人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝)    作:ミスター仙人

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閑話74『カレンちゃん日記」㉛(カレンちゃん、新生『ルドヴィーク』ドームに帰還する)

 6月18日(コリント朝元年)

 

 私達は、魔導列車に乗ってスターヴェーク公国の新生『ルドヴィーク』ドームに向かったの。

 何でも生まれ変わったスターヴェーク公国を見て欲しいと、スターヴェーク公国を統治管理している上級官僚の人達から、通達が有ったんだって。

 たった3泊4日の旅行だけど、何といってもクレリア様は妊婦だから、特注の専用魔導列車で赴くんだけど、一緒に行動する医療関係者30人、クレリア様専用の女性親衛隊20人が同乗して、そのついでに私達スターヴェーク出身の学生を連れて行ってくれるの。

 特注の専用魔導列車は、本当に凄く豪華でまるで震動がしなくて食事を摂れる専用車両も有って、出される食事も帝都コリントのホテルや一級のレストランと同じ料理が用意されてるから、美味しかった~。

 先ずベルタ公国の公都に着いて、スターヴェーク公国出身者から出迎えを受けてから、一気に新生『ルドヴィーク』ドームに向かったの。

 魔導列車から見える車窓には、綺麗な田園風景が広がってるよ。

 今から3年前に私達が、アロイス王国から逃げる様に脱出して、馬車と歩きで見ていた旧ベルタ王国の荒廃していた村や街道は、綺麗になってインフラ整備が行き届いていて、街や村を繋ぐ道も普通に人々が歩いているのが見える。

 以前は、盗賊や魔物が出没して、とてもじゃないけど、隊商や冒険者に同伴して貰わないと、街道は歩けなかったのに、隔世の感が有るね。

 元の国境線もスピードを緩めずに進み、一路新生『ルドヴィーク』ドームを目指してるんだけど、この辺も変わったよねー。

 以前は、各国の国境線には駐屯している兵士と、厳重な関所が有って何時間も厳格な審査が繰り返されたのに、今ではそんな物は一切なくて、横に舗装されてる高速道路を走っているトレーラー達も、減速せずに行き交ってる。

 こういった姿を見てると、元のベルタ王国とスターヴェーク王国は全て過去になって、人類銀河帝国として一つの国として統一されたんだねと納得しちゃった。

 1日掛かって、新生『ルドヴィーク』ドームに到着したら、地域住民から熱烈歓迎をクレリア様は受けたんだけど、何しろ妊婦だから豪華な車両で今夜宿泊予定の、ルドヴィーク迎賓館に案内されたわ。

 私と友達は、別行動させて貰って、元の自分たちの家が有った場所に向かったの。

 だけど、元の家が有った場所には、既に立派な工場が出来ていて、中では次々と魔導列車用の部品やレールが作られてる。

 そうだよね、何時までも古びた工房兼家屋が、壊されもせずに残ってる筈無いもんね。

 自分でも判らなかったけど、無性に悲しくなって涙が溢れてきて、一緒に来たテルちゃん達も当時の事を思い出したのか、私と同様に泣いているの。

 そんな風に、私達が工場前で泣いている姿に、工場の従業員の人達が驚いたらしくて、工場内の大食堂に案内してくれたの。

 すると、厨房から一人の女性が出てきて、

 

 「ア、アンおばさんなの?お久しぶりです」

 

 と私とテルちゃんは、慌てて頭を下げると。

 その女性は、凄く嬉しそうに私達に抱きついて、

 

 「まあ、まあ、すっかり大きくなっちゃって、カレンちゃんにテルちゃんも元気そうで良かったわ!」

 

 と言ってくれたの。

 元の家近くに住んでいて顔見知りのアンおばさんが、工場内の大食堂に勤めて居て、休み時間になったから私達に当時から今までの状況を、お菓子を出しておやつの時間に教えてくれたの。

 

 私達がルドヴィークを脱出した後、かなりの人数の亡命脱出だったから、アロイス王国は残ったルドヴィーク住民に対して、監視活動を徹底し始めて締め付けが凄かったんだって。

 税金も元の4割から7割の徴収が続いていて、とても辛くて餓死しそうな人が続出して、アロイス王国の出先機関に訴え出る人と一緒に、アラム聖国に連行される人が大勢いたらしいの。

 そんな地獄の様な日々が1年半程続いて、いよいよどうしようも無くなって、明日の希望が欠片も見えなくなり何時死ぬか判らなくなっていくと、ある噂が聞こえて来たんだって。

 それは、旧スターヴェーク王国の王家スターヴァイン家の生き残りであるクレリア王女が、アロイス王国軍を遥かに凌駕する精鋭軍を率いて、アロイス王国に攻め寄せていると云う噂。

 結局その噂は事実で、噂が立った次の週には現実にルドヴィークに現れてくれて、アッサリとルドヴィークを解放してくれて、一時ルドヴィークを要塞化してアロイス王国との一大決戦を勝ち抜き、アロイス王国を打倒してスターヴェーク王国を復興してくれたの。

 そしてクレリア様とアラン様は、圧倒的な物流による支援と、量産ボットとアラム聖国の捕虜を働かせて、大規模なインフラ整備を行い、ルドヴィークは生まれ変わり、新生『ルドヴィーク』ドームへと進化して、この工場もその時に出来たんだって。

 

 そんな昔話を教えて貰ったので、オバサンと互いに良かったねと喜び合って、クレリア様の居られる迎賓館に戻ったんだ。

 そのまま、クレリア様に戻った挨拶をする際にこの報告をしたら、クレリア様と側近の方々も涙ぐんでくれて、元の住民達への慰労を、新生『ルドヴィーク』ドームを管轄している官僚達に命じ、帝都コリントへの歓迎ツアーを考えようと仰っしゃられたの。

 

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