人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝) 作:ミスター仙人
4月27日(人類銀河帝国 コリント朝2年)
昨日、今回の事態の元凶たる『蚩尤』を、何とか妖怪達の自己犠牲のお陰で、空間の穴(次元の穴)に叩き落とす事が出来た。
その後、蚩尤が復活した塚の有った地下を確認すると、封印解除に使用した紫禁城からの『神機』が封入された岩を回収し、自分の乗る巨大空母『グラーフ・ツェッペリン』に積み込む。
他の痕跡や物品を探索したが、此れ以外の物は一切無かったので、周りに有る砂岩で出来た山脈を帝国艦隊の砲撃によってクレーターの穴埋めに使い、周囲一帯を更地に変えた。
4月30日(人類銀河帝国 コリント朝2年)
長安に帰還し、諸々の状況の整理と今後の方針を決める大会議を行う。
長安自体は、周辺の村落はかなりの被害があったが、洛陽やその周辺程の被害は無かった。
だが、住民を『南京』に移住させて行っていたので、かなり寂しくなった様で街の喧騒は無くなっていた。
なので今後発展するであろう、『南京』に則天武后と妲己殿にも居を移して貰い、政治・経済の崑崙皇国に於ける制度の見直しとインフラ整備の見直しを図る事になった。
更に、今更の様ではあるが今後の帝国との外交を考える事に話しが行った。
しかし、こんなに元の崑崙皇国から政治体制を変えようと云うのだ、いっその事古臭い政治から脱却する為にも、新機軸の政治体制である帝国のシステムを取り入れる提案を、アラン様と帝国上層部が持ち掛け、移行期間を設けて10年程のスパンを考え、徐々に平民達に浸透させる事にして、崑崙皇国の上層部は帝国の役職を兼任させて慣れて貰う事になった。
つまり、称号等は従来の崑崙皇国のものを踏襲するが、新たに帝国での華族の称号も与えられ、事実上は将来の帝国への統合を目指す事となったのだ。
そういった細々とした政治の話しは、双方の高級官僚達が落とし所を構築する事になり、我等軍人達は、『蚩尤』との戦役の確認をする事になった。
妲己殿とその配下が、洛陽の紫禁城に出向き諸々の痕跡等を精査した所によると、どうやらかなり以前の皇帝の代から、密かに宦官を中心に『蚩尤』による洗脳と乗っ取りが始まっていたらしい。
らしいと云うのは、6ヶ月位前までは人間であった為か、書類等の痕跡は拾えるのだが、それ以降は一切の記録が無くなり、この頃からは洛陽にいた皇帝であった『李淵』初め大臣とその家族や、宦官達はどうもあの牛頭の魔物と入れ替わっていたようなのだ。
何故ならこの時から、食事の内容が激変したものになっていたのが、食料の納入業者の出納帳から判ったからだ。
何とも悍ましい話しだが、今回の戦役で『蚩尤』のくびきから崑崙皇国が永遠に解き放たれたのは、結果的に良かったのかも知れない。
このまま知らず知らずの内に、全ての崑崙皇国の上層部が『蚩尤』の眷属たる、牛頭の魔物と入れ替わられていたら、どれ程の人民への被害が起こっていたか想像も出来なかったからだ。
然も則天武后と妲己殿が、洛陽の様子がおかしい事に気づき、李世民殿達と重要な『宝貝』を長安に持ち出した事で、最悪になる前に対抗出来る素地が出来て居てくれていたのは、大変有り難かった。
如何に、アラン様と帝国の精鋭がいち早く駆けつけていたとは言え、反抗への素地が無ければどうしようもなかったのだから。
結局、総括としては今回の戦役は、『蚩尤』による崑崙皇国への侵略であり、その過程で皇帝家も皇帝と第一皇子始め、多数の皇族と貴族達が殺されてしまったが、第二皇子の李世民殿は生き残って居られるし、有力武将の人々はその大多数が無事に健在である。
そして多少の被害はあるが、兵士達も軍団単位で無事だから、特に困らない。
以上を以って首都と国体は変わる事になるが、帝国の支援を元に崑崙皇国はやり直す事が決まった。
そして暫くの準備を長安と洛陽で行い、新たな首都となる『南京』に向け出発する事になった。
未公開設定集③
惑星アレスの衛星群(月含む)の正体
そもそもの『航宙軍士官、冒険者になる』の始まりとなる、アランの乗っていた戦艦[イーリス・コンラート]が超空間航行中に受けた攻撃と云うのは、この月に施されていた防衛システムからのものです。
この防衛システムは、調整者達が用意していたもので、異次元からの侵略者である『バグス』が無理矢理この宙域に侵攻してきた場合の次元震を感知し、それを自動攻撃する様になっています。
もし、[イーリス・コンラート]が超空間航行では無く、通常空間での侵入であったならば、この攻撃に晒される事は有りませんでした。
実はこの攻撃は、[イーリス・コンラート]侵入以外にも過去から行われていて、主な処で例の『ラスプーチン』が生まれる契機となった金属柱も同様に攻撃され、『バグス』達は全滅したが船体の一部は惑星アレスに不時着しました。
そしてアラム聖国にも、サイヤン帝国の船体の一部が不時着しています。
それ以外にも、月とその周辺の衛星群には、様々な調整者の遺産が眠っていて、遠くない未来でのアラン達との接触を待っています。