人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝)    作:ミスター仙人

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3月の日記②(人類銀河帝国 コリント朝2年)《長江での戦い》

 3月6日(人類銀河帝国 コリント朝2年)

 

 成都を趙匡胤殿の弟である趙光義に任せ、その補翼としての幕僚として、文官に蔣琬、法正等を配置し、武官に王平、廖化等を配置した。

 そのまま、趙匡胤殿は精兵と共に李世民殿の軍と合流し、総旗艦『ビスマルク』と巨大空母『グラーフ・ツェッペリン』に分乗し、交代交代で馬上と艦船での移動となった。

 蜀の桟道と云う難所も、陸上艦船である両艦は、難無く飛び越えて中原にでる要所白帝城で補給を受けて、夷陵と云う要地に辿り着いた。

 此処で、合流する予定の岳飛殿率いる崑崙皇国軍の後続を待つ。

 

 3月10日(人類銀河帝国 コリント朝2年)

 

 岳飛殿率いる崑崙皇国軍は、岳家軍を中心とした20万人の軍勢と、正気に戻った牛魔王、金角、銀角が率いる妖怪軍10万が軍勢として襄陽に向かっている。

 この間にも、朝廷からは李世民殿に『南京』の攻略が命令されていた。

 まあ、そうなるのは想定内なので、予めそれを逆手に取って、こちらに利が有る様に行動しているのだ。

 さて、『南京』にはどの様な人物がいるのだろうと、自分は半ばアラン様達に協力してくれるであろう、人材に興味があり、討伐する予定の妖怪軍などどうでも良くなってきた。

 

 3月20日(人類銀河帝国 コリント朝2年)

 

 襄陽と云う土地から、長江と云う大河を船に乗って岳飛殿率いる崑崙皇国軍は東進し、我等は夷陵を東進し鄱陽湖と云う湖に向かった。

 此処で、帝国の艦船に乗せられない人員を、木造では有るが様々な軍船に乗せる事になる。

 ドローンからの情報で、『南京』から出撃した妖怪軍はこちらと同様に、水軍を用意していて、100万に及ぶ軍を進軍させている様だ。

 かなりの大型の軍船が用意されているようで、長江での水戦となりそうだ。

 

 3月23日①(人類銀河帝国 コリント朝2年)

 

 大小の軍船が川面を埋め尽くしながら長江を遡って来る。

 どうやら、妖力という我々の魔力に似た力を動力として、進んでいる様でかなりのスピードだ。

 相手はこちらより大軍であり、川面を埋め尽くす程なので、大軍に策略など不要と言わんばかりに、そのまま押し寄せてくる。

 こちらは、岳飛軍と李世民軍に分かれたまま、真っ向からぶつかるのは岳飛軍で、横っ腹と背後から李世民軍が横槍を突く事になる。

 先ずは、矢合わせと符術を使った遠距離攻撃が乱れ飛ぶと、暫くして水中から妖怪(水妖というらしい)が次々と岳飛軍の軍船に乗り移って来た。

 だが其れは、予定通りの行動だったので、軍船を動かしていた最低限の水夫は小さい連絡船に乗り移り、急ぎ後方に去って行った。

 妖怪軍が躊躇した次の瞬間、予め用意していた藁束満載の火船が次々と軍船に体当たりして行く。

 そして岳飛軍の後方に控えていた方術師15万人が、一斉に火系統の符術を火船に向けて投射した。

 次の瞬間、「ゴオッ!」と云う音を立てて、火船は炎を吹き上げながら体当たりしていた軍船ごと燃え上がった!

 前面の軍船が炎に包まれるのを見た、中央にいた妖怪達は水系統の符術を妖力で投射し、火を消そうとし始めた。

 だが当然そういった対応を取る妖怪達に向け、弓矢での攻撃を岳飛軍が仕掛けた。

 すると、大型の妖怪軍側の軍船の舳先に、牛頭の妖怪と馬頭の妖怪が立ち撃ち掛けられる弓矢を、各々の得物を頭上で旋回させると竜巻が起こり、全ての弓矢が薙ぎ払われ、火船で巻起こった炎は全て消されてしまった。

 

 そんな戦いが岳飛軍と妖怪軍の間で行われている最中に、妖怪軍の横っ腹を突くべく突進する李世民軍の精鋭が足の早い小船に乗り、大型の妖怪軍側の軍船に取り付いた。

 その精鋭の先駆けに居るのは、『拳王ダルマ』殿と『剣王カイエン』が率いる親衛隊200で有る。

 素早く軍船の舷側を駆け上がり、『拳王ダルマ』殿と『剣王カイエン』は、それぞれ牛頭の妖怪と馬頭の妖怪と正対した。

 

 双方物も言わずに、己の得物同士で撃ちかかり、20合程斬りあった。

 中々勝負が着かないと見たのだろう、ある程度の距離を取り、双方が構えをとった。

 

 「牛頭獄卒惨殺斬り!」

 と叫び棘が多く付いた得物で、牛頭の妖怪が唸りを上げて斬りかかって来たが、『拳王ダルマ』殿はまたも逆立ちの体勢となり、

 

 「『逆倒結跏趺坐・旋風回転蹴り』!」

 

 と大喝を発すると、凄まじい回転を始めてアッサリと棘が多く付いた得物を蹴り飛ばし、回転したまま牛頭の妖怪の横っ腹に回転蹴りを叩き込み続けて、牛頭の妖怪は「ガアッ」とうめき声を上げて悶絶した!

 

 その一方で、馬頭の妖怪は、

 

 「馬頭羅刹無惨斬り!」

 

 と叫びながら、大きく横払いに瘤の付いた六角棒を振り回した。

 其れに対して『剣王カイエン』は、長刀『蛍丸』を鞘に納めて抜き打ちの構えを取り、

 

 「『一式・飛燕斬』!」

 

 と静かに呟き、「キンッ」と鍔鳴りを鳴らした。

 次の瞬間、馬頭の妖怪は牛頭の妖怪と同様に、「ガアッ」とうめき声を上げて悶絶した!

 

 そしてその間に、帝国軍親衛隊200の面々も、周りに居た妖怪達を次々と打倒し、妖怪軍の大型の軍船にファイアーグレネードの魔法を撃ち込み、完全に燃え広がった事を確認すると、幹部クラスの妖怪達と、牛頭の妖怪と馬頭の妖怪を肩に担ぎ、やって来た小舟に乗り込み、岳飛軍の後方に向かって素早く移動した。

 

 指揮官を打ち倒された妖怪軍は、指揮系統の断裂により右往左往し始め、統率の効かないまま再度の火船突撃と方術師15万人による一斉の火系統の符術攻撃で、殆どの軍船を燃やし尽くす事に成功した。

 

 だが、実はこの間に『南京』に居た妖怪軍とは別の妖怪軍が、崑崙皇国の東方である『徐州』から南下していたのである。

 その軍に対抗する為に、総旗艦『ビスマルク』と巨大空母『グラーフ・ツェッペリン』は、長江を『南京』から来た妖怪軍の背後を抜ける様に渡河して、布陣したのだ、

 その軍に合流する様に、正気に戻った牛魔王、金角、銀角が率いる妖怪軍10万が予め渡河して西からやって来ている。

 だが、それでも李世民軍と趙匡胤軍と合わせて30万人の軍勢でしか無いのに、『徐州』から南下して来る妖怪軍は、少なく見積もっても10倍の300万と云う数である。

 然も信じ難い事に、今までの妖怪軍と違い妖怪の種類は1種類のみで、凄まじい速力でこちらに迫っている。

 どうやら、その妖怪軍が視認出来る様になり、自分の隣に立っている趙匡胤殿が呻いた。

 

 「・・・『饕餮』・・・!」

 

 恐らくその妖怪の種類名だろうが、どうにも根源的な恐怖を呼び起こすその姿は、何とも禍々しかった。

 そして、本日の妖怪軍との本戦が開幕しようとしていた!

 

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