人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝)    作:ミスター仙人

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4月の日記④(人類銀河帝国 コリント朝2年)《岳飛殿VS蘭陵王殿》

 4月12日②(人類銀河帝国 コリント朝2年)

 

 李世民殿と霍去病殿の一騎討ちの興奮が冷めやらぬ中、次の蘭陵王殿が名乗り出た。

 

 「我は、高長恭!

 字は、『蘭陵王』と云う!

 崑崙皇国に於いて右将軍の位を授かっている。

 我の剣技を見たい者は、挑んで参れ!」

 

 其れに対して岳飛殿が、戟を扱いて応じた。

 

 「俺こそは『岳家軍』を率いる、岳飛だ!

 噂に聞く『蘭陵王』の剣技と是非手合わせしたい!

 宜しく頼む!」

 

 との名乗りに、蘭陵王殿は嬉しそうに、

 

 「こちらこそ、有り難い!

 軍を率いては、崑崙皇国随一と云われる岳飛殿の武勇。

 一騎討ちにて、確かめさせて貰う!」

 

 と言い、背に背負っていた見事な双剣を煌めかせながら引き抜いた。

 

 やがて1試合目の時と同様に、銅鑼での開始を待った。

 

 「グワワワワーーーーーーーン!!」

 

 と1試合目の時と同様に銅鑼が鳴ったが、1試合目と違いゆっくりと双方間合いを測って、相手の様子を探る。

 暫く様子を探り合い、構えを変えて間合いを積める。

 得物の長さも有り、岳飛殿が戟を突く形で蘭陵王殿の腹に向けると、ヒラリと空中に舞を舞う様に蘭陵王殿が飛ぶ!

 次の瞬間蘭陵王殿の双剣が閃き、頭上からの攻撃を岳飛殿が得物で捌く。

 信じ難い事に蘭陵王殿は、一度地面に着地すると、圧倒的な滞空時間の中でかなりの回数双剣で、岳飛殿に斬りかかった。

 だが、流石は岳飛殿。

 其れに対して、落ち着いた様子で、体幹を崩さずに冷静な態度で、防御している。

 業を煮やした蘭陵王殿は、距離を取って対峙すると身体を独楽の様に回転させて、仕込んでいた暗器である流星錘を凄まじいスピードで投げた!

 岳飛殿は、意表を突くその攻撃も、己の得物である戟の刃先の鈎部分で絡め取り、流星錘を蘭陵王殿から奪うと、それをそのまま蘭陵王殿に投げつけた。

 それに意表を突かれたのか、蘭陵王殿は姿勢を崩した、その僅かな隙を岳飛殿は見逃さない!

 己の得物である戟を凄まじい勢いで回転させると、その勢いのまま蘭陵王殿に叩きつけた。

 姿勢が整わない蘭陵王殿は、たちまち双剣を取り落とすと、大きく後退して徒手空拳での構えを取った。

 其れに対して岳飛殿も、己の得物である戟を大きく後方にいる自分の部下に投げ渡し、自身も徒手空拳での構えを取った。

 

 双方が、武器を使わない形での勝負に切り替わった為に、ワザワザアラン様が得意の土魔法で、即席の舞台を作り上げ、双方に言われた。

 

 「どうせなら武装を解いて、道着になって思いっきり組み討ちするが良い!

 徒手空拳も双方得意そうだし、気兼ねなく納得するまでやり合うが良い!」

 

 両者納得したらしく、10分程の着替えを済ませると、お互い動きやすい服装となった。

 改めて銅鑼が鳴らされ、両者はそれぞれ得意の拳法の構えを取った。

 

 蘭陵王殿は、まるで演舞を舞う様な優美さを備えた、オリジナルの『八卦掌』に『太極拳』を加えた動きを見せた。

 対して、岳飛殿は『八極拳』と『形意拳』を加えた、これまたオリジナルの構えを取った。

 

 先ずは、蘭陵王殿が双脚からの見事な蹴りを放ち、そのまま見事な足技で、岳飛殿に攻撃させる暇を見つけさせない様に、押し続ける。

 だが、そんな華麗な攻撃を岳飛殿は少ない動きで避けて、処々で有効な一打を放とうとするが、中々蘭陵王殿がその素早い動きで、捉えさせない。

 この一騎討ちもまた千日手となりかけたが、またもその均衡を破ったのは第一回と同じくコリント流であった。

 やにわに、岳飛殿が蘭陵王殿から大きな距離を取り、我々のよく知る帝国軍の正式格闘術であるコリント流格闘技の基本構えを取った。

 恐らくは一度も見た事が無いであろう蘭陵王殿は、崑崙皇国には無い格闘技術に面食らった。

 

 「・・・その構えは・・・?」

 

 蘭陵王殿は、その美女の様な秀麗な顔に驚愕した表情を貼り付けて、狼狽えていた。

 その様子に、岳飛殿は、

 

 「この構えこそ、俺よりも強いと認めるアラン皇帝陛下からの直伝である帝国軍の正式格闘術であるコリント流格闘技の基本構えだ!

 いざ、この構えから放つ奥義を受けてみよ!」

 

 との堂々たる宣言に、蘭陵王殿は武者震いをしながら応じた。

 

 「それでは、我の最高の武技で対抗して見せるぞ!」

 

 と言うが早いか、凄まじい勢いで岳飛殿に突進して来た。

 

 そのままぶつかると思った瞬間、突然蘭陵王殿は縦回転すると、足での蹴りを上下から凄まじい勢いでほぼ同時に放った!

 

 《昇龍脚に降龍脚!》

 

 以前同じ技をミツルギ殿から披露されたので、自分にはどの様な技か判ったが、かなり強烈な技で、上下から龍の顎の様に相手の頭を足先と踵で挟む形に蹴る技で、これを諸に喰らえば殆どの者は一発KOだろう。

 

 だが岳飛殿は慌てずに、両手をX字に構えた。

 

 《あ、あれはコリント流格闘技の奥義の一つ『八方拳』!》

 

 そして蘭陵王殿の放つ昇龍脚と降龍脚が岳飛殿の頭を捉えたと見えた瞬間、目にも留まらぬ速度で岳飛殿の両腕が消えた!

 すると蘭陵王殿は、その蹴りを放った姿勢のまま硬直し、やがて崩れ落ちた。

 

 全く、李世民殿といい岳飛殿も、それ程長くアラン様からの武道指導しか受けて無いのに、あっという間に奥義までたどり着いてしまった。

 才能って奴は凄いと実感した。

 

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