人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝)    作:ミスター仙人

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閑話84「マゼラママの徒然日記」⑫(娘のカレンが『マリオン』君を連れて来たわ)

 5月15日(コリント朝元年)

 

 アリシアさんに帝国からの正式受注で、9月の学年更新の『学校』用の制服が確定したわ。

 以前から『学校』用の制服のコンペティションが行われ、私達の服飾工場が大量生産する事は決まっていたのだけど、正式デザインが決まったの。

 最近は、工場ラインが殆ど人の手が要らなくなって、魔法マニピュレーターを人間が操作して監督する形で動くから、凄い量の大量生産が出来るの。

 ドンドン帝国の傘下や同盟国になる国が増えて、其処に有る商業ギルドからの発注や購入が鰻登りだから、幾ら作ろうが追いつかなかったから、魔法による自動化は本当に有り難いわね。

 

 6月18日(コリント朝元年)

 

 娘が魔導列車に乗って、スターヴェーク公国の新生『ルドヴィーク』ドームに向かったわ。

 私と夫のガトルは、あの脱出行以来、スターヴェークには帰還出来ていない。

 時々、無性に故郷で有るルドヴィークを思い出す事が以前は有ったけど、この帝都コリントでの生活が軌道に乗ってからは、全然気にならなくなったのが正直な気持ちね。

 今は私と夫ガトルの両親も一緒に住んでいるので、本当に今の住居が我が家と感じている所為かしらね。

 然も、私の友だちや娘の友だちと、職場や学校で出会えてるから、異国に居る実感が沸かないからかなあ。

 それに毎日のニュースで、帝国各地が取り上げられて、故郷のルドヴィークが新しく生まれ変わった事が判ってるから、昔の光景は失われているでしょうからね。

 

 7月1日(コリント朝元年)

 

 9月1日から、娘のカレンが高等部に移る事になるから、新しいドームに通う事になるわ。

 服飾工場の方も、専門カリキュラムに進む生徒用の、作業着や制服を用意出来ているから、もうすぐ進学予定の生徒に届く筈よ。

 それにしても凄い数ね。

 帝都コリントを除く形で、小等部と中等部の学生用の制服が、コンテナでトレーラーと魔導列車で帝国と同盟国各地に送られているわ。

 アラン様とクレリア様の方針として、帝国は等しく子供は教育を受ける権利が有って、帝国以外の友好国と同盟国には無償で教育環境を整える事に注力してるわ。

 凄いわよねー。

 普通の国家は、平民の子供に対して教育環境を整えてやる財力が有れば、軍事力や交易に力を注ぐのに、帝国は全ての面で余裕が有るのか、教育に関して一種異様なまでに注力してるわ。

 でも、この教育は何れ必ず帝国の未来を良くすると思うから、私も大賛成だわ。

 

 7月10日(コリント朝元年)

 

 アラン様と西方教会圏を歴訪して来た帝国艦隊が帝都コリントに凱旋したの。

 帝国民が凄い人数で全艦隊の到着を大歓声で迎えて、人々は帝国旗たるコリントの紋章を縫い付けた旗を盛んに振ってるわ。

 息子のお嫁さんのミーシャさんを連れて、娘のカレンとで妊婦で有るミーシャさんを気遣いながら、ケニーを出迎えたら、耐えられなくなったミーシャさんが、ケニーに向かって歩いて行って大きく両手を広げて抱きつきに行ったの。

 気丈な娘さんだと思ってたけど、やっぱり妊娠してる間不安だったのね。

 これからはもっと心を開ける様に、安心させて上げなきゃと決意したわ。

 邸宅に送迎用の車両に全員で乗って帰ってきたら、娘の親友達も集まってくれて、家で大宴会になったの。

 暫くしたら両親ズも帰還して、シルバー何とかの会からの懇意の華族の方からの酒類と珍しい果実をプレゼントとしてケニーにあげてたわ。

 

 その後、なにやらチャイムが鳴って、娘が対応したみたいだけど、大した内容では無かったらしくて、直ぐに来客は帰られた様ね。

 

 7月24日(コリント朝元年)

 

 午前10時頃に娘のカレンが、友だちだと言って男の子を家に招いたわ。

 幼い頃は特に珍しくは無かったけど、帝都コリントに来てからは、エラちゃんのお兄ちゃんのテオ君を招いたくらいで、それ以外としては男の子は始めてね。

 

 「どうも初めまして、お母様!

 カレンさんとは、仲の良い友だちとして付き合っています『マリオン』と申します。

 以後、宜しくお願いします!」

 

 と娘と同年代の割に堅苦しい挨拶をされたわ。

 頭を上げて顔を見せてくれた男の子の顔は、はっとする程に瞳を釘付けにされたの。

 先ず、一番特徴的だったのは目ね。

 左目がブラウンで右目がブルーで、いわゆる虹彩異色と言いオッドアイ又はヘテロクロミアとも呼称される物で、珍しいわ。

 そして整った顔立ちと、にこやかに笑い掛ける口元は、人好きのする雰囲気を醸し出しているの。

 娘が初めて連れて来た男の子という点を差し引いても、じっくり観察したくなる男の子だわ。

 

 リビングに通してお茶を出して会話していても、その品の良さがそこかしこに感じられたわ。

 すると、娘が専用の部屋で寝て寛いでいたカーくんとバンチャンを、リビングに連れて来たの。

 途端に『マリオン』君は、笑顔を更に綻ばせてカーくんとバンチャンに近づいて、恭しくお辞儀したの。

 

 「御初にお目にかかります!

 私は、『魔法大国マージナル』で賢聖モーガン様の弟子として、魔法工学を学ばせて頂いておりました『マリオン』と申します!

 兼ね兼ね話しで聞いていた、カーバンクルのお二人に会えたこの僥倖を、神ルミナスに感謝致します!」

 

 そんな仰々しい挨拶を受けてカーくんとバンチャンは、暫くジッとしてから、その額の宝石から光線を『マリオン』君に浴びせたから、その珍しい行動に私が驚くと、娘が手を私に翳して遮ったの。

 『マリオン』君は、額の宝石から光線を浴びても少しも騒がずに、されるがままになっていて、20秒程の時間が経って光線の精査が終わると、カーくんとバンチャンは『マリオン』君の両肩に乗ると、両頬を舐め上げたの。

 

 すると娘のカレンは、

 

 「やっぱり合格したね!

 ケッちゃんが、太鼓判を押してたから大丈夫だと思ってたけど、これで『マリオン』君は念願の『ナノム玉3』を飲ませて貰える権利を得られたよ、おめでとう!」

 

 「ありがとう、カレンさん!

 君のお陰で僕は、この世の真の叡智に触れられる!

 一生を賭けてこの恩には報いるよ!」

 

 「良かったね、でも一生を賭けては大袈裟だよ。

 今度、『豊穣』のパフェを奢ってくれたら良いよ!」

 

 「遠慮深いなあ、じゃあ出かける度に『豊穣』のデザートを奢るね!」

 

 「やったー!約束だよ!」

 

 と何とも微笑ましい会話を交わす二人を見て、夫のガトルは『マリオン』君に会ったらどんな反応をするのか気になったわ。

 

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