人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝) 作:ミスター仙人
4月26日②(人類銀河帝国 コリント朝2年)
凄まじい振動が起こったが、全ての軍人が陸上戦闘艦に乗っているので直接の被害は無いが、周辺各国には地震被害が相当あったろう。
「各艦、バリアー全開!
クレーターから距離を取れ!
『躯体』は戦闘準備!」
とアラン様が緊張した指示を発した。
そしてクレーターから、途轍も無い足音が聞こえて来た。
「ズン、ズズン、ズズズン、ズシーン、ガ、ガガ、ガガガ!」
と、後半はどうもクレーターを登る為の手掛かりを掴んでいる音らしい。
暫くすると片手がクレーターの淵を掴む様に現れた。
次のタイミングには、手が3つ現れ、更に次のタイミングには、6本の腕が見え巨大な角も見えた!
「一斉斉射、撃て!!」
とのアラン様の号令で、全ての帝国艦隊の主砲群が火を吹いた!
最初の一射は『ヴァルキリージャベリン』弾で、『蚩尤』の防御障壁の類を解除させ、各種の魔法弾を浴びせて、『蚩尤』の弱点を早期に探り出そうとする。
しかし、『ヴァルキリージャベリン』弾こそ効いた様だが、火系、氷系、雷系等の魔法弾を喰らっても『蚩尤』はたじろがない様子で、とうとう全身を地上に表した。
デカイ!今までの『古きものども』と比べても2割増しの、6キロメートルは有る巨体と、四目六臂で人の身体に牛の頭と鳥の蹄を持つ姿。
更に、崑崙皇国風の鎧と手には、戈(か)・矛(ぼう)・戟(げき)・酋矛(しゅうぼう)・夷矛(いぼう)・剣が握られている。
この巨体で武器を振るうとは、ある意味インチキの様な気がするが、そんな事に抗議しても現状が好転する訳では無論無い。
この化け物が好き勝手に動き回らなくする為に、予め決めていた方策の一つを取られる。
「八大竜王!
包囲陣『八陣八卦炉』発動!
『蚩尤』を閉じ込めて、行動を抑制しろ!」
と李世民殿が八大竜王に号令し、八大竜王がそれぞれの方向から、巨大な半透明な方形の壁を出現させ、周囲200キロメートルに渡って戦場を限定させた。
この包囲陣『八陣八卦炉』とは、遥か昔の仙人達が用意していた対『蚩尤』用の方策の一つで、『蚩尤』の妖力を半分にするそうだ。
『蚩尤』も驚いたのか自分の手足の動きの鈍さに気付いた様で、怒りの表情を浮かべている。
その『蚩尤』に向けて『躯体』達が躍り掛った。
霍去病殿が憑依している躯体『哪吒太子』が、乾坤圏を『蚩尤』の顔面に飛ばし『蚩尤』の4つの目を潰そうと狙い、火尖鎗と砍妖刀で接近戦を挑んでいる。
岳飛殿が憑依している躯体『斉天大聖』が、筋斗雲と云う雲に乗って空を飛び周り、如意棒という『宝貝』で伸縮自在に『蚩尤』を叩きまわる。
蘭陵王殿が憑依している躯体『二郎真君』が、斉天大聖と同様に空を飛ぶ哮天犬に乗り、三尖両刃刀を振り回し、『蚩尤』の持つ数々の武器と打ち合い、他の者へのサポートをする。
楊大眼殿が憑依している躯体『関帝聖君』が、青龍偃月刀『冷艶鋸』を上段に構え、正面から大上段に斬り込んだ。
他の躯体が、蚩尤の相手をしているので、諸に蚩尤はその攻撃を受けてしまう。
趙匡胤殿が憑依している躯体『毘沙門天』が、右手に宝塔を掲げ周りを照らす様に光りを放ち、左手の宝棒で蚩尤の足元を払う。
此の様に、各躯体がそれぞれの役目通りに、行動することで徐々に蚩尤はダメージを蓄積していった。
「ガア嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼!」
との咆哮を上げて、蚩尤は追い詰められて行く自分自身の全身から凄まじい炎を吹き上げた!
その炎のあまりの熱さに、各躯体は一時後退したが、その各躯体を追うように炎は蛇の様にうねって進んでくる。
其れに対して、予め用意していた方策、其の二を使う事にする。
「『カイザー砲』エネルギー充填90パーセント、セーフティーロック解除、圧力、発射点へ上昇中。
エネルギー充填100パーセント、敵目標へ軸線合わせ、ターゲットスコープオープン、電影クロスゲージ明度20。
最終安全ロック解除、エネルギー充填120パーセント、対ショック、対閃光防御。
『カイザー砲』発射!」
そう、帝国軍の各艦艇のエネルギーの余剰分を結集し、総旗艦『ビスマルク』は、密かに『カイザー砲』の準備を整えていたのだ!
「ドオオオオオーーーーーーン!!!」
と云う凄まじいエネルギーは、轟音を伴って蚩尤目掛けて突き進み、ものの見事に捉えた!
「イエrhbgスghンs!」
と蚩尤は意味不明な雄叫びを上げて、その凄まじいエネルギーに対抗しようとする。
だが『カイザー砲』の威力に如何に蚩尤と云えど簡単に対抗出来る筈も無く、吹き飛ばされてしまった。
しかし、流石と言うべきか蚩尤は、その『カイザー砲』の直撃を喰らったにも関わらず、猛然と立ち上がって来た。
だがやはり無傷とはいかず、6本の腕の内3本は無くなり、全身を覆っていた炎も消し飛ばされた。
眼も4目の内2目も潰れ、戦闘力が激減したのが見て取れた。
「家雨hp座ypZ@エrjy@↓ ツwyg オ!!」
何やら蚩尤が大きな声を上げて、残った3本の腕を上空に向けて差し上げた!
すると突然その3本の腕を差し上げた上空が歪む初め、黒い穴が広がった!
《あ、あれは?!》
その黒い穴に、我等帝国軍は見覚えがあった。
其れは半年前の、対スラブ連邦との首都『エデン』での最終決戦での出来事。
あの時、『ラスプーチン』は『システム・エキドナ』を使い、空間に巨大な穴を開けようとしていたのだ。
其れに気付いた我等は、『カイザー砲オーバーブラスト』を以って吹き飛ばす事に成功した。
《不味い!》
この事態は、事前に行っていた想定を越えている!
こんなに簡単に空間への穴を開けられるなど、誰も考えていない!
図らずも、此の場にいる者達は残らず、唖然とした表情をして事態を見ている事しか出来なかった。