人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝)    作:ミスター仙人

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閑話85「マゼラママの徒然日記」⑬(『マリオン』君の評価)

 8月1日(コリント朝元年)

 

 何だか夫のガトルの様子がオカシイの。

 この1週間の間、アラン様達を送り出した後に、新しい艦船の構想を考えるからと言って、賢聖モーガン殿の『大学』内の研究室で1週間の間、ひたすら実験と研究更には討論を繰り返していて、頑張っていたのに段々と苦虫を噛む潰した様な顔をしているわ。

 

 夕飯時もブスッとした顔をしているから、最近好物の冷えた『ビール』をグラスに注いで訳を聞こうとしても、

 

 「・・・何でもねえよ、気にしねえでくれ・・・。」

 

 と不機嫌そう。

 きっと何か気に食わない事が有るんだろうけど、この頑固者は女房に弱みを見せられないと云う昔気質の考えが有るから、正直に話さないでしょうね。

 

 と其処にリビングで寛ぐ、嫁のミーシャさんと娘のカレンの団欒する声が届いたわ。

 

 「・・・それでね、先日『デパート』に行って『マリオン』君の水着を選んで上げたんだよ。

 彼は『魔法大国マージナル』でも海で泳ぐ事をしてなかったから、今度の休みに例の『リゾート・ドーム』で波の起こるプールや流れるプールに入れるって喜んでくれたの。

 彼が率いる『魔法大国マージナル』の留学生も、随分くだけて来てみんな一緒に参加する事になったんだ。

 ほんとに『マリオン』君が居るお陰で新しく入学する学生も、学校が夏休みなのに積極的に私達と交流しようと、良い感じなんだー!」

 

 と云う声が一部屋跨いだ食堂まで聞こえたわ。

 最近は娘の話す話題で、例の『マリオン』君が出ない日は無いわね。

 きっととても仲良しなんでしょうね。

 

 そんな感想を持って夫へ振り返ったら、さっきより更に顔を歪めてブスッとしてるわ。

 はは~ん、大体想像が着いたわ。

 夫は、年頃の娘が同年齢の男子の話題を毎日聞かせて来るものだから、焼き餅を焼いているのね。

 娘はこの年特有の反抗期も無く、父親に対して嫌悪感を抱かずに日頃接して来てたから、このまま行くだろうと夫は想像してたに違いないわね。

 

 だけど、いきなり娘が気になる男の子を暇が有れば話すから、困惑してるんだわ。

 でもしょうがないじゃない。

 何時かは娘のカレンも、好きな人が出来て巣立って行くのよ。

 それまでは、親としてシッカリと育てて、何処に出しても問題ない女性にするのが親の勤めだと思うの。

 夫にも、男親としての毅然とした態度で居てもらいたいものだわ。

 

 8月10日(コリント朝元年)

 

 最近の娘は、女の子としての成長著しいわね。

 早朝に起きだしたかと思うと、私と一緒に家族への朝食作りを手伝い出したかと思うと、3人分のお弁当まで作っているの。

 夫の分と娘自身の分、そして誰かさんの分ね。

 今日も今日とて、夫の職場に夏休みと云う事もあり、昼時に夫への弁当のついでに『マリオン』君の分まで持って行くようね。

 夫の目の前であんまり仲良くすると、焼き餅を焼くんじゃないかしら。

 案の定夕方に帰って来た夫は、弁当の事で娘のカレンが作っているのか?確認してきたわ。

 そうよ、と答えると、苦々しそうな顔をして不貞腐れてるわ、私は思わず含み笑いしてしまったわ。

 

 8月20日(コリント朝元年)

 

 夫も誘って、帝国の学校の生徒と『魔法大国マージナル』の『魔法学校』の生徒による、魔法競技会が開催されたので、娘のカレンと観覧したの。

 

 始まると前半の競技で、帝国の学校の生徒の方が、あらゆる魔法競技で、『魔法学校』の生徒を圧倒していったわ。

 まあ、しょうがないわよね。最先端の魔法習得技術を学んでいる帝国の学校の生徒が、古い魔導書に頼った『魔法学校』の生徒に負ける筈が無いわよねえ。

 そう思っていると、後半の競技から『マリオン』君が参加して来たわ。

 『マリオン』君は、前半戦の魔法競技で負けた原因を魔法発動スピードの差が大きいと説明し、後半戦の『陣取り合戦』と『棒倒し合戦』では魔法発動スピードで勝負せずに、ひたすら硬化魔法と土魔法による防御に徹せさせて、帝国の学校の生徒が、集中力を欠いて来たら得意の浮遊魔法を少し利用して『陣取り合戦』では味方の生徒の跳躍力をまさせて旗を取らせ、『棒倒し合戦』では味方の生徒数人を浮かせて棒に体重を掛けさせて棒を倒させたわ。

 流石ね。

 娘の『マリオン』君への毎日の評価を聞いていたから、この結果はごく当然で、寧ろワザと表に出ずに、良い形で勝ち負けなしに持ち込んだ彼の手腕は、空恐ろしい程ね。

 その事に気付いている娘は、魔法競技会が無事終わったら直ぐに、『マリオン』君に近寄り市販の『魔力充填ドリンク』(カーラ印)をプレゼントして、二人で楽しそうにしてるわ。

 その光景を見て、隣に座る夫は『マリオン』君を噛み殺さんばかりに歯軋りしてるわ、親馬鹿ここに極まれりね。

 

 実は夫と息子のケニー以外の家族の間では、密かに娘の彼として『マリオン』君は、合格の判子が押されているのよね。

 先ず、礼儀正しいし、人への気遣いが同世代の誰よりも出来るし、変に気取ってる訳では無くて、ごく自然な態度で習慣付けられてるとは、賢聖モーガン様の教育は素晴らしいわ。

 次にその人への気遣いは、私達の家族だけでは無くて、会う人全てに行われてる様で、年少のエラちゃんや皇子宮で清掃訓練をしている身寄りのないオバさんでも、同じ様に接しているの。

 生い立ちの所為か、若干の家族への憧憬がある様だけど、それも鼻に付く程では無いわね。

 総括として、本当に良い子と夫と息子のケニー以外の家族の間では確定してるの。

 

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