人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝)    作:ミスター仙人

219 / 352
3月の日記⑤(人類銀河帝国 コリント朝2年)《南京での会議》

 3月24日(人類銀河帝国 コリント朝2年)

 

 『トン(犭貪)』との戦いを終え、アラン様の神鎧『ジークフリート』の能力と牛魔王や金角と銀角の兄弟の『宝貝』を行使して、周囲の地形等の整備を始めた。

 かなり『トン(犭貪)』の所為で、この地域全土が荒廃してしまったがアラン様達のお陰で殆ど元に戻せた。

 そのアラン様の姿を見て、帝国軍以外の崑崙皇国軍の方々は、まるで神を仰ぎ見る様子で見られている。

 まあ、あの力を見たらそうなるだろうなと云う納得感はある。

 崑崙皇国軍の人々に確認したら、『トン(犭貪)』と云う魔獣は、崑崙皇国が出来る以前に遥か東方の現在は海しか無い場所に存在していた、超先進文明を誇った『ムー大陸』を滅ぼした、神々さえ食らい付くした神獣を超えた存在らしい。

 つまりアラン様は、かつての神々をすら遥かに超えた超存在と云う訳だ。

 正直な処、我等帝国軍にとっては今更な話しで、既に帝国とその同盟国では事実上ルミナス神と同列に置かれ始めているのである。

 

 粗方の整備が夕方には終わったので、長江の後始末を着けた岳飛軍と合流して、東方の『南京』を目指して出発した。

 

 3月27日(人類銀河帝国 コリント朝2年)

 

 『南京』に入城を果たせたが、かなり城内と周囲の街や都市は荒廃していた。

 だが、幸いにも距離は有るが近隣の大都市である、『建業』や『柴桑』に『南京』や周辺の平民達を、大豪族の『魯粛』、『諸葛恪』と云う人物が保護していたので、人民の被害はそれ程でも無いので、比較的に復興は楽だと考えられるので、この大豪族の方々に後事を託す事が出来そうだ。

 

 其れよりも驚くべき情報が、『魯粛』と云う人物から伝えられた。

 何と洛陽と許昌と云う崑崙皇国の首都圏に、各地方軍閥から取り上げた300万人もの兵士が皇帝軍として組織されていて、然もその集めた名目が、我等帝国軍と協調している李世民・岳飛・趙匡胤が率いる崑崙皇国軍であると言うのだ。

 言い分としては、

 

 「中央からの命令を拡大解釈して、各大都市への軍事特例を行使して軍需物資や精兵を抽出した挙げ句、勝手にに妖怪軍を味方として糾合して、己の手足として使っている。

 此の様な命令を中央政府としては発しておらず、その意図は皇帝陛下への反逆を示していると思われる、各地方政庁の軍は、直ちに洛陽の禁軍と合流せよ!」

 

 と云う指令が、各地方政庁の通達されている様だ。

 道理で、これ迄の進軍経路の地方都市で、成都での趙匡胤軍以外の人間の軍と合流出来なかった訳だ。

 予め、中央が指示して人間の軍を中央に招集して、これ以上李世民殿達の元に軍勢が集合しない様にしていたのだ。

 この事実が指し示すのは、中央は李世民殿達を奔命に酷使した挙げ句、疲れ切った処を強力な中央軍で倒してしまおうと云う腹積もりの様だ。

 第二皇子で、事実上の皇太子と目される李世民殿をあからさまに敵視し、徹底的に殺そうとしている背景には一体どの様な意図があるのか?不気味ではあるが、どうあれ此方としてはこのまま相手の都合で、滅ぶ訳には行かない!

 直ちに緊急会議をするべく、巨大空母『グラーフ・ツェッペリン』の大会議室にて集まり、今後の方針を定めるべく討議する事になった。

 だが、そもそもこの崑崙皇国の内情偵察はかなり前からしている上に、常に超高性能ドローンの探知魔法と会話を収集する短針プローブと軍の動きを把握する為の機数(全部で10樹)を、首都周辺で活動させている。

 故に、今現在もリアルタイムで洛陽の宮廷内部の状況と軍隊の様子も判る。

 其の上で、長安に残っている則天武后と妲己殿と、モニター越しで会議に参加して貰い、今後の対応の最終決断を促す会議となった。

 大体の方針は、以前長安での秘密会議で決まっているので、現在の皇帝である『李淵』と第一皇子『李建成』を更迭し、権力を奪い則天武后に帝位に着いて貰い其の上で李世民殿に丞相兼元帥に就任して貰い、岳飛殿に大将軍、趙匡胤殿に驃騎将軍に着いて貰い、各地方の都尉と執政官も全員解雇し、改めて新進気鋭の若手に就任して貰う事にする。

 そして我等帝国との親密な外交関係を築き、何れは強固な同盟関係に昇華する事を正式文章に取りまとめた。

 更に、此処『南京』に龍脈門(レイライン・ゲート)を設ける事が決められた。

 この、今後の崑崙皇国の未来を語る会議に、始めて参加した『魯粛』殿と『諸葛瑾』殿は、目を白黒させながらも、現在崑崙皇国でも使われている通貨であるギニーを、徐々にポイントに切り替えて、何れはポイントで統一したいと云う話しになると、途端に目をギラリと光らせた。

 どうやら此の両人は、大豪族というより大商売人と言った方が相応しい人材の様で、以前ディスカッション形式でカトルとその婚約者であるサイラス殿のご息女アリスタ殿、更に賢聖モーガン殿に教えられた、ギニーでの決算する上でのデメリットと、ポイントに切り替える事でのメリットと、今後起こる経済大変革の概要が判る様だ。

 生粋の軍人である自分には、殆ど判らないが、既に李世民殿、岳飛殿、趙匡胤殿は巨大空母『グラーフ・ツェッペリン』の中での売店で決済する際にポイントを使用していて、その利便性に馴染んでいたので、全面賛成しているのだ。

 どうやら、『魯粛』殿と『諸葛瑾』殿のお二人は、既にリサーチをある程度しているらしく、会議とは別にアラン様との個別会談を望まれている。

 我等帝国としても、此の様な人材がおられるのは有り難いので、本当に助かると感じたが、全くこの崑崙皇国は人材の宝庫だな。

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。