人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝)    作:ミスター仙人

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4月の日記⑩(人類銀河帝国 コリント朝2年)《長安での補給》

 4月21日(人類銀河帝国 コリント朝2年)

 

 2日前にドローンの情報から対応を決め、その日の内に帝国軍と崑崙皇国軍は崑崙皇国の旧都『長安』に向けて出発し、洛陽には守備部隊50万人を置き洛陽とその周辺の平定を『沈光』殿と『木蘭』殿に任せた。

 長安では、則天武后殿と妲己殿から出迎えられ、準備して貰っていた改良版『宝貝』である『躯体』を受け取った。

 そして長安の城址での会議室で、作戦会議を行う。

 例の地下大回廊の終着点である『敦煌』の状況の変化がモニターに示された。

 洛陽での牛頭の魔物の軍隊が暴れまわっている間に、洛陽の上空に起こっていたのと同様に、黒雲が漏斗状に立ち込める状態となっていた。

 どうやら洛陽に存在していた『モノ』が敦煌に運ばれているようだ。

 その『モノ』とは、遥か過去に神々が『蚩尤』を封印する時に使用した、神より預けられた代物だそうだ。

 更に詳しく聞くと、

 

 名は『応龍』

 

 神々から説明され、碑文として刻まれた言葉の一部には、

 

 「・・・遥か未来、何れ『蚩尤』を始め『古きものども』がこの地に災いを齎す。

 それに対抗し得る、『神機』の一体を此の地に残す。

 願わくば其の時までに、正当なる『乗り手』が現れる事を望む・・・」

 

 と記されていたそうだ。

 だが、結局崑崙皇国には、その正当なる『乗り手』が現れる事は無く。

 代々の皇帝家が、神々より預かる形で『応龍』が封じられた巨大な岩を、洛陽にある『紫禁城』の地下に安置していたそうだ。

 ただ、「これは!」という人物達には、試しの意味で安置している所に出向かせ、確認していたらしい。

 結局その目論見は果たされる事は無かったが・・・

 

 その話しを聞いて自分は、思わずアラン様を見た。

 すると同時に自分を見たアラン様は大きく頷いた。

 息子が誕生し、1周間程経って賢聖モーガン殿が『アポロニウス皇太子殿下』と同時に産まれた、4人の赤子に対して『星の涙(スター・ティア)』を渡しながら、言われた言葉が思い出される。

 

  「・・・その『星の涙(スター・ティア)』は、貴方方の子供と世界各地に眠るそれぞれの『神機』との道標になる様にカスタマイズしてあるわ。

 ある程度の年齢になって、その『星の涙(スター・ティア)』を介して、それぞれの専用武器たる『星剣(スター・ソード)』を自身の能力で発現出来る様になれば、『神機』とのダイレクトリンクが確立するわ。

 その時を問題なく迎える為に、子供達の乗騎たる『神機』を他の者に奪われない為に、貴方方は親として協力してね!」

 

 つまり、その『神機』の一体である『応龍』が見つかったのだ!

 まだどの子供の『神機』であるかは判らないが、何れ落ち着けば確認出来るだろう。

 

 そしてここからは推測になるが、恐らくこの『応龍』が封じられた巨大な岩を使って、『蚩尤』が封印されている巨大な塚を何らかの形で壊し、何者かの意図として『蚩尤』を復活させる目的では無いだろうか?

 

 作戦会議の流れとしては、おおよその処、敵の意図はそのようなもので、其れに対処する為に、此方としては現在考えうる、最強の布陣で望む事にした。

 

 なので暫定的に崑崙皇国の最高権力者である則天武后の認可の元、崑崙皇国の守護竜たる八大竜王を全て参戦させる事と、改良版『宝貝』である『躯体』5体を全て投入させる事が決定した。

 

 そしてこの長安で補給を整え、考えうる最強の布陣で敦煌目指し出発する。

 

 4月25日(人類銀河帝国 コリント朝2年)

 

 かなりの強行軍で、対『蚩尤』決戦部隊が進軍している。

 正直な処、もし本当に『蚩尤』が復活して戦う事となれば、普通の軍隊が対抗出来る筈は無いので、ある程度『古きものども』にダメージを与えられる者でなければ意味が無かった。

 然も今現在、我等帝国軍には重要な戦力であるドラゴン達がいないのである。

 

 アトラス殿とグローリア殿は、産んだばかりの卵を交互に温めながら、ドラゴンとしての特別な魔力を毎日交互に注ぎ込んでいるので、帝都コリントの専用の巣から暫く動けないし、ガイやサバンナ達15頭のドラゴン達とワイバーン達も進化する為のコクーンに入ったままなので、帝都コリントから一歩も出られない。

 

 セリーナ・シャロン両准将も、諸事情で帝都コリントを出られずにいる。

 こうやって考えて見ると、帝国軍は現在全力を出せるとは、とてもではないが言い難い。

 

 だがその代わりに、崑崙皇国軍の最精鋭と言って良い面々が勢ぞろいしているので、まあ贅沢は言えない。

 その様な事を考えながら、敦煌の有る方向を臨む。

 昨日から見えて来た例の黒雲は、より禍々しさを増し、時折雷鳴が煌めく様にまたたいている。

 

 すると何やら、

 

 「ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ」

 

 と云う鳴動が進行方向から聞こえて来る。

 その不吉な鳴動に嫌な予感を抱き、軍の上層部は自分の乗艦である巨大空母『グラーフ・ツェッペリン』の大会議室で集まり、敦煌を偵察している超高性能ドローンからの情報をモニターで確認する。

 

 すると敦煌に有った筈の巨大な塚が、ものの見事に割れて倒れている。

 然もその周辺には、明らかに人では無い遺体が同心円状に倒れていた。

 その遺体は、此方が予想していた通りに全てが牛頭の魔物で、皆、塚の方向を向いて死んでいる様だ。

 

 自分の脳裏には何時ぞやの『インスマウス』人と云う半魚人の行動と同じ、生物としての根源的な違和感を感じざるを得なかった。

 

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