人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝)    作:ミスター仙人

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閑話77『カレンちゃん日記」㉞(カレンちゃん、高等部への準備と『マリオン』との出会い)

 7月1日(コリント朝元年)

 

 9月1日から、高等部に移る事になるから新しいドームに通う事になるの。

 その準備で、色々と大変になってるんだ。

 私は、何時の間にかアスガルド城の女官になるのが、半ば当然の様になっていて、他の親友達もそれぞれ歩む道が違うから、基礎分野のカリキュラムは一緒だけど、専門分野のカリキュラムは別になるんだよね。

 テルちゃんは、お父さんとお母さんの関係で服飾とアクセサリー分野だし、タラちゃんは服飾と経営学の分野、サラちゃんは何といってもお父さんのレストラン『豊穣』の暖簾分けで、スイーツ専門店のパティシエを目指すべく、料理分野と果実研究の探究分野を中等部の頃から頑張ってる。

 他の面子もそれぞれ目指してる分野は違うんだけど、みんな近くに居るので安心だよ。

 ただちょっと違うのは、テオ君なんだ。

 テオ君は私より1歳年下なんだけど、前々からアラン様の親衛隊入隊を目指していて、帝国士官学校に9月から入学するんだって。

 妹のエラちゃんも、小学部で神童の誉れ高くて9月からは中等部で勉強するんだって、凄いなあー。

 帝国が発足してから半年しか経って無いけど、人口が何倍にもなってるから帝国全体の就学人数もべらぼうに増えてるの。

 だから、優秀な生徒も多くいるから、これからは凄く優秀な他の生徒との競争が起こるので、帝都コリント生え抜きの生徒としては、各国の優秀な生徒に負ける訳にはいかないんだって、生徒と云うより教師が最近は目の色を変えて熱心になってるから可笑しくなっちゃう。

 

 中でも『魔法大国マージナル』から9月にやって来る、『魔法学校』の生徒に対して凄い敵愾心を抱いてるんだって。

 何でも何百年に渡って西方教会圏に於いて最高峰の学府で、輩出して来た学者や魔法使いは数知れず、そもそも賢聖モーガン様が創立者だから、優秀なのは当たり前なんだけどね。

 相手の立場から考えてみると、『魔法学校』の方が大変なんじゃないかな?

 帝国の『学校』なんて、創立してから僅か3年しか経ってないのに、あれよあれよと云う間に西方教会圏に於いて最大の学業の組織になった挙げ句、魔法分野だけでも賢聖モーガン様がオブザーバーとなっていて、各国の宮廷魔術師も率先して雇用されている。

 多分、何がなんだか判らない内に自分達が過去の遺物みたいな扱いになっていて、憤慨してるんじゃないかな?

 だけど、西方教会圏の流れが帝国に流れているのは、どうしようも無い事実で、ルミナス教会も全面的に帝国を支持しているから、後は帝国に協力するしか無いと思うけど、一部の『魔法学校』の教師と生徒は認められないんだって。

 だから、アラン様とともに陸上艦隊に乗って帝都コリントにやって来るらしいの。

 

 7月10日(コリント朝元年)

 

 アラン様と西方教会圏を歴訪して来た帝国艦隊が帝都コリントに凱旋したの。

 帝国民が凄い人数で全艦隊の到着を大歓声で迎えて、人々は帝国旗たるコリントの紋章を縫い付けた旗を盛んに振ってる。

 私も義姉のミーシャさんと母ちゃんとで、みんなを出迎えてたら、兄ちゃんが直ぐに私達に気付いてこっちにやって来た。

 耐えられなくなった義姉のミーシャさんが、兄ちゃんに向かって歩いて行って大きく両手を広げて抱きつきに行ったから、私達も慌てて後を追って転ばない様にサポートしたんだけど、兄ちゃんがシッカリと抱きしめ返してくれたから、問題無かったよ。

 そして用意していた、送迎用の車両に全員で乗って、アスガルド城の目の前に有る家に帰ったの。

 

 頻繁にモニター越しに連絡を取り合っていたから、然程寂しいとは思わなかったけど、義姉のミーシャさんは想像してたより不安だったみたいで、日頃は気丈な態度だったのに、時折涙ぐんであるから驚いちゃった!

 やっぱり女性にとって妊娠するって、情緒不安定になるって病院や学校でも聞かされてたから、大変なんだね。

 

 爺ちゃんお婆ちゃん達が、シルバー何とか(正直幾つも有りすぎて全く把握出来ない)の会から帰ってきて、親友達も集まってくれて、家で大宴会になったの。

 

 宴もたけなわと云う時に、突然家のチャイムが鳴って、私が玄関に行って来客を出迎えたら、玄関に前アスガルド城の専用送迎車が横付けされていて、チャイムはその運転手さんが鳴らしたみたい。

 何だろう?と疑問に思ってたら、兄ちゃんが慌てて玄関に来て、

 

 「てっきり明日だと思いましたが、本日来たんですか?」

 

 と運転手さんに兄ちゃんが聞くと、運転手さんは、

 

 「いえ、これから学校の寮に向かうのですが、アトラス殿とグローリア殿を含むドラゴンを指揮する空軍の長である方の邸宅が近くに有ると知って、表敬訪問したいと突然言われましたので、急遽来訪する事になりました。

 ご迷惑でしたら、改めて明日に出直しますので、確認を取りにチャイムを鳴らしました」

 

 と答えてくれたの。

 

 「それで本人は、何処に居るのかな?

 まだ車両の中かな?」

 

 と兄ちゃんが聞くと、「エッ!」と運転手さんが驚いて後ろを振り返って慌ててる。

 ハッ、とした顔をして兄ちゃんが上空を見上げ、私も釣られて上空を見上げると。

 ゆっくりと、降下して来る人が見えたの。

 その人は、玄関前にゆっくりと降り立つと、深々と頭を下げて兄ちゃんに謝って来た。

 

 「・・・申し訳無い。

 壮麗なアスガルド城を上空から見たい欲求が抑えられなくてね。

 かと言って、アスガルド城で飛ぶ訳には行かなかったから、少し離れた此処なら構わないだろうと、状況を利用させて頂いた、お許し願いたい!」

 

 と優雅な一礼をすると、顔を上げて来た。

 歳は、私と同じくらいかしら?

 とても特徴的な眼(両目の色が違う)をしている男の子が、人好きのする顔でにこやかに私と兄ちゃんに笑い掛けて来たの。

 これが、『魔法大国マージナル』の至宝にして不世出の魔法の申し子と謳われる『マリオン』と、私カレンの始めての出会い。

 

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