人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝) 作:ミスター仙人
10月1日(コリント朝元年)
実はクレリア様の妊娠発覚後、様々な妊婦用品や赤ん坊用の子供服始め、様々なグッズが帝都コリントの様々な商店や『デパート』で販売されているの。
現在帝都コリントは、妊婦ラッシュと云って良いのよ。
何故かというと、やはりアラン様とクレリア様の帝国発足時の婚姻と、それに続く結婚ラッシュね。
まあ、息子のケニーも明らかに便乗して合同結婚式を上げたのだから人の事は言えないわ。
特に各国の王族や貴族、帝国でも華族の方々は、皇太子殿下の学友、或いは同世代の子供を学校に送り込むべく、今でも結婚や妊娠の届けが、ドームに有る役所に届けが来て、ルミナス教のドームでは毎日必ず教会で結婚式が挙げられていて、ゲルトナー枢機卿はワザワザ専用の結婚式場をドーム内に作り、重要な結婚式にはご自身が神前結婚式を執り行うみたい。
元々ゲルトナー枢機卿は、ベルタ王国王都で司教をしていた頃から、ルミナス神の覚えが目出度く、枢機卿になって『ナノム玉2』を服用した現在では、更にルミナス神のお告げを聞き取れる様になって、様々な神託を受け取る事が出来るから、非常に徳の高い聖職者だと西方教会圏全ての国に知られているので、ワザワザ遠方の王国からの来訪者も多くて、前述の通りに結婚式の執り行いを予約している王族や貴族は大変な数になるらしいわ。
10月10日(コリント朝元年)
後1ヶ月で、クレリア様が出産予定日なので、アスガルド城の皇妃宮と出産する場所で有る医務室周辺の改装が完成したわ。
そして恐れ多い事に、同日出産予定の息子ケニーのお嫁さんのミーシャさん始め、同僚や友だちの4人の妊婦が常に一緒に要られる様に、ベッド等が用意されているの。
続いて、建築中の皇子宮の方もドンドン出来上がって行くのが伝えられてるわ。
きっと子供が遊び回っても大丈夫な様に、なっているんでしょうね。
既に気の早い華族の方々は、出産祝いの届け物が送られているそうで、専用の部署と部屋が有るそうだわ。
10月28日(コリント朝元年)
長期に渡ったスラブ連邦との激戦を終えて、アラン様率いる帝国軍が帝都コリントに帰還したわ。
私と娘は、敢えて帝国軍の凱旋を迎える場所には行かずに、アスガルド城の皇妃宮で帰ってくるアラン様と息子のケニーを、妊婦のミーシャさんで出迎える事になったの。
定期的に皇妃宮に泊まっているミーシャさんは、大分寛いだ様子でいるし私達も慣れて来たから、雑談してその時を待ったわ。
やがて先触れが来て、全員で待っていた皇妃宮大広間にアラン様以外の、妊婦4人の旦那達が入室して来たの。
息子のケニーは、何も言わずにミーシャさんに駆け寄って柔らかく抱きしめたわ。
「・・・帰ってきたよ、・・・約束通りに・・・」
ミーシャさんも感動したらしく、息子の胸に頭を埋め、静かに嗚咽してる。
ミーシャさんは、暫く泣き続けていたがやがて落ち着いてきたのか、何故か笑い始め・・・そして、
「・・・ねえ、触ってみて私達の赤ちゃんの居るお腹に・・・」
と言ってミーシャさんの大きくなったお腹に触らせたの。
息子の大きな手が、優しくそのお腹を柔らかく触っていると、やがて耳をミーシャのお腹に寄せて行き、突然驚いた顔をして離れたわ。
どうやらお腹の子に蹴られた様ね。
「驚いたでしょう。
男の子の所為か、凄く活動的でよくお腹の中で蹴ってくるのよ!」
とミーシャさんが自慢げに話しているから、娘と一緒に微笑んでいると、
クレリア皇妃様付きの女官が、アラン様の来訪を伝えられたので、クレリア皇妃様以外の全員がお迎える為に、跪いてアラン様を迎えると、アラン様が慌てて、
「何をしているんだ、婦人方は直ぐに楽なリクライニングソファーに座る様に、夫方は自分の妻を介添えする様に!」
と言われたので、これ以上は無粋になると思い、娘共々退出したわ。
娘とアスガルド城の華族専用の大きな憩いの場所に出向くと、両親達が多数の華族の方々と談笑してたの。
「オオッ、此れはケニー空軍司令官の親族では有りませんか!
どうぞ、此方の席に」
と、この部屋付きの職員に案内されて、両親達の座る席の隣に座ったの。
しかし、未だに私は華族として扱われる待遇に違和感が拭えず、あまりこの部屋には来たく無かったんだけど、この後の帝国軍凱旋パーティーに出席するのは、既定路線なので勝手に帰る訳にはいかないのよね。
すると案の定、日頃接触のない華族の方々が、私と娘に群がって来たわ。
意外かも知れないけど、私は高級服飾デザイナーとアクセサリー関係の専門家として、華族の御婦人方の人気がそれなりに有り、娘はいまや羨望の的の『女子会』メンバーだし、高等部の学校での活躍から華族でも同世代の人からは中々人気らしいわ。
暫く華族の方々と、取り留めの無い雑談に応じていたら、式典会場への移動の通達が来て、両親達と娘と一緒に会場へ出向いたわ。
帝国軍凱旋パーティーは、クレリア様が出席出来ないし、アラン様も挨拶すると直ぐにクレリア様の元に帰られたので、あまり盛り上がらずに終わってしまったわ。
まあ、仕方無いわよね。
スラブ連邦に勝利した事実はかなり前に知らされていたし、帝国としては差し迫っている『皇太子誕生』の予定に、全精力を傾けているのだから。
でも、漸く息子のケニーが帰って来たから、ミーシャさんが落ち着いてくれるだろうから、その事は素直に嬉しいわ。