人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝) 作:ミスター仙人
9月15日(コリント朝元年)
例の艦船の浮遊化計画は、実証実験を繰り返すしか無いから、暫く停滞するしかねえから。
依頼されていた、武具と武器の製作に入る事にする。
現在、イリリカ王国の若手技術者は、大量生産の魔法剣を生産するライン行程が確立している工場で、学びながら働いている。
大量生産品とは云え、ほぼ従来の最高級魔法剣と同等の性能を誇るので、イリリカ王国の若手技術者は、かなり面食らいながらも、帝国最先端の鍛冶技術を必死に学んでいる最中だ。
お陰で俺は、イリリカ王国の熟年技術者達と各国からやって来た鍛冶職人と共に、ふんだんに有るアダマンタイトとオリハルコンとで、色々と試行錯誤している段階だ。
そんな風に、楽しく次に作る武具と武器の構想を膨らませていると、何故か嫌な予感を覚えた。
案の定、休憩に珈琲を飲みに向かったラウンジに、熟年技術者達と各国からやって来た鍛冶職人に囲まれている、娘と若僧がいやがった!
何で若僧がこの工場に来たのか娘に聞くと、聞いてもいない若僧が俺に向かって、やたら熱っぽく武器や武具を見せて貰いたい!と嘆願してきやがった。
コイツ何でこんなに一生懸命何だ?と疑問に思いながらも、特別拒否する理由もねえから、過去の俺の作品の為の習作(完成品手前の試作品)や、資料を展示している俺専用の工房室に娘と一緒に連れて行ってやった。
娘はあまり興味無さそうに、ふーん、といった感じでソファーに座り持ってきたジュースを飲んでいる。
その反対に、若僧は尋常では無い興味を示し、とても15歳とは思えない質問を俺にぶつけて来やがる。
その質問内容の高度さに驚いちまったが、そのまま図々しい事に俺専用の工房室で資料を読み漁り、結局俺の帰宅時間まで居座り、半分寝ていた娘共々一緒に帰宅する事になった。
更に図々しい事に、俺の愛車『バッファロー』の後部座席に娘と一緒に座り、娘そっちのけで俺に専門用語で質問してきやがった。
然も、その内容が俺の今取り組みたいと思っていた研究内容に、ズバリとリンクしてやがる。
若僧の事だから、娘の気を惹く為に俺の関心を買って、今後の関係を築こうと用意周到な計算を弾いているに違いねえと疑ってバックミラーで、娘と若僧の様子を伺ったら。
娘は、やや呆れながら若僧を見ていて、逆に若僧は俺の事を尊敬の眼差しで見てやがる。
若僧にしては、本末転倒な事に娘の為に『将を射んと欲すれば先ず馬を射よ』を地で行こうと、計算したんだろうが肝心の娘から呆れられては意味がねえだろう。
《馬鹿め、お前の計算は根底から破綻しているぜ!》
と半分愉快になって、自宅に招いて夕飯を家族と共に摂らせて、俺の書斎で門限まで武器と武具談義で楽しく過ごしてやった。
そしてわざとらしく留学生の寮まで、俺の愛車『バッファロー』で送ってやったが、その道中も武器と武具談義で花を咲かせ楽しませて貰ったぜ。
《フフフ、若僧の目論見を根底から覆してやるぜ!》
と道中考えながら、家に帰って来ると。
何故か、娘からジト目で見られて出迎えられた。
まあ、仕方ねえな、若僧を可愛い娘から引き離すには、暫くの間娘からは嫌われるかもしれないな、我慢だぜ。
9月22日(コリント朝元年)
この1週間、俺はスラブ連邦に従軍して行った『剣王カイエン』殿と『拳王ダルマ』殿から依頼されていた、専用武器、武具の開発に熱中していた。
「師匠!
此の構成比率が、魔法導体としてのバランスが最適だと思います!
今から魔石ケースから魔力を通しますので、導線の確認をお願いします!」
「おう、導線は大丈夫だ!魔力を流せ!」
「了解!
10、30、50,100マナ。
師匠!変換効率と抵抗値に問題は無いですか?」
「問題はねえ!前回より変換効率は2倍近く上がってやがる!
間違いねえ!
此の構成比率こそが、最適値だぞ!」
「やりましたね、師匠!
此の構成比率で、魔法武器を打ち直せば魔法をより効率良く使用出来ますから、切れ味と頑丈度合いも格段に上がりますよ!」
「その通りだ!
明日から此の構成比率のオリハルコン鋼で、『剣王カイエン』殿と『拳王ダルマ』殿の武器と武具を製作するぜ!」
「了解!
8ちゃんさん!此の構成比率のオリハルコン鋼材を、鋼材工場に発注して下さい!
そうですね、圧材は5ミリメートルと1センチメートルの物を5枚ずつ、そして中型アダマンタイト球を10個でお願いします!」
「リョウカイイタシマシタ、ハッチュウツウ・・・・・・ハッチュウカンリョウイタシマシタ」
良し、これなら『剣王カイエン』殿と『拳王ダルマ』殿も喜んでくれるに違いねえぜ。
若僧は、この1週間の間、高等部の授業が終わって直ぐに俺の工場に来て働きに来ている。
初日に土下座して此の俺の内弟子になりたいと行ってきたので、正式に俺を師匠と呼ぶ様に約束させ、如何なく若僧の知識を絞り出させている。
その期待を裏切らず、若僧は実に優秀なので俺の研究は凄えレベルで進んでるぜ。
ハッハッハ、俺自身こんなに上手く行くとは思わなかったので、ドンドン娘と若僧の接触機会を奪えてるから、何だか家に帰る度に娘からジト目を向けられている。
もう少しの辛抱だな。