じ『神人』の様な方だなあと思ったが、多分これから向かう長安ならもっと詳しく判るだろう。

 

 2月15日(人類銀河帝国 コリント朝2年)

 

 長安城の郊外にある練兵場に総旗艦『ビスマルク』と巨大空母『グラーフ・ツェッペリン』を繋留し、帝国外交使節団を連れてアラン様は、王宮に向かった。

 この長安城は、その昔には首都だったらしく、現在の首都で有る『洛陽』と繁栄の度合いこそ違うが、それなりの権威を保持する立場にあるそうだ。

 実際の処、住人の人数でこそ半分だが、軍人の数や軍備に於いては甲乙つけ難いレベルにあるそうだ、何故かと云うと崑崙皇国にとっての西と北からの脅威を引き受ける要所であるそうだし、この長安以外にも西と南の拠点として『成都』、東と南の拠点として『南京』が有るそうだ。

 夜には、約束通りに李世民殿と岳飛殿とその幕僚とが主催された大宴会が有り、崑崙皇国軍と帝国軍の兵士全員も件の練兵場で運ばれた酒類と食事に、喝采を上げて仲良く宴を開催している。

 王宮での大宴会には、『則天武后』も参加されて、酒豪ぶりを見せつけるように、飲み比べをされていた。

 不思議な事に、『玉面公主・妲己』殿が顔を見せなかったが、アラン様が「気にするな!」と言われたので、問題無いのだろうと思い、気にしない事にした。

 

 2月17日(人類銀河帝国 コリント朝2年)

 

 この長安に向けて、新たな妖怪軍がやって来ているらしい。

 今回は、軍というより巨大な魔物といった具合で、僅か3匹らしいが、その体長が尋常では無いので軍と認識しているそうだ。

 作戦会議が王宮大広間で行われ、大型モニターの複数設置と立体プロジェクターの設置により、かなり綿密な作戦会議が出来たのだが、驚くべき事に会議には、先の戦いの捕虜である『羅刹女』が参加しているのだ。

 不思議に思い、疑問を李世民殿にぶつけると、返答して来たのは初めて姿を見せた『玉面公主・妲己』殿だった。

 

 「・・・帝国軍の方々には、こちらの風習と経緯が判らないと思うので、今から説明致します。

 此れは遥か昔に、時の天帝が下した裁定が発端なのです。

 その当時、妖怪達と人間の戦いである『妖怪大戦』が勃発したのですが、強大な力を持つ妖怪達によって、人間は追い詰められ、滅びの一歩手前まで行ったのですが、それを哀れに思った神々を従える天帝は、複数の仙人を人間の味方として降臨させました。

 仙人達はその能力によって様々な技術や方術を人間に教え、更には強大な魔道具『宝貝』を人間の中でも優れた者に渡し、妖怪達に優る状況を作り出しました。

 ですが、妖怪達もそもそも好んで争いをしていた訳では無く、ある神にも匹敵する魔物の所為で、人間に対して牙を剝いていただけでした。

 そのある魔物の名前は『蚩尤』。

 圧倒的な力と能力を持ち、ありとあらゆる妖怪達を意のままに操る、始末に負えない能力を使い、世を混沌の渦に巻き込みました。

 ですが、前述の仙人達の死にものぐるいの死闘の末に、漸く敦煌と云う場所に封印する事に成功し、妖怪達の洗脳を解くことに成功したのです。

 そして天帝は、妖怪もまたこの世界で共に暮らす仲間であると結論を出して、人間と協力し合う妖怪達を人間の組織の中に組み込み、崑崙皇国の役職にも就く事になったのです。

 この羅刹女も元は、則天武后様のお付きの女官でしか有りませんでしたが、突然3ヶ月前くらいに宝物殿に侵入して『宝貝』の一つで有る『芭蕉扇』を持ち出してしまったのです。

 そして地方軍閥の一つで妖怪で編成された『平天大聖』軍を乗っ取り、我等に攻撃を仕掛けて来たのです。

 しかし、帝国から提供された『ナノム玉』のお陰で、正気を取り戻し裏の事情も判明致しました。

 どうやら洛陽から派遣された宦官の一人から飲まされた薬の所為で、この3ヶ月間はその宦官の操り人形だった事が判明し、その宦官も既に拘束しております。

 ですが、この宦官が薬によって誑かした妖怪は他にも居たのです。

 その者達こそ、今現在この長安に攻め込んで来ている者達です。

 その者達の名は、『牛魔王』、『金角』、『銀角』、元は『平天大聖』軍の幹部ですが、今は洗脳状態にあります。

 ここ長安にはこういった事態の為に仙人が用意したある方術が存在し、この方術を駆使する為の勇士を選抜しました。

 ですが、後一人足りなかったので、アラン皇帝陛下にお願い致しましたら、アッサリとアラン皇帝陛下ご自身が志願され、然も帝国の技術を提供して頂き、ドラゴンとのダイレクトリンクを応用する事で、遠隔操作による操作が出来る様になりました。

 なので、これより改良方術である、『二郎神君』『哪吒太子』『斉天大聖』を発動させます。

 皆、準備に取り掛かって下さい!」

 

 と指示されたので、我等もアラン様が成る『二郎神君』の為の準備に取り掛かった。

 

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