人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝)    作:ミスター仙人

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14. 9月の日記②

9月19日

 

 ゴタニアの面々も新居に移られ、徐々に新生活を営み始められて来た最中、ファーン辺境伯とブリテン伯爵、フランシス子爵から、是非来訪したいとの連絡が届きアラン様からファーン辺境伯のお迎えに随伴する様に命じられた。

 この日までにグローリア殿と各ワイバーンの搭乗スペースは改良され、オプショナルパーツにより取り外しの効く「戦闘用」「通常用」「荷物用」が用意され、今回は「通常用」が使用される事になった。

 「通常用」は長時間での空の旅を考え例のアクリル板を全面に使用し、乗り込むドアも透明でグローリア殿の場合は8名搭乗出来、ワイバーンは3名搭乗出来る。

 早速取り付けファーン辺境伯領に向けて、アラン様の搭乗するグローリア殿と自分を含むワイバーン5頭が出発した。

 4時間程掛けてファーン辺境伯領に着き、予め決めていた離着陸用の兵士訓練場に降り立つと、其処には出迎える為の人員とグローリア殿とワイバーン用の食事まで用意されてあった。

 流石だなと感心しながら、ガイの食欲旺盛な食べっぷりをお茶を飲みながら眺めていると馬車が数台やって来て食事と会談の用意が出来ました、と伝えて来たのでアラン様と共に馬車に乗り込み城へ向かった。

 ファーン辺境伯とそのご家族との和気藹々な食事会を終えて、アラン様とファーン辺境伯だけの会談が行われている間に、ファーン辺境伯の息子兄弟がグローリア殿とワイバーンの見学に来られた。

 兄君のレオン様は知的な風貌でこの国では珍しく眼鏡を掛けておられ、その眼鏡の奥の瞳を輝かせてグローリア殿と会話に熱中されている。

 弟君のカイン様は如何にも武人といった厳つい風貌で、先の戦いでもファーン辺境伯と城壁上で奮戦されたそうで、恐気もなくガイに近付き自分に先の戦いでのワイバーン隊の活躍と、どの様な能力をワイバーンは持っているのか?等の武人らしい質問をされ、自分も機密事項以外の内容を明かし会話を弾ませた。

 1時間程経ち、アラン様とファーン辺境伯が連れ立ってやって来てファーン辺境伯とカイン様がコリント領に向かい、レオン様が留守居役として残る事になった。

 レオン様はグローリア殿との会話を打ち切られた事と噂に聞くコリント領に今回行けない事を大変残念がり、次回は必ず同伴させて下さい!と強くファーン辺境伯に願い出られ、ファーン辺境伯は苦笑しながらアラン様に次の機会を設けて頂けるかな?と尋ねられアラン様は快く了承された。

 グローリア殿にファーン辺境伯と随行する家臣の方々が乗り、ワイバーンに荷物を乗せて行く手筈なのだが何故かカイン様は自分の後部座席に乗っている。

 カイン様がどうしてもガイに乗りたいと主張し、流石に操縦席に乗せられないので自分の後部座席に乗せる折衷案が採用され、カイン様も納得して後部座席で満足しているようだ。

 グローリア殿始めワイバーン隊は、いつもに比べゆっくりと離陸し比較的に低空を飛びコリント領を目指し出発した。

 カイン様は初めて見る空からの景色に感動され、興奮した感想を自分に述べられた。

 行きと同じく4時間程掛けてコリント領の玄関街に到着した。

 この玄関街の作業員や商人達はワイバーンの離発着には慣れているが、めったに無いグローリア殿の降着に注目はしていたが、だからといって作業の手を止めてまで見学に来る程では無いのか、それ程騒ぎにはならなかった。

 しかし、ファーン辺境伯とカイン様そして家臣の方々は、「魔の大樹海」の入り口と云うべき場所に街が有ることに驚かれ、その街を取り囲む様に敷かれた複数のレール線と駅舎を見て何に使用するのか?と訝しんだ。

 そのレールの上を豪華な車両を引く{モト・ローラー}が現れ駅舎に到着した。

 ファーン辺境伯領の方々は驚愕されながらも、貴族の威厳を保たれて車両にアラン様と共に乗られ生活ブロックの有るドームに向かわれ自分はガイに乗りグローリア殿達と一諸に軍事ブロックへと帰った。

 

 9月20日

 

 野外訓練をしているとファーン辺境伯領の方々が視察に来られた。

 直ぐに訓練を止めて挨拶に向かおうとしたが、アラン様が大声でそのまま訓練を続ける様にと命令されたので編隊飛行に戻り訓練を再開する。

 今現在訓練している内容は「連発グレネード」という魔法で、本来ドラゴンであるグローリア殿にしか出来ない「連発グレネード」を、ガイの火球に自分の「ファイアーボール」を融合させる事で可能にし、グローリア殿に比べれば威力は落ちるが、戦場における面制圧をワイバーン隊だけで出来るようにしてグローリア殿との連携で戦術の幅を増やす訓練である。

 ファーン辺境伯領の方々も感心した様子で訓練を視察され、他のブロックの視察の為に{モト・ローラー}に乗りドームに戻って行かれた。

 

 9月22日

 

 ブリテン伯爵とフランシス子爵そしてその家臣団が、例の豪華車両に乗り生活ブロックに到着されて、落成したばかりの「迎賓館」横の「ホテル」に向かわれた。

 我々「空軍」は上空から護衛していたのだが、あまり低空で近づくと馬が怯えてしまうのでブリテン伯爵達は気付かなかった様だ。

 驚愕しきりの一行は、先に来ていたファーン辺境伯と会い、互いの健勝を称え合った後「迎賓館」での宴に臨まれた。

 来賓の方々に正装のアラン様とクレリア姫様は挨拶を交わし、今後のお互いの親密な交流と物流及び技術の発展の為の、道路等のインフラ(社会基盤だそうだ)整備を積極的にコリント領で受け持つので、是非人材の提供と人的資源投入をお願いされ、ファーン辺境伯、ブリテン伯爵、フランシス子爵は、我等こそお願いすると快諾してくれた。

 その後、アラン様とファーン辺境伯、ブリテン伯爵、フランシス子爵は、「黒」の頭領であるエルヴィンそして前宰相ヴェルナー・ライスター卿を交え秘密の会談を行い、今後のセシリオ王国への対応と現宰相ヴィリス・バールケ侯爵への対処、そしてベルタ王国での立ち位置を話合ったらしい。

 

 

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