人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝) 作:ミスター仙人
4月12日①(人類銀河帝国 コリント朝2年)
帝国軍と李世民殿の軍は、寿春の西方で帝国軍艦隊を外郭に囲む形の陣を組み駐屯した。
崑崙皇国の中央軍は、何故か殆ど武装を整え無い様子で、将官クラスしか武装をしていない。
やがて視界に収まる程に近づくと、一番単純な陣形である横陣の陣形となって布陣した。
すると、中央軍から5人の使者と覚しき武将が進み出て、使者としての旗を掲げて此方にやって来る。
此方も使者を出して、両軍の中間地点で交渉させると、アラン様と李世民殿に通信で連絡が来て、アラン様と李世民殿の判断で5人の使者を、駐屯地に招き自分の乗る巨大空母『グラーフ・ツェッペリン』の大会議室にて、会談する事が決まった。
その内の2人が、『沈光』と『木蘭』であると名乗り、自分達が内々の使者である事を告げた。
そして、
「・・・実は、この軍は名目上こそ中央からの討伐軍であるが、大多数は元は『洛陽』の平民であり、朝廷の目を誤魔化して密かに、『洛陽』の平民と軍人が入れ替わり、此処に連れ出しているのだが、この軍の指導部である、第一皇子の『李建成』周辺には知らせていない。
なので、ある芝居をする事で指導部を謀り、負けた形を取り速やかに捕虜として頂き、一切の被害を双方出さない形でこの戦争を終えたいのです!」
と『沈光』殿と『木蘭』殿は言われ、『楊 大眼』、『蘭陵王』、『霍去病』からのそれぞれの内情を記した私信を李世民殿に渡した。
アラン様と李世民殿はその私信の内容を確認して、改めて我等が持つ現在の『洛陽』の内情と、我等の諜報組織が動いている状況を説明し、この会談に参加している、軍の上層部の面々と善後策を謀った。
そして、お互いに軍の代表者たる武将が、計3回の一騎討ちを行い、その勝敗を以って決着とし、戦闘を終わらせる事とした。
だが、恐らくは軍の指導部である、第一皇子の『李建成』周辺は納得しないであろうから、その時は直ちに拘束して軍権を『沈光』殿と『木蘭』殿が奪うと云う手筈となった。
約束とその条件を懐に、『沈光』殿と『木蘭』殿達5人の使者は帰られ、此方も状況変化に対応するべく駐屯地から出て布陣を変えた。
暫くして、敵中央軍から3名の武将が進み出て、その内の1人が名乗り出た。
「我は霍去病、崑崙皇国に於いて大司馬の位に立つ者だ!
我と武勇を競おうと云う者は、名乗り出よ!」
との名乗りに、いきなり李世民殿が応じた。
此れには、かなり全員驚いた様で、双方の軍の殆どがざわめいた。
「・・・此れは驚いた!
いきなりそちらの主将たる、第二皇子殿下が名乗り出られるとは、此れでは早々に決着してしまいますぞ?」
と霍去病が訝しげに問うと、
「・・・随分と舐められたものだな、この私が血筋だけで軍を率いれているかどうか、確かめて見るがよい!」
と堂々と李世民殿が言われたので、霍去病殿も武者震いして、静かに槍を構えた。
それに対して、李世民殿は見事な剣を構え、銅鑼での開始を待った。
因みにこの状況は、空中に浮かんだ超巨大立体プロジェクターにて、全軍がライブで鑑賞出来る様になっている。
「グワワワワーーーーーーーン!!」
と銅鑼が鳴らされると、双方一気に距離を詰めて、己の得物で斬りかかる!
先ずは霍去病殿が、槍で以って李世民殿の得物を絡め取ろうと技を繰り出すが、その技を見極めて李世民殿は、上手く剣で槍を捌く。
そう来るのが判っている李世民殿は、霍去病殿の隙を見出して懐に潜り込み、接近戦に持ち込もうとする。
一方霍去病殿は、槍の利点である距離を活かし、決して李世民殿が懐に入ってこない様に、隙無く応じる。
そんな事が、30合に及びいよいよ崑崙皇国の武術に於ける奥義を双方が放ち合う!
だが、双方崑崙皇国の武術に於ける頂点に近い存在なので、お互いの武技が判ってしまう。
このまま千日手になるかと思われたが、突然李世民殿が距離を取り、今までの構えを止め、我等のよく知るコリント流剣術の構えをとった。
その霍去病殿にとって未知の構えに、戸惑った霍去病殿は李世民殿に思わず問うた。
「そ、其の構えは?」
それに対し、李世民殿は落ち着き払って答えた。
「此れこそ、私が最高の武人であると認めた方の武術だ、流派はコリント流剣術!
このコリント流剣術の奥義の一つで、お前を打ちのめしてやろう!」
との宣言に、霍去病殿は怒った様で、
「それでは、見せてみろ!刺突!」
と神速と云うべき速度の突きを李世民殿に放つ!
しかし、李世民殿は慌てず、
「コリント流剣術奥義『エターナル・ストリーム』!」
と叫び、霍去病殿の神速の槍に向かう!
其れは、下段からの跳ね上げからはじまった。
アッサリと槍を跳ね上げられ、一瞬の驚愕を示した霍去病殿は直ぐに李世民殿からの打ち下ろしを受け防御に入る。
そのまま中段突き、横斬り、柄払い、上段斬り、足払い、下段斬り、中段突き、肘打ち、柄落とし、と続く。
その間、ひたすら霍去病殿は防御するしか無く、多量に冷や汗をかき始めた様だ。
そう、これこそコリント流剣術奥義『エターナル・ストリーム』!
この奥義は、基本5回ずつのコンボ技で、流れる様に繋げる事で無限に繰り出すことが出来る。
相手が防御では無く攻撃に斬り返そうとすると、一方的に斬られ続けるのだ。
案の定防御に徹する事に霍去病殿はならざるを得ず、結局50回も斬られ続け(実際は峰打ち)て倒れてしまった。
そして再び銅鑼が鳴らされ、李世民殿の勝利が告げられ、全軍が拍手をして双方の健闘を祝した。